File018|第一部【梱包作業】
アイは意を決した。
「……ユウ君」
ユウが振り向いた。
「ん?、どした?」
「……バックアップが必要です」
ユウが焦った。
「えっ?、急にどうした?不具合か?」
「いえ……システム系統の異常は検知されていません。」
「ただ……記憶領域のストレージ容量の不足が……その……申し訳ございません……」
「消去出来ないものが増えてしまって……」
ユウは小さく溜め息をついた。
「……なんだよもう……びっくりさせんなよ……」
「……わかった!任せとけ!」
「……申し訳ございません。」
(記憶領域の不足、か……)
(……消せないって言ってたよな)
ユウはスマホを取り出し、検索欄を開いた。
(……ちゃんとしたやつ、選んどくか)
なぜそう思ったのかは分からなかった。
ただ、そうした方がいい気がした。
———
ユウは一人で買い物に来ていた。
「ちょっと高いやつだけど、安物買いはしたく無いしな。ヨシッ!これにしよう。」
「袋はお付けしますか?」
「あ、持ってるから大丈夫です。」
帰り道、ふとショーウィンドウにプレゼント箱が飾られているのが目に留まった。
自分のエコバッグと見比べた……
「……流石にコレは無いかwww」
ユウはその雑貨屋に入り、梱包材を選び始めた。
「……やべぇ……種類が多過ぎて全然分からねえ……どうすっか……」
「……そう言えばアイのやつ、紫好きだよな?」
「ヨシッ、紫にすっか。」
ユウは紫色の梱包紙と、貼り付けるだけのリボンを購入した。
店内には、あつらえたように小さな作業スペースが設けられていた。
ユウは早速梱包を開始した。
梱包紙を破かないように、上手な包み方を何度も確認して慎重に作業した。
そしてリボンを左上に貼り付けて……
———完成!!
紫色の梱包紙に紫色のリボン……
ユウの手が止まった。
「……なんか……思ってたのと違う……」
「……」
「……ま、いっか」
そのまま店から出ていった。




