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あれ? 俺……詰んでね?  作者: Aion
小悪魔天使、陥落編
39/41

天使を襲いし大罪人。 ⑫

〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

   廊下と吹き抜け

  〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

教室の並びはこんな感じになってる。



 昼休み。


 香奈の手作り弁当を貰ったからといって調子に乗ってもらっては困るので、ここは香奈の婚約者である僕の出番だろうと思い、間男に挨拶をしに行くことにする。

 一年生の教室がある階についてから、そういえば間男がどのクラスなのか把握してないなという事に気が付いたので、順番に教室を見て回ることにする。

 1~8組を見て回ったがいなかったので、今度は15組から回ろうと思い反対側に回ると……遠くの方に間男がいるのが見えた。

 手間が省けたと思って、喜び勇んで間男に声を掛けようとして、近くまで向かうと――そこには先客がいた。

 『香奈♡命』と書かれた鉢巻を巻いている集団で、十人ぐらいはいる。

 普通なら、何事かと野次馬が集まってくると思うが、他の生徒たちは何事もなかったかのように普通に横を通り過ぎたりしている。


 もしかして、あれが風井さんが言っていた親衛隊なのかな?


 だが、さすがに間男は手を肩に置かれて、無視はできないのか振り返って何かを話している。

 少し話した後、いきなり一番前にいた男以外の親衛隊はいなくなり、どうしたんだろうと不思議に思っていると……いきなり、間男に向かって男が頭を下げた。

 数言会話した後、男が頭を上げて、間男はそんな男を引き連れてどこかに向かっていった。

 ネクタイの柄が顔を上げたときに見えたので、男が同学年の生徒だと分かる。


 婚約者の僕に断りもなく香奈のそばにいて、更には香奈の手作りの弁当を貰うだけでは飽き足らず、先輩に頭を下げさせて、まるで手下のように引き連れるなんて……。


 間男のあまりの非常識さに義憤にかられる。

 だが、紳士である僕は話し合いによる解決も考えているので、とにもかくにも話しかけないことには何も始まらないと思い、間男を追いかけることにする。

 間男が向かった先は、生徒会室だった。

 間男のくせに、律儀にもノックをしてから返事が返ってくるのを待っている。

 すると、中から二年生の女子生徒が出てきた。


 彼女は間男に何か話しかけた後、振り返って何事か話している。

 恐らく生徒会長に、怪しげな生徒が来たとでも言っているのではないだろうか?

 香奈に近づく間男は入室拒否されてしまえ、と思うものの残念ながら間男は問題なく生徒会室の中に入っていった。

 わざわざ生徒会室に来たのだから、それなりの時間がかかるものだという予想に反して、間男は5分もかからず出てきた。


 その後、親衛隊の男に声をかけてまたどこかへ歩き出す。

 


 やってきたのは部活棟だった。

 どうやら、親衛隊の部室に案内されているらしい。

 間男が部屋に入った後、僕は急いで近づいて耳を扉に当て、中の会話が聞こえないかと期待したが、この部屋だけがそうなのかそれともすべての部室が防音性なのか、声は全く聞こえなかった。


 少しだけ扉を開けて、盗み聞きしようか?


 そう考えもしたけれど、香奈の婚約者である僕がそんなことをしたとバレたら、もしかすると香奈の評判にも傷がつくかもしれない……。

 悔しいが、ここで間男が出てくるのを待つしかないだろう。


 しばらく扉の近くで待っていたが、部屋から怒鳴っているような声がかすかに聞こえるだけで、収穫はなかった。

 それでも諦めずに扉に張り付いていると、誰かが近づいてくる気配がしたので、急いで近くの茂みに隠れる。


 中から出てきたのは――間男だった。

 これは天使である香奈が僕にくれたチャンスだろうと思い、香奈への感謝と共に間男に話しかけようとしたが……その前に、クラスメイトの上江あげえさんが僕に話しかけてきた。

 どうやら、たまたまここを通りがかったときに、僕を見つけたらしい。

 間男を追いかけないといけないが、さすがに無視するわけにもいかないので仕方なく応対する。


 早々に話を切り上げたいところだが、そんな僕の思惑とは裏腹に上江さんの話は続く。

 ようやく解放された……と思った時には、既に間男の姿はなく、完全に取り逃してしまった。

 だが、間男の教室は分かっているので、まだ間に合うはずだ。

 

 急いで1年10組へと向かう。

 が、間男は教室にはいなかった。

 それでも往生際悪く数分ほど居座っていたが、間男が現れる気配は一向になく、一年生の視線もだんだん厳しくなってきて、悔しさを堪えつつその場を離れる。



 放課後。


 今日も間男は香奈と帰っている。

 香奈の前では、残念ながら間男には手出しできない。


 歯痒い思いを抱きながら、香奈の周囲を警戒する。

 しばらく歩き続けて、香奈のマンションが見えてくる。

 と、ここで電話が鳴っていることに気付く。

 

 誰だよ? 僕が香奈の護衛という重大任務に就いている時に……。


 この時ば流石に人間関係に辟易しながら、液晶を見ると……そこには、父さんがもしもの時用にと僕に登録させた、香織かおりさんの電話番号だった。

 未来の義母ははとなる人だ。

 当然、すぐにでも通話ボタンを押す。


『もしもし? 裕也君で会ってる?』


「大丈夫です。合ってます」


『ごめんね、いきなり電話して? 部活中とかだったら後でかけなおすけど』


「今は大丈夫ですよ」


『よかった。それで、裕也君にお願いがあるんだけど……』


「お願い、ですか? 何でも言ってください! 出来ることならなんでも協力するので」


『実はね。さっき夫と話し合って決めたんだけど、久しぶりに旅行に行こうって。それで、香奈を一人で置いていくのは不安だから、私たちがいない間、裕也君に香奈のことを頼めないかなって』

『ただでさえ、今はストーカーがいるとかで香奈も不安だろうし……』


「勿論です。香奈は僕にとっても大事な人ですから」


『ありがとう! 一応、彼氏の来栖君にも頼もうかと思ってるんだけど……裕也君が了承してくれて助かったわ』


 今、聞き逃せない単語が混じった。


 来栖というと、あの間男のことだろう……。

 間男め! 婚約者がいる身の女性に近づくだけでは飽き足らず、その母親に虚偽の事実を伝えるとは!


 僕が間男への義憤をあらわに、お義母さんに話を聞こうとすると――。


『ごめんなさい。香奈が帰ってきたみたい。もう切るわね』


 お義母さんは焦ったような声でそう捲し立てると、プツッっと通話が切れた。


一応、ストーカー君は顧問の先生にしばらく練習に参加しないことは言いました。

勿論、理由を聞かれるわけですが『愛ゆえに』で乗り切りました。

石道先生は、奥さんと絶縁同然に駆け落ちした経緯があるので、納得したのでした。

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