天使を襲いし大罪人 ⑪
ようやく……ようやく! 大罪人編書き終わりました。
長かった……。
家に着き、部屋に戻ってからスマホを取り出すとRINEの通知が来ていた。
どうやら、翔太からのようだ。
翔太:
とりあえず、お前の言う通り石道先生――石道 直柔。柔道部顧問――に言っておいたけどさ。次からは気をつけろよ?
翔太には感謝しかない。
突然の頼み事もしっかり達成してくれているし。
彼への感謝と、次から気を付けるという言葉を送って、スマホをベッドに投げ出す。
そのまま脱力したように、ベッドに倒れこむ。
ボフンと音を立てて、布に包み込まれる。
そしてもぞもぞと仰向けになって、間男について考える。
香奈は僕が護衛していたので、間男が現れる予兆はなかったが……。
学校で、という可能性もあるがネクタイを見たところあいつは一年だ。
香奈と交流するような機会はあまりないはず。
答えの出ないまま、悶々と考えていると……。
ふと、つい先日お義母さんから聞いたことを思い出す。
最近、香奈がストーカー被害にあっているという話だ。
香奈の魅力に狂ってしまうものがいるのは当然のことだが、香奈を怖がらせるなんて……僕が手づから手を下したいね。
僕が考えたのは、あいつは香奈の後輩か何かで香奈がストーカー対策として連れていたのではないか? という話だ。
それなら僕に言ってくれればいいと思うが……僕に心配をかけまいとしたのだろう。
それに、香奈はああ見えて恥ずかしがり屋でもあるからね。
恥ずかしそうにしながら、赤面した顔でもじもじと告げられるお願いには逆らえる男はいないだろう。
恐らく香奈が追いかけられていたのは、わずかな間とはいえ香奈と一緒に話しながら歩けるという名誉に与りたい男どもの嫉妬の結果だろう。
我が妻ながら、天使のごとく輝く魅力にたじろいでしまうよ。
ただ、それはそれとして香奈がほかの男と一緒に歩いているなんて嫉妬でおかしくなりそうだ。
かくなる上は香奈に直談判をしよう。
結論は出たので、香奈のもとへ向かおうと体を起こして腰を上げ……かけた。
途中で止まった理由は、あんまり言いすぎると面倒くさい男として香奈に嫌われてしまうのではないか? と思ったからだ。
香奈に嫌われてしまっては元も子もない。
ここは涙を呑んで我慢……がっ我慢する……ことに……する……。多分。
翌日。
いつも通り、香奈をマンションの前で待っていると……香奈の部屋に間男が向かっているのが見えた。
しばらく、部屋の前で会話した後にエレベーターに乗りマンションから出てくる。
一度は納得したこととはいえ……あの男を排除したくて仕方がない。
足をつねって、怒りを抑えつつ二人についていく。
しばらくは会話もなく、ただ歩いているだけだ。
香奈を退屈させるなんて……。やはり、あいつは香奈にふさわしくないな。
間男のおかげで、香奈と僕のベストカップルさを再確認していると――。
いきなり、間男が周囲を探りだす。
慌てて、物陰に隠れて難を逃れる。
いきなり何だったんだ?
そう思い、数秒経ってから顔を出す。
すると――間男が香奈に顔を近づけていた!
僕の香奈にお前みたいなやつが近づくな! 思わず、言葉が口をついて出ようとする。
が、僕の喉が震える前に間男が香奈から顔を話したので、少し冷静になり一旦口を閉じる。
僕が落ち着こうとしている間に、間男が香奈に置いて行かれていたので、香奈から離れるなんて護衛失格だな! と思いつつ、二度と同じようなことが起きないように警告をすることにする。
将来的に、大企業のトップになるのに威圧感がある方がいいだろうという事で、片手間に習った、威圧をする方法。
それと、僕が武道を習う中で研ぎ澄ましてきた闘気を融合させることで、僕は殺気を放てる。
先生には、『人には滅多なことでは使ってはいかん』と言われているが、香奈を誑かす獣畜生はこのぐらいしないと分からないだろう。
そう自分で納得し、間男に殺気を放つと奴は何かを感じ取ったのか、一瞬ビクッとして周りを見回していた。
それを見て留飲を下げた僕は間男が香奈を追いかけるのを見つつ、護衛に戻った。
そのあとは何事もなく学校に着き、いつも通りの日常に戻ると思っていたが……。
間男が香奈から受け取ったあるものを見て、そんな考えは吹き飛んだ。
あろうことか、あいつは僕ですらまだもらったことのない香奈の手作り弁当を受け取りやがった!
腹の中でふつふつと暗い気持ちが沸き起こってくる。
幸せなのは今だけだぞ……ストーカーを見つけ出して引導を渡したら、次はお前だからな……。
そんな恨みがましい言葉を腹の内で考えながら、表面上はいつも通りに教室へ行った。




