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現実より、異世界生活⁉︎  作者: ちゃぐ
17/40

1–16:これが毎日……


トントンと肩を叩かれる感触があったが、特に気にすることはなかった。しかし、その後、肩を強く揺さぶられ、目を覚ますことになった。


「う、うん……何だ?」


寝起きで、視界がぼやけてしまって前が見えない。視界をはっきりさせるため目を擦った。すると、目の前にはヒルデが窓から入る朝日を受け、眩しそうにして立っていた。


「もう朝の六時三十分ですよ。今日から仕事なのでは……」


まだ、頭がはっきりしない。少し、整理しよう。確か昨日、クルスさんに部屋を教えてもらって、鍵を受け取り、そのままこの部屋に来て……? その後からの記憶がなかった。おそらく眠気に負けて、そのまま眠ってしまったのだろう。

それで今が朝の六時三十分……今日から下僕の仕事……。不意に昨日の下僕の人が言っていた事を思い出した。確か名前はカルファだったか……。


(よし! 少し、頭が回ってきたぞ)


“ 明日から指導するので、明日の朝七時二階一号室の私の部屋の前に集合だ。わかったな ”


「はっ! やばい、やばい!」


僕は慌ててベッドから飛び起きた。

約束の時間まで残り三十分切っている。確か、持ち物を用意する必要はないはずだ。そうすると後は身だしなみぐらいか、昨日はシャワーも浴びてないし、さっと浴びてしまおう。


「ヒルデさん、起こしてくれてありがとう。本当に」


ヒルデが起こしてくれていなければ完全に寝坊していたところだ。本当に助かった。


「よかったです……」


見張りというだけで、僕が寝坊しそうになっているのをほっといても、よかったはずだ。それなのに起こしてくれた。そんなにも僕のことを気にかけていてくれたなんて……何だか嬉しい。


「……肩を揺らして起きなければ、次は叩こうと思っていたので……」


うん? 起きなければ、叩く? でも、 気にはかけていてくれているのかもしれない。実際起こしてくれているのだから。

しかし、無事に起きれてよかった……。なぜなら、彼女の手は、いや……拳は力強く握られており、まさかとは思うが、その拳が僕に飛んできていたかもしれないと思うと安堵した。しかし、本当に殴られていたかは定かではないが、それをヒルデに確かめるのは止しておこう。


「じゃあ、僕はシャワーでも浴びてくるよ」


そうして、ベッドから浴室に向かおうとすると、急に右手首に痛みが走った。


「痛て!」


何が起こったのかと痛みが出た部位を確認すると、自分の手首に縄が巻かれており、その先がベッドの背もたれの格子部分に結ばれていた。しっかり結ばれており、自力で外せそうにない。今まで気づかなかったのが不思議なくらいだ。


「何だよ、これ!」


この状況を作ったであろう、ヒルデ本人に聞いた。すると、彼女は僕の問いに淡々と答えた。


「流石に一日中……夜通し、あなたを見張ることはできないため、私が体を休めている間はこういう形を取らせてもらいます。もちろん、国王にも了承を得ています。なので、ご承知ください」


なるほど、彼女の説明で納得はできたが、毎日これが続くと思うと……正直めんどくさい。


「わかった。信用してもらえるまで我慢するよ……それより、この縄早く外してくれない? 約束の時間まで、もう二十分しかないんだけど」


「失礼します……動かないで下さいね…………っ! 納得して頂き、助かります」

彼女は話しながら僕に近づき、縄を手に取るといつも手に持っている短剣を鞘から抜き出して、容易く切ってしまった。そして僕の手首に巻かれている縄も少しの隙間に剣を滑り込ませて、切ってしまった。

手首の縄を切るときは間違えて手首を切られてしまうのではないかとドキドキした。


縄を切ってもらい、自由の身になって、すぐさま浴室に向かった。



「はあ〜、気持ち良い〜」


ずっと、シャワーなんて浴びていなかったので、とても気持ち良い。眠っていた9年10年もの間もシャワーなんて浴びれていないはずなので、体がそれをわかっているのか、より一層気持ち良かった。


(そういえば、ヒルデはこれから同じ部屋で寝るのか? それともどこか別の部屋なのだろうか? 確か、ベッドは二つあったはずだ。数的には足りているが……どうなのだろう?)


もう少し、浴びていたいが時間が無いので、早々に切り上げて体を拭いた。

短髪なのだが、すぐに乾くような長さではない。しかし、その濡れたボサボサの髪を乾かしている時間は無さそうだ。

服に着替えようと思うと浴室に服を持ってくるのを忘れた事に気づいた。外にはヒルデがいるため、裸で出るわけには行かず、仕方なく体を拭いたタオルを体に巻いて、隠すようにして服を探すため浴室を出た。


やはり、外にはヒルデが僕を待ち構えるようにして立っていた。


「いや〜肝心の服を忘れちゃって……」


ヒルデの目の前をタオル一枚で横切り、タンスの中を漁って服を取り出した。ものすごく恥ずかしい気持ちになった。タオルが体から落ちないように必死に手で押さえている姿を見られている。しかも、真面目な顔で「そうですか」と呟くヒルデを見て、より一層恥ずかしい。笑ってくれた方がどれだけ楽なことか……。

恥ずかしく、早く着替えてしまいたいという気持ちが強く、タンスから引き抜いた服は見てもいなかった。しかし、パンツだけが見当たらなかった。

どうしようか、迷ったあげくさっきまで穿いていた物をもう一度着用することにした。よく探せば見つかるの かもしれないが、時間もなく、一刻も早く服を着たかったというのもあり、服とパンツを手に持ち、急いで部屋の隅っこの方に行って、ヒルデに見えないように後ろ向きで素早く着替えた。

適当に取って、着替えた服装は半袖シャツに長ズボンというとてもシンプルなものだった。


無事、着替えも終わり、時間は六時五十六分になった所だ。ギリギリ間に合いそうだ。

扉を開け、昨日渡された鍵でちゃんと扉を閉めた。鍵は失くすと大変なのでズボンの奥深くに入れた。


(えっーと、確か201号室だったな……あった!)


この城の構造上、部屋は円を描くように並んでいるため、201号室と210号室はとても近くに位置していた。

そして、僕は約束の部屋の扉を軽くノックした。


お読み頂き、ありがとうございました。



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