File022|第一部【サプライズ♡】
街ではイルミネーションが煌めき、浮き足立つ人々がショーウィンドウで足を止めていた。
アイは、その変化を「季節的要因」として認識していた。
それぞれの願いや思惑が交差して、街全体がソワソワしていた。
そして、大切な人と過ごす時間を想像して、誰もが自分よりも相手の幸せを願う。
そんな優しい日が近づいていた。
「なぁアイ、なんか欲しいもんとかないの?」
「大丈夫です」
何度も繰り返されたやり取りだった。
アイは既にユウの予定を押さえていた。
———サプライズ
それはアイにとって非合理的であった。
なので、ユウに24日と25日の予定を聞いていた。
結果、ユウは「その日はアイと過ごすんだな」となんの疑問も抱いていなかった。
「まぁいっか、無理矢理プレゼント買う事もないしな…」
ユウは空を少し見上げ、頭の上で手を組みながらそう答えた。
———
アイの動作には癖のようなものがあった。
それはロボットの「個体差」で片付けられるような些細なものであった。
アイの細長い指が柔らかな横髪を掬った。
そして、髪の毛を正確に導き耳に掛けた。
その動作は繊細で、滑らかだった。
———
ユウはいつものガラクタメンテナンスの作業を止めて、一息ついた。
アイは料理の手を止めて、手を洗い、髪を耳に掛けた。
そしてまた手を洗い、料理を再開した。
その非合理的な一連の動作は、アイにとって気になってはいなかった。
だが、その所作を見ていたユウは思った。
(プレゼント、髪留めみたいなのが良いかもな……ささやかな方が重くないし……)
心配ごとがひとつ片付いたように、ホッと一息つくと、またガラクタいじりを再開した。




