天使を襲いし大罪人。
二話投稿しました。
しばらく試験の勉強で、あんまり書けないと思うので……投稿します。
ストック自体はまだあるので、一週間更新は全然心配しなくても大丈夫です。
side????
僕には好きな人がいる。
その人は僕の婚約者だ。
最近はあんまり会えていないが……そんなことで僕らの絆は切れはしない。
今はまだ、結婚はできないが――18歳になればプロポーズをする予定だ。
きっと彼女も、香奈も了承してくれるに違いない。
そうなれば、新婚旅行はパリに行ってたくさん服を買ったりエッフェル塔の前で記念写真を撮ったりする。
最後には夕日の見える公園でキスをして――もしかしたら、その先も……。
ムードのある部屋で香奈と一晩中夫婦の営みを――。
「裕也! 裕也! 早くしなさい!」
僕が輝かしい香奈との未来を思い描いている途中で、父の声が聞こえてくる。
タイミング悪いなあ、と思いつつ、返事を返す。
「わかった! すぐに行くよ!」
気を取りなおして、荷物を詰め込んだ鞄を背負い階下へ向かう。
いつもなら機嫌を多少は悪くしているところだろうが、今日は違う。
なぜなら、今日から僕は婚約者を思うだけしかできない男ではなくなるからだ!
明日には、新しい家についているだろう。
近い将来、香奈が僕の帰りを待っていてくれる場所になるだろう、ね。
翌日。
家に着くと、待っていたのは大量の段ボールだった。
これらすべてを片付けないといけないことを考えると、辟易する。
「今から、これを片付けないといけないが……。その前に、義兄さんの家に挨拶にいこう」
父がそういったのを聞いて、僕は平然としているように取り繕っているが、内心では小躍りしそうなほどうれしかった。
今にも気持ちがあふれ出しそうで、待ちきれない。
香奈の家は僕の家から徒歩で3分もかからない距離のマンションだった。
ここが香奈が今住んでいる場所かあ。
久しぶりに香奈に会えるということで、テンションが上がっているのか小さな事にも感動してしまう自分に思わず苦笑してしまう。
エレベーターで六階まであがり、604と書かれた扉の前で父は立ち止まる。
父がインターホンを鳴らす。
『はーい』
「こんにちは。お久しぶりです、義姉さん」
『あっ! 祐樹君? すぐ開けるね!」
インターホン越しに父と香織さんがそんなやり取りをする。
扉が開くと、香織さんと香奈がたっていた。
「久しぶり~! 裕也君も久しぶり!」
香織さんが朗らかに挨拶をしてくる。
「お久しぶりです。香奈も久しぶり」
香織さんに挨拶を返した後、後ろにいる香奈にも声をかける。
香奈は嬉しそうな顔で僕に言葉を返してくれる。
「久しぶり! 裕也君、かっこよくなったね! 叔父さんもお久しぶりです!」
「香奈ちゃんも久しぶり。相変わらず、元気だね」
父と香奈が言葉を交わしている時、僕はというと感動に打ち震えていた。
昔はお兄ちゃんだったのに――名前で呼んでくれた!
結婚後もお兄ちゃんと呼ぶわけにもいかないから、今のうちに慣れておこうという香奈の気持ちがわかり、僕は思わず笑みがこぼれてしまいそうになる。
だが、香奈を支えられる男になるにはここで気の利いた一言を返さなければいけない。
香奈には、かっこいい姿を見せたいからね。
そう考え、平然とした顔で言葉を返す。
「ありがとう。香奈は可愛くなったね……いや、昔よりも可愛くなったって言うのがいいかな?」
「ほんと? ありがとう!」
はー! 香奈のあまりの可愛さに目がつぶれそうだ……。
そのまま香奈と会話をしていたかったが、無情にも別れの時が来てしまう。
父が、荷解きがあるからと言って、帰ろうとする。
香奈と離れるのはさみしいけど……夫婦になれば四六時中一緒にいられるだろうし、この会えない時間が愛をはぐくむということも僕は知っている。
だから、大丈夫。我慢できる。我慢……できるはずだ。
久しぶりの香奈との邂逅に気持ちが揺らいでしまう。
なんとか顔には出さないようにはしていたけれど、父にはお見通しのようで。
「そんな顔するなって。前と違って、今度は近くに住んでるんだから、いつでも会えるだろ?」
とマンションからの帰り道に、そう言われてしまった。
父は、これでも最大手とまではいかないが、二番手の企業の社長である。
父の趣味で、一般家庭のような暮らしをしているが僕が社長令息であることに変わらないので、跡継ぎになるために様々な習い事――中には、僕が自分から希望した物も交じってはいるが――をしている。
そのため、実際にはなかなか時間が取れないことは明白だ。
不満が顔に出ていたのか、父は苦笑いして、少し考えるそぶりを見せる。
「じゃあ、こうしようか! 引っ越してすぐだし、まだ先生たちもどうするか決めてないから――これから2週間だけ自由に過ごしていいことにしよう!」
この提案を聞いて、僕は父へと恨みがましい気持ちを向けていたところから一転して、称賛の声を上げた。
「ありがとう! 父さん!」
それと、先生たちにも感謝だな。
一部の先生たちは、引き続き教鞭をとってくれるらしいが、さすがに全員とはいかなかったようで3人ほど辞めてしまっていた。
今回はそれが幸いとなった。
一気に元気が出てきた僕は、幸せな気持ちのまま家に帰り、荷物を整理し、明日に向けて早めに寝ることにした。




