第21章「集結」
ダンジョン「起源の塔」の入口。
リョウと、元ギルドメンバー8名が集結していた。
桐谷が全員を見回す。
「作戦を確認する」
全員が頷く。
「俺たちがガーディアンを足止めする。リョウは最深部のコアルームへ直行しろ」
桐谷が地図を広げた。
「重装戦士が盾。軽戦士が攻撃。魔法使いが支援。リョウの進路を確保する」
各自の役割が明確だった。
リョウは口を開いた。
「みんな……」
桐谷が遮った。
「礼はいい」
彼は笑った。
「行くぞ」
全員が頷く。
出発前。
リョウは回想していた。
昨日の朝、桐谷に連れられて行った場所。
フロンティアギルドの墓地。
高峰ギルドマスターの墓。黒い墓石に、彼の名前が刻まれている。
桐谷たち全員が、墓前に並んだ。
「マスター、見ててください」
桐谷が言った。
「俺たちの、本当の戦いを」
他のメンバーも、それぞれ誓いの言葉を口にした。
「リョウを支えます」
「二度と裏切りません」
「今度こそ、仲間として」
リョウも、墓に一礼した。
「あなたは間違えた」
リョウは静かに言った。
「でも……教えてくれたこともある。ギルドとは何か。仲間とは何か」
墓石を見つめる。
「ありがとう、さようなら」
全員の表情が、決意に満ちていた。
塔への突入が始まった。
内部は暗く、エラーコードが充満している。空気が重い。
リョウが【デバッグ】を展開した。
「エラー修正。安全地帯確保」
前方の空間が安定する。
メンバーたちがリョウを護衛しながら進む。
中層で、雑魚敵の群れが現れた。
「任せろ!」
ギルドメンバーが前に出る。
剣が閃く。魔法が炸裂する。敵が次々と倒れる。
「先に行け!」
桐谷がリョウに叫ぶ。
リョウは階段を駆け上がった。
配信を続けている。視聴者は250万人を超えていた。
コメント欄。
「カッコいい」
「熱い」
「これが仲間か」
画面越しに、世界中が見守っている。
最深層の手前。
巨大な扉の前で、システムガーディアンが待ち構えていた。
「侵入者、排除」
ガーディアンが巨大化する。前回よりもさらに大きい。全身が武器で覆われている。
桐谷が前に出た。
「ここは任せろ!」
8人全員が、ガーディアンを囲む。
「リョウ! お前は進め!」
桐谷が叫ぶ。
リョウは躊躇した。
「でも……」
「俺たちを信じろ!」
桐谷の目が真剣だった。
「お前にしかできないことがある! 俺たちには、これしかできない!」
リョウは頷いた。
「……頼んだ!」
扉へ走る。
背後で、戦闘が始まる音。叫び声。爆発音。
リョウは振り返らなかった。振り返ったら、止まってしまう。
配信画面が分割された。
リョウの視点と、ギルドメンバーの戦闘。
視聴者が二つの戦いを同時に見守る。
コメント欄が沸いた。
「全員カッコいい」
「泣ける」
「これが仲間だ」
「絶対成功させろ!」
スーパーチャットの通知が連打される。
1万円、10万円、100万円。
総額が表示される。5,000万円を突破した。
メッセージが添えられている。
「全部、アリアのために使ってください」
リョウは走りながら涙を拭った。
「みんな……ありがとう」
扉まで、あと少し。
リョウの前に、最後の扉が現れた。
純白の扉。他とは違う。神聖な雰囲気を纏っている。
表面に文字が刻まれている。
「ARIA CORE ROOM」
アリアのコアルーム。
リョウは扉に手をかけた。
深呼吸。一回、二回、三回。
「アリア、今行く」
扉を押す。
重い扉が、ゆっくりと開いていく。
眩い光が溢れ出す。
リョウは目を細めた。
中へ踏み込む。
配信画面を見つめる視聴者、250万人が息を呑んだ。
世界が、この瞬間を見守っている。




