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あれ? 俺……詰んでね?  作者: Aion
小悪魔天使、陥落編
36/41

天使を襲いし大罪人。 ⑨

次は一週間後です。

後、今の段階で第3話まで改稿したので、文章量と面白さが微増しています。

良ければどうぞ。


 家に戻り、夕食を作ろうとするが……香奈成分不足により、やる気が出ずソファにゴロンと寝転がってしまう。

 動こうとは思ってはいるものの、意志に判して体がだらけたままだ。

 どうしようかな……と考えるものの、香奈がお友達の家にいる以上香奈成分を補給するすべはない。

 父と母が居ないのをいいことに、床をゴロゴロと転がりながら移動する。いつもなら確実に叱られているだろう。

 そんな考え事をしながら転がっていれば、壁にぶつかるのは当然だろう。

 写真が貼られたコルクボードをかけてある場所の下で壁に当たって、動きが止まる。


 下向きの態勢のままだと辛いので、体を仰向けにすると――コルクボードの画鋲にかかっている鍵が見えた。

 我が家の鍵は各自が持っているので、たいていは財布や鞄の中にありこんな場所にかかっているわけはない。

 遠いので細部は見えないが、あれは香奈のマンションの鍵だ。

 いつもならこのまま体を起こして、夕食作りに向かうのだろうが――今日は魔が差した。

 香奈成分が不足して、判断力が低下しているのに加え、香奈や僕の両親が不在だし、香奈も友達の家にいる。

 様々な条件が重なって、お膳立てされているような、まるで神が僕にそうしろと囁いているような、そんな気分になり……僕は鍵を持ってマンションに向かってしまった。


 管理人の人に呼び止められやしないだろうかと、恐る恐るエントランスを通り過ぎるが特に誰も僕に注目はしていない。

 エレベーターに乗り、周りに人がいない状況でホッと息を吐く。

 504号室の前に立ち、鍵を開ける。

 中に入ると、自動で玄関の電気がつく。

 靴を脱いで上がり、廊下を歩いていると左手の奥側に『香奈の部屋』とプレートが下がっているのを見つける。

 扉の前で立ち止まり、深呼吸をする。緊張で手に汗がにじむ。


 一瞬、無断で入ることに罪悪感を覚えたが、香奈不足で回らない頭ではそれ以上考えられず、夫婦なんだから香奈の成長を確認するのは夫の義務だ……と自分に言い聞かせてドアノブに手をかける。

 扉を開けると中の空気が出て行ってしまう気がして、急いで中に入って後ろ手に扉を閉める。

 一息つくと、僕はまず部屋の空気を味わうことにした。

 香奈が使っている部屋の空気なんて、国宝すらも霞む貴重なものだ。

 それを無駄にすることのないように五感をめいいっぱい使って、堪能する。

 5分か10分か、あるいはもっと長い時間か……しばらく香奈の残り香などに酔いしれた後、満を持して部屋を物色―ん゛ん゛ん! ……調査を開始することにした。


 まずは大きく主張しているベッド。

 バフッとベッドが音を立てる勢いで飛び込み、香奈の香りを嗅ぐ。

 いつも香奈はここで寝ているのかあと思いながら掛け布団にくるまってみる。

 だが、すぐに飽きて普通に布団をかぶる。

 そのまま天井を眺めていると、ふと香奈はいつもここで一人でシてるのかな……と思ったら僕も興奮してきてしまった。

 さすがにこのまま発散するのはまずいと思う程度の思考力は残っていたので、ベットから降りていそいそと香奈を想像しながらすっきりする。

 ティッシュをゴミ箱に捨てに行って、また戻ってくる。


 今度はさして緊張せずにはいることができた。

 そして、ようやく本来の目的である、香奈の成長を確認をしようと思う。

 ぱっと見では服を入れておくようなタンスが見つからなかったので、探してみる。 


 クローゼットを開けると、下の方に低めのタンスが見つかった。 

 中を開けると、綺麗に並べられた香奈の下着がしまわれていた。

 フリルがついているものが多くを占めていて、香奈も大きくなったんだということを実感する。

 その中から一つを取り出してみると、真ん中に小さなリボンがあしらわれた可愛い白の下着だった。


 サイズは……Aか。

 ……うん……まあ……これから成長するよ、きっと……。

 それに、僕は香奈の胸のサイズが大きくても小さくても気にしないし。

 ブラをつけてなかった昔と比べれば、大きな進歩じゃないか!


 居たたまれなくなって、誰もいないのに励ましの言葉が出てきてしまう。

 僕は下着を元のようにくるみなおすと、そっとクローゼットの中に戻した。


 存分に香奈成分を味わって、さらには心が鎮まりかえる出来事もあったので、そろそろ家に戻ろうという気持ちになる。

 外に出て、大きく伸びをしてから廊下の柵に腕を乗せて、暗くなってきた街並みを見る。

すると、マンションの入り口の駐車場あたりで車が止まっているのが見えた。

 何故だかわからないが、その車に視線が引き寄せられる。

 不思議に思いつつ、見ていると――香奈が降りてきた。


 ……ん?


 僕がフリーズする中、香奈は車のほうに向きなおってお辞儀をしてから、マンションのほうへ歩き出した。

 香奈が完全に視界から消えたところで、再起動がかかる。


 あれ? ……泊りじゃないの?


 疑問が浮かぶが、そんなことを考えている場合じゃない! と頭を振って思考から追い出す。


 どうしよう……。夫婦になる予定だとはいえ、相手の家に勝手に入るのは不味いよね。

 香奈から嫌われるとまではいかなくても、避けられるのは回避しなくては!

 そのためには、まず香奈に見つからずにこのマンションから去らないといけない。


 このマンションは階の端にエレベーターがあり、その近くに階段がある造りになっている。

 反対側には階段はなく、逃げるとすれば階段かエレベーターを使うしかない。


 香奈は……エレベーターを使うだろうから、僕は階段を使った方がいいかな?


 と思いつつ、不安なのでエレベーターの表示を見てみると、1階から上がってきているところだった。

 予想が当たって一安心するのもつかの間、表示がもう3階を示しているので、急いで階段から下へ降りていく。

 急ぎつつ、しかし大きな音が立たないように慎重に下りて行った。

 

 

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