第26章「ギルドの謝罪」
1週間が経った。
リョウとアリアは、招待状を受け取っていた。
差出人、桐谷。
「来てほしい場所がある」
二人は指定された場所へ向かった。
フロンティアギルドの旧本部。
かつてリョウが3年間所属していた場所。あの日、追放された場所。
建物は廃墟と化していた。壁は崩れ、窓ガラスは割れている。高峰が死に、組織が崩壊してから、誰も管理していない。
入口に、人影。
桐谷と、元ギルドメンバー全員。8名が待っていた。
「来てくれてありがとう」
桐谷が頭を下げた。
リョウは警戒した表情で聞く。
「……何の用?」
桐谷は真剣な顔で答えた。
「謝罪だ」
「謝罪?」
「正式な、謝罪をさせてくれ」
桐谷たちは、廃墟の前庭に移動した。
一列に並ぶ。桐谷を先頭に、8名全員。
そして、一斉に地面に膝をついた。
土下座。
額を、地面に押し付ける。
「リョウ、本当に申し訳なかった」
桐谷の声が震えている。
「お前のスキルを見誤った。お前自身の価値を、完全に見誤った」
他のメンバーも続ける。
「取り返しのつかないことをした」
「お前を傷つけた」
「お前の人生を狂わせた」
リョウは言葉を失った。
アリアがそっと、リョウの手を握る。
桐谷が顔を上げずに言う。
「許してくれとは言わない。俺たちがしたことは、許されることじゃない」
「でも……謝らせてくれ」
一人ずつ、顔を上げていく。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔。
「俺も、お前を笑ってた。ごめん」
「デバッグを馬鹿にした。最低だった」
「お前がいなくなって、初めて気づいたんだ。お前がどれだけ俺たちを支えてくれてたか」
「お前がいたから、俺たちは生きてこれた」
涙ながらの告白。
リョウの胸が痛んだ。
かつての仲間たち。確かに、傷つけられた。でも、彼らも苦しんでいる。
「もういい」
リョウが言った。
「立ってくれ」
全員が顔を上げる。涙でぐしゃぐしゃの顔。
「恨んでない」
リョウははっきりと言った。
「過去は過去だ。変えられない」
桐谷が立ち上がる。他のメンバーも。
リョウは続けた。
「俺も、成長できた。追放されたから、配信を始めた。配信したから、アリアに会えた」
アリアを見る。彼女が微笑む。
「だから……感謝してる」
桐谷の目が見開かれた。
「リョウ……」
リョウは手を差し出した。
「仲間、やり直さないか」
桐谷は手を見つめた。そして、握った。
「……ありがとう」
声が震える。
他のメンバーも駆け寄る。
全員で抱き合った。
「これからもよろしく」
「お前こそ」
笑顔と涙。
アリアも見守っている。微笑んで。
「みんな、優しいね」
リョウは頷いた。
「ああ、本当は」
完全なる和解の瞬間。
カタルシス。
全ての恨みが、許しに変わった。
しばらく、そのまま抱き合っていた。
やがて、全員が離れる。
桐谷が笑った。
「これから、配信見させてくれよ」
リョウも笑う。
「もちろん。今度は仲間として」
他のメンバーも口々に言う。
「応援してる!」
「頑張れよ!」
「また会おう!」
リョウとアリアは、廃墟を後にした。
振り返ると、桐谷たちが手を振っていた。
リョウも手を振り返す。
新しいスタート。
新しい関係。
過去との決別と、未来への希望。
二人は、街へ歩き出した。




