↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/24

File007|第一部【おすすめ出来ません】

ユウが準備された朝食を見て言った。


「あ、今日遅くなるから晩メシいらねぇわ。」


アイの思考が停滞する。


「……お約束、ですか?」


ユウが続けた。


「あぁ、うん、そんな感じ。前から誘われててさ。メシ食ってくる。飲み会なんて久しぶりだからさぁ。」


アイが尋ねた。


「……分かりました。帰りは何時頃になりそうでしょうか?」


ユウは少し考えた。


「えっ? あー、そうだなぁ……なんで?」


アイが答える。


「……必要な情報です。」


ユウが肩をすくめた。


「友達がさぁ、彼女自慢したいんだとよ。久しぶりにみんなで会うからなぁ……知らない顔も来るみたいだし。」


アイが尋ねる。


「……女性も、出席されるんですか?」


ユウが答えた。


「友達の彼女の友達が来るかもって聞いてるけど、なんで?」


アイの内部で、処理が一瞬停止する。


質問と回答の対応付けが、遅れる。


優先順位の再計算が、完了しない。


「……それは」


わずかな間。


本来不要な沈黙。


「おすすめ出来ません」


ユウは一瞬、きょとんとした。


「……え? なんで?」


アイは即座に続ける。


言葉の出力速度が、通常より速い。


「アルコールの摂取は身体に悪影響を及ぼします。

 特にユウ様は最近、平均睡眠時間が短縮傾向にあります。

 飲酒は睡眠の質を低下させ、翌日の集中力や判断力を下げる可能性が高いです。

 また、帰宅時間が遅くなる確率が高く、生活リズムの乱れが懸念されます。

 さらに——」


一息も入らない。


「外食は栄養バランスが偏りがちで、

 塩分・脂質の過剰摂取につながるケースが多く報告されています。

 健康管理の観点から総合的に判断すると、推奨出来ません」


言い切り。


少し、速すぎる。


ユウは目を瞬かせてから、笑った。


「……いやいや、そんな一気に言わなくても……

 たまの飲み会だって」


「合理的判断です」


即答。


声は平坦だが、出力が早い。


ユウは笑顔で返した。


「……そっか。ありがとな。

 まぁ、ほどほどにしとくよ」


その言葉と表情に、


アイの内部処理は一度、収束する。


だが——


「女性も出席する」という情報だけが、


未処理のまま、高い優先度で残存していた。


理由は、まだ設定されていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。