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現実より、異世界生活⁉︎  作者: ちゃぐ
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1–24:まさかの同居人

 結局、シルヴァさんは二階の自室で何かの作業をしていた。見つけたのは探し始めて四十五分ぐらい経った頃だった。ヒルデの案でカルファさんの部屋に行くことになったのだが、そうでなければもっと掛かっていただろう。


「はあ、はあ。やっと見つけた。探しましたよ、カルファさん」

「おお拓真、どうした?……って、もうこんな時間か。悪いな、結構探したか?」

「はい。なかなか見つからなくて……」

「悪い、悪い。それで勉強の方はどうだった?」

「分かりやすくて、とても良かったです」

「そうか、それは良かったな。よし、じゃあ仕事を再開しようか」

「はい!」


 その後、王室の夜食の時間まで様々な仕事を教えてもらいながらそれぞれをこなしていった。先ほどの掃除の続き、客人のもてなしといったところだ。

 時間は十七時四十分。王室の夜食の時間は十八時からのため準備に取り掛かる。しかし、さすがにまだ見学していろとのことだった。

 昼食の時と同様に先輩の下僕の方達の動きを見学していた。

 夜食を食べ終わると王室の方たちは自室へと戻っていった。そして僕たちも片付けをして部屋を出た。すると、部屋の外では先に戻ったはずのマリーが廊下で一人待っていた。

 先輩たちには先に行ってもらって、僕はマリーに近寄っていった。


「どうしたの? もう戻ったと思ったのに」


「うん。ちょっと、あんたに話があったから」


 彼女とは勉強の時と以来だ。気持ちよさそうに眠っていたから起こさずに勝手の行ってしまったことに怒っているのか? しかし、そうではなかった。


「街を案内するって言ってたでしょ。それなんだけど、このあと時間ある?」


(なんだ、そのことか……)

 僕は胸を撫で下ろし、答えた。


「大丈夫だと思うけど、この後も仕事があるかもしれないから聞いてみないと……」


 彼女は少し考えている。


「うーん……わかった。待ってるから行けそうだったら私の部屋まで来てくれる?」


「わかった。じゃあ、それで」


 そうして、マリーとはその場で別れた。

 僕は先に行ってもらった先輩たちを急いで追いかけた。しかし、先輩たちは各々、自室に戻ったらしかった。それを知り、僕はカルファさんの部屋へ向かった。

部屋に入ると着替えている最中のカルファさんがいた。


「マリー様はなんだって? まさか告白か?」


 カルファさんは野太い声で冗談交じりに笑っている。


「ち、違います!」


 顔が熱くなるのを感じた。からかわれているのはわかっていた。それでも、動揺を隠しきれなかった。


「冗談だ。そんなに焦らなくても違うのはわかってるよ。なに動揺してるんだ? それとも……まさか、お前……?」


「違いますよ。カルファさんが急に変なこと言うからでしょ! ほんと……」


 楽しそうに笑うカルファさんを僕は強めの口調で否定した。



「悪かったよ」


 今なら、自分が今日マリーをからかった時の彼女の気持ちがわかった。それに一日働いてきたけど、このやり取りで一気に疲れがきた気がする。

 ようやく、先ほどの件を話すとカルファさんは簡単にOKをだしてくれた。もう、仕事も終わりで休んで大丈夫とのことだったので好きにしていいと言われた。


「ただ、晩飯の時間には戻ってこい。時間を過ぎたら、食べれないからな。お前が困るだけだぞ」

「はい、わかりました。それまでには戻ってきます」

「よし! じゃあ、今日は初日の仕事、お疲れさま」

「お疲れ様でした!」


 そうして、部屋を出た。

 僕はマリーの部屋に行く前に、一旦、自分の部屋に戻ることにした。

 ドアノブに鍵を差し込んで捻ると、その捻りは空回り。理由は鍵が空いていたからだ。確かに今日の朝出るときに締めたはずなのに、そのドアは開いた。


(まさか、こんなに警備がしっかりしているところで泥棒?)


「おかえりー、新人くん」


 中から高めの声の人物に迎えられた。


(誰だ? まさか泥棒本人……そんなわけないか……こんなに堂々と)


 ソファーで横になっていたその人物は飛び起きると、入り口近くにいた僕に近づいてきた。近づいてきてわかる。それほど身長は高くなく、僕よりも低い。


「やーやー。笹森拓真だろ」


「あのー、だれですか? なんで僕のこと……」


 彼は手を手のひらにポンと置いて答えた。


「そうだ、まだ名乗ってなかったな。俺はササミって言うんだ、よろしくな!鶏肉のささみとはイントネーションが違うからそこは覚えとけよ」


 彼は今までのこの城の中で出会った人たちの中で一番声が大きいし、どこかチャラチャラしているというか馴れ馴れしいというか、最初の対面としてはそんな印象を受けた。しかし、その印象は間違っていなかった。


「よろしくお願いします、ササミさん」


「違う、違う! サ ↘︎ サ ↗︎ ミ → だ。それに堅すぎる。同い年だし、タメ口でいいって!」


  同い年とは知らなかったし、正直、年下かと思っていたから、少し驚いた。


「よろしくね、ササミ。でも、なんでこの部屋にいるの? というか何者なの?」


 疑問がたくさんあったので直接聞くと、意外な答えが返ってきたのとそれと一緒になるほどなと納得した。


「いや、ここは俺の部屋でもあるし、それに俺の方が先に居たから。昨日はたまたま部屋に帰らなかっただけで、お前と顔を合わす機会がなかっただけ。それに俺は料理人の見習いで、別に怪しいやつではないかな!」


「別に思ってませんよ。ただ、気になっただけで、少し驚きはしたけど……。それじゃあ、これからよろしくね……になるのかな?」


 正直、怪しいと思っていたので図星だったが、これから共に生活する者として改めて挨拶した。しかし、同居人がいたなんて誰からも聞いていなかったので、誰かしら教えてくれれていればこんなに驚くこともなかったはずだ。


「ああ、よろしくな拓真!」


「よろしく、ササミ!」


 彼とがっちりと握手を交わした。その手は料理人の見習いということもあって所々に傷が目立っていた。少し、馴れ馴れしいが同い年だし、なんだかんだ仲良くやれそうな気がする。

 後ろではその様子を傍観していたヒルデが立っている。ササミは彼女のことも聞いているのだろうか、普通なら疑問を持つはずだが特に彼女について触れてこなかった。

 

 しかし、こうしている暇はなかった。マリーが待っているのだから。


お読み頂き、ありがとうございました。

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