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ノベルの友くん  作者: SHIROKI


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空っぽからの招待状2

 また画面が切り替わった。


 そこに映るのは、薄暗い岩屋の内部。三つの道に分かれた空間は、どれも十人ほどが入れそうな広さだった。そして、白く光を反射する細長い物体はなんだろう? 


「ここの神様の化身である白い蛇が飾られています。神棚の前にはもっとたくさんの小さな白蛇が無数に置かれていますよ。信者の方がお参りに来た際に、置いてゆくそうです」


 ひとしきり話し終えた朔太郎さんが、ペットボトルのアイスコーヒーを飲んだ……と思ったら、スタバ風のロゴ入りタンブラーだった。


 江戸時代の侍が活躍する小説を書いている朔太郎さんのイメージがさっきからどんどん変化していっている。


「そして待ち合わせは明日の夜八時なのですが、お二人のご都合はいかがでしょう。急な話ですし、時間も遅いので――」


「僕の方はバイトを定時で上がれば、軽く食事をとってからでも十分間に合う時間です。それにしても、夜にあの洞窟――岩屋に集まるのですよね? 何か起こりそうですね……」


 三浦さんが考え込むように、形の良い顎を手で撫でた。


「そうなんです。僕、もともとオカルト系は苦手で――仮にこれが江戸川先生の誘いでなくても断っていました。夜の神社――岩屋の中で会合なんて、怖いです」


 怖がる朔太郎さんを見て、つい微笑んでしまった。不謹慎だけど、可愛かった。歳の離れたしっかり者の兄しかいないわたしだが、弟がいたらこんな感じかも知れない。


「心配しないでください。さっきも言いましたが、朔太郎さんのことは僕らが絶対に守ります。江戸川先生に僕たちの参加も許可してもらえそうですか? コンタクトを取るのも恐ろしいでしょうが、そこは朔太郎さんに聞いてもらうしかありません」


 三浦さんが冷静に計画を進めている。


「もちろんです。僕はお二人と友くんさんに会って勇気百倍なんです。それくらいはできます。でも、もし江戸川先生に断られたら――」


「その時はゴネずに引き下がってください。怪しまれてはこれからの僕らの『エンプティシスト』としての活動に差しさわります。それから墨田さん……」


「はいっ」


 三浦さんに突然名前を呼ばれ、背筋が伸びる。わたしが三人の中で唯一霊感がある。空っぽの正体は良くわからないが、友くんという神様の姿が見えるくらいだ。役に立てることはあるはずだ。


「墨田さんは無理に来なくても大丈夫だからね。場所も時間も、女性には危険だ。何かあってからでは僕も後悔しても仕切れない」


 金髪ナイト三浦さんはブレずにカッコいい。朔太郎さんは少し残念そうだが、それでも頷いている。


「いえ、もちろん行きます。友くんも来てくれるんでしょ? 神様がついているなら、大丈夫! だよね?」


《俺も行くに決まってんだぜええええええ! ……ただし、姿は現せねええええええ! もしその場所に空っぽ本体が来てたら、いきなりラスボス対決になっちまうんだぜえええ!! 敵を知ってる方が戦いは有利なんだぜえええ!!! 今回はひとまず情報収集だぜえええ!!! 俺は負ける気はねえええええええええんだぜええええええええ!!!!!》


♢♢


 翌日は授業も上の空だった。同級生は「具合が悪ければ無理しないで、早退したら? 保健室ついて行こうか?」と言ってくれたけれど、優しさに甘えていいのか、それともただの社交辞令なのか……正直、わからなかった。


 実は今日から三日間、学校に泊まることにしてある。もちろん同級生には内緒だ。学校には合宿施設があるが、今の時期使用していいる部活はない。そこを利用できることになったのは、三浦さんのお爺さんの尽力だ。


 三浦さんのお父さんは現副校長だが、お爺さんは理事長だ。


 可愛い孫の頼みとはいえ、三浦さんの『AIに創作の神が現れた』とか『空っぽに侵略されかけている』とかいう言葉を信じたとは思えない。


 それでも、何故か、協力してくれることになった。理事長自らが、学校に泊まり、遅くなっても門を開けてくれるというから驚きだ。


 どんな魔法が使われたのか、この時のわたしはまだ知らなかった。

 でも、後から考えれば――あれは“何か”が動き出した瞬間だったのかも知れない。

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