ストーカーって怖いよなっていう話。 ⑭
次も一週間後です。
現在はストーカー君の過去編を書いてます。
土下座の後、平謝りしてなんとか許してもらえた。
その代わり、一つだけ香奈先輩の言うことに何でも従わなければならなくなったが。
まあ、俺にできる範囲のことに限るとは言っておいたし、まだ使う予定はないらしいのでひとまずは考えなくてもいいだろう。
それより、目下の問題はこの雨の中をどう帰るかだ。
ゲリラ的に降り始めた豪雨のくせに、一向に止みはじめる気配がない。
このまま止むまで待ってもいいが……時間がたつにつれて体が冷えていくので、いくらタオルで水気をぬぐったといっても風邪をひくのは時間の問題だろう。
とりあえず、先輩には鞄の中に入れてあったブレザーを羽織ってもらっているが……。
仕方ない。この雨の中だが、家に向かうのがいいだろう。
そう考えて、先輩にその旨を伝えると。
「わかった!」
機嫌が一応直ったようで、いつも通りの返事をもらえた。
マンションに着いた頃には雨はより一層強くなっており、先輩に貸したブレザーも水を吸いまくってびちょびちょになっていた。
入口の前で軽く服を絞り、水が滴り落ちない位まで服の水気を抜く。
エレベーターに乗り込むと、既に誰か来ていたのか床が濡れていた。
先輩の部屋がある階まで上がる間にふと疑問がわく。
そういえば、あの大雨のなかストーカーはどうしていたんだろう。
天気予報でも言っていなかったし、突然すぎて対策をとる時間はなかったはずだけど……。
雨の中、ずっと先輩を付けていたのかな?
「先輩。今日ってストーカーの視線感じました?」
記憶を呼び起こすように、うつむいた先輩があっという声をこぼす。
「そういえば、途中から感じなくなった! 多分、雨が降り始めてからだと思う!」
「そうですか」
さすがに、雨の中ストーキングを続けるのは難しいと判断して帰ったのか?
なら、安心か。
エレベーターが五階につくと、俺は先輩と別れる。
「今日はこの辺で。ブレザーは……もらったほうがいいですよね」
そういって先輩の肩からブレザーを取ろうとすると、先輩がそれを止める。
「ううん! 私が洗って返すよ!」
あ、そう?
なら、任せようかな。
ブレザー洗濯するの、ちょっと面倒くさいし。
「では、また学校で」
「うん! またね!」
そう言って、俺は再びエレベーターに乗り込む。
その時、先輩が扉を開けたのが見えた。
だが、このマンションの玄関には人感センサーの照明がついているはずなのに、先輩が中に入る前に光が中から漏れているように見えた。
先輩もその点には気が付いたのか、少し首を傾げたが、すぐに故障か何かだと判断したのだろう。
「あーベトベト……。すぐにお風呂に入りたい……」
と言って、特に気にせず中に入っていた。
俺も少し気になったが、深く考える前にエレベーターが閉まって動き始めたので思考を切り替える。
今日のところは大丈夫だったが……明日以降もイレギュラーが続くと俺も困るのでここらで犯人を見つけたいところだ。
まずは、ストーキングが始まるきっかけだな。
たしか、昨日の時点で香奈先輩は九日前にストーキングが始まったと言ってたな。つまり、今日から十日前だ。
なら、何故もっと前、あるいは後ではなかったのか。
考えるべきはどんなきっかけで始まったのかということだな。
先輩に振られたやつの逆恨みか?
ただ……それなら先輩も多少は疑うはず……だが、そのことについて一切の言及がなかったから考えにくいか?
勿論、知らないおっさんとか全然タイミングが関係ない人とかが犯人の可能性はあるが……先輩の家がバレていること、中に入ることができたことから何らかの形で香奈先輩に近しい人物だと思う。
他に、あった出来事とすれば……。
そこで、香奈先輩のお父さんの言葉が頭に浮かぶ。
『つい十日前に近くに引っ越してきてね』
……まさか。いや、でもそう考えるとほかのことに説明がつく。
香奈先輩の両親がいない時間が分かったのは、彼のご両親も法事に参加したため!
家の中に入ることができたのも合鍵を所持していたため!
さらに言えば、彼は学生だ!
だが……理由はなんだ?
………まさかな、いやいやそんなわけない……ない、よな?
香奈先輩が兄のように慕っている、小町裕也が……実は香奈先輩のことが好きだなんて。
……しかし、ストーカーは俺に殺気を向けてきたし、もしこの予想が合っていれば理由になる。
だとすると、今まで以上に警戒しないとな。
決めつけるのは危険だが……一応、香奈先輩には警戒ぐらいはするように伝えないとな。
ここまで考えたところで、エレベーターが止まり扉が開く。
ちなみに、先輩が拭いた後に主人公も同じタオルで服とか頭とかを拭きました。
後に、先輩はあの時タオルを借りパクしておけばよかったと後悔します。




