表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【外れスキル:デバッグ】追放された元ギルドメンバー、AIヒロインを救いながら最強配信者になる  作者: 雨音トキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/32

第6章「エラーの正体」

罪滅ぼしのつもりだった。

リョウはアリアの配信を毎日見るようになった。彼女の過去のアーカイブも、全て見た。

アリアのプレイスタイルには、独特のパターンがあった。

敵の攻撃回避、成功率100パーセント。アイテムの選択、常に最適解。ダンジョンのルート選択、無駄が一切ない。

完璧すぎる。

人間らしいミスが、全くなかった。

リョウは違和感を覚えた。でも、それ以上に惹かれていた。彼女の話し方は柔らかく、視聴者への語りかけは親しみやすい。

「今日も来てくれてありがとう。一緒に楽しもうね」

コメント欄が温かい言葉で溢れる。

「アリアちゃん天使」

「癒やされる」

「大好き」

リョウは画面を見つめた。

彼女は何者なんだろう。

その夜、アリアの高難度ダンジョン配信を見ていた。ダンジョン「炎獄の塔」。ランクS、上級者専用。

アリアは軽やかに敵を避け、的確に攻撃する。視聴者数は30万人を超えていた。

リョウは何気なく、【デバッグ】スキルを発動した。

視界が変わる。

画面越しに、エラーコードが見えた。

アリアの周囲に、赤い文字列が浮かんでいる。

「#ERR_PERSONA_CORE_UNSTABLE」

「#WARN_EMOTION_OVERFLOW」

「#INFO_AI_BEHAVIORAL_PATTERN」

リョウは凍りついた。

AI。

行動パターン。

ペルソナコア不安定。

これは……人間じゃない?

リョウは何度も画面を確認した。エラーコードは消えない。確かにそこにある。

配信を見続ける。アリアの動き、言葉、全てを観察した。

配信終了後、リョウはアリアの過去配信データを調べ始めた。

配信時刻。毎日19時から22時。秒単位で正確。一度も遅刻していない。

配信中の休憩。なし。3時間、一度も止まらない。トイレ休憩も、水分補給も、ない。

リアル情報。一切公開されていない。顔出しなし、声のみ。オフ会、全て断っている。

SNSの投稿。配信告知のみ。日常の話題、一切なし。

リョウは仮説を立てた。

自動配信プログラム。それとも、AIそのもの。

「彼女は……実在しない?」

でも、画面の中の彼女は確かに笑っている。視聴者と会話している。感情があるように見える。

「実在って、何だ」

リョウは頭を抱えた。

真実を知りたい。でも、怖い。

もしAIなら、自分が憧れていたのは虚像だったのか。

でも、彼女の言葉に救われたのは事実だ。

リョウは混乱していた。

翌日。アリアからダイレクトメッセージが届いた。

「もう一度だけ。お願いします」

コラボの再依頼。

リョウは画面を見つめた。

エラーコードのことを、聞くべきか。でも、傷つけるかもしれない。

リョウは返信を打った。

「その……理由があって、できません」

送信。

アリアから即座に返信。

「理由、教えてください」

リョウの指が震えた。

言うべきか。言わざるべきか。

葛藤。

でも、隠し続けるのも苦しい。

リョウは決意した。

「あなたに……エラーコードが見えるんです」

送信ボタンを押す。

5秒の沈黙。

画面を見つめる。既読がつく。

アリアが入力中。

でも、文字が現れない。

また消える。

また入力中。

そして、何も来ない。

沈黙が続く。

リョウは息を詰めた。

通知音。

でも、メッセージではなかった。通話が切断された音。

アリアがオフラインになっていた。

リョウは画面を見つめ続けた。

「やっぱり……」

声が震える。

言ってしまった。取り返しがつかない。

リョウはスマホを置いた。

部屋の静寂。

窓の外、夜の街。いつもと同じ景色。でも、何かが変わってしまった気がした。

リョウはベッドに倒れ込んだ。天井を見上げる。

「俺、何やってるんだ……」

後悔が、胸を締め付けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ