天使を襲いし大罪人。 ③
とりあえず、二話更新。
ストーカー編はまだまだかかりそう……。
辛い……。
「前は帝花学園にいたね。趣味か……読書かな?」
後は、香奈のことを想うのも趣味かな。
「一応、全国大会は優勝させていただきました。多分に運も絡んだ結果だと僕は思っているけどね。あと、僕の好きなタイプは、明るくて純真で、笑顔が可愛い娘かな」
香奈はいつも明るくて、僕に元気をくれるし、天使もかくやというほど可愛いし、誰にでも優しくて純真な裏表のない良妻だからね。
おっと、そういえばまだ結婚してないんだった。はは、うっかりうっかり。
僕の返答を聞いて、周りにいるクラスメートたちはそれぞれ沸き立つ。
「帝花学園だってよ! 名門校じゃねえか! すげえな、小町!」
「そこって有名な私立じゃなかった? 名門のお嬢様とかお坊ちゃんが集まってるっていう」
「ってことはやっぱり、小町は小町電機の社長令息か何かってことか?」
すごいね。一瞬でバレたよ。
ここまで早いのは初めてかもしれない。
「きゃあああー! やっぱり! あ、あの大会かっこよかったです。全試合、鮮やかに勝ち上がってて……どうしてそんなに強いんですか?」
「小町君! サインください! えーと、ここにでもお願いします!」
「あ! 由美子だけずるい! わ、私もかいてください!」
「私もお願いします!」
そう言って、女の子たちがやってくるけどその申し出は受けられない。
ごめん……シャツに書くのはちょっと……。
「ごめんね。シャツに書くことはできないんだ。サイン色紙――とまではいわないけど、せめて裏紙かほかの持ち物にしてね」
僕の言葉を聞いて、女の子たちは意気消沈しながら引き下がった……という事はなく、むしろ嬉々としてサイン色紙をカバンから取り出す。
色紙を持ってるのに、なぜいったんシャツのくだりを挟んだんだろう……。
「小町君の好み聞いちゃった! 明るくて、純真で笑顔が可愛いね……よし! 明日からイメチェンだ!」
「ねえ、もしかして小町君の好みに私ベストマッチしてない?」
「してないだろ。似ても似つかねえよ。つーか、あいつの好みドストライクな人いるよな、下の学年に」
と、ギャルのような見た目の彼女だろう人と話していた角刈りの男の子が、そう言うと教室中が一瞬静まり返り、直後に全員が声をそろえて叫んだ。
『学園のヒロインか!』
「やべー。そういえばそうじゃん。東城さん、明るいし、いつも笑顔で可愛いし、純真じゃん」
「イケメンの小町と、美少女の東城さんとか最高にお似合いのカップルじゃん!」
「東城ちゃん相手とか無理じゃん。負けたわ」
「く~! 香奈様を狙う不届き者は排除しなくてはいけないが……すまない、同志! 俺では勝てない」
一部暗い雰囲気をまとう人たちがいるが、概ね明るい雰囲気だ。
やはり、香奈の魅力は学校中に広まっているか。
それに、他の人達から見ても香奈と僕はベストカップルに見えるだなんて――やっぱり僕たちは運命の赤い糸でつながれているんだね、香奈。
あと、香奈のことを名前で呼んでいる奴には後で話を聞かないとな……。
僕が、香奈を有象無象共から守る方法を考えていると、ガラガラと音を立てて扉が開く。
「おーい。授業を始めるよ。転校生が来てうれしいのは分かるけどなあ。……そういえばさ、昔先生の学校で先生がいたクラスにな美人な転入生が来たことがあるんだよね。それでね――」
中に入ってきた、眼鏡をかけた少しやせ気味の先生が僕たちを注意したかと思ったら、突然昔のことを語り始めた。
それを見たクラスメートたちは速やかに椅子に戻り、全員が着席したのを見てクラス委員らしき人が彼に声をかける。
「せんせーい! 授業を始めてください!」
「えっ……もうちょっと語らせてくれない?」
食い下がる先生に対し、三つ編みにしたおさげを揺らして彼女は呆れたような声を出す。
「だって、それもう何回も聞きましたよ。あれですよね? 並みいるライバルたちを押しのけて交際まで持ち込んで、今は奥さんなんですよね? もう耳タコですよ」
「あ……そうですか……」
委員長に話のオチまで暴露された彼は意気消沈しながら、授業を始めようと黒板に向かって――そこで思い出したように、こちらを振り返り僕を見る。
「ごめんね。自己紹介を忘れてたよ。僕は逆勿 事朗。一組の担任もやってたりするので、分からないところがあったら遠慮せず、聞きに来てね」
「わかりました」
短く答える。
僕の返答を聞いてから、彼が黒板に向き直ると前列あたりから質問が飛ぶ。
「さかまっきー! 今日の範囲は何?」
「今日は新しく、関数と極限という単元に入っていくよ」
帝花では見かけなかった光景に面くらってしまったが、すぐに落ち着く。
中学校では、こういうノリもよく見かけたなあ……懐かしい。
約二年ぶりに感じる空気に感慨深いものを感じてしまう。
■■:……こいつのさ、香奈評さ間違ってるよな。
秋人:……うん……正直理想を見過ぎだと思う。
秋人:久しぶりに小町の香奈への評価を聞いたけど、やっぱり盛大にずれてるよな。
香奈:ちょっと?
■■:そんな怖い顔すんなよ。間違ってないだろ?
香奈:そういうのは口に出さないの!
秋人:だってよ、■■。
■■:お前がな。
香奈:どっちもだよ。
■■:話は変わるけど、前回の次回予告間違ってたな。
秋人:そういえば、そうだな。
■■:こいつが思ったより、学校できちんと過ごしてるせいだな。
秋人:な。もっと適当でいいんじゃないか? と思うけどな。
香奈:二人とも。他人事だからって、勝手なこと言わないの。
■■:うわ。こいつ自分のストーカーのこと庇ってるよ。
秋人:今更ながら、好きな気持ちがよみがえって来たんじゃないのか?
■■:もしそうなら、面白いな。
秋人:それな!
香奈:は?
■■と秋人:
……調子に乗って、申し訳ございませんでした。




