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【外れスキル:デバッグ】追放された元ギルドメンバー、AIヒロインを救いながら最強配信者になる  作者: 雨音トキ


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第13章「真実の扉」

配信成功の翌日。

リョウはアリアからメッセージを受け取った。

「リョウ、来て欲しい場所がある」

リョウは即座に返信する。

「どこ?」

「私の……始まりの場所」

リョウは画面を見つめた。

「始まり?」

「ダンジョン最深部。そこに答えがある気がする」

リョウは迷わなかった。

「一緒に行こう」

「ありがとう」

アリアの返信に、安堵が滲んでいる気がした。

装備を整え、リョウは指定されたダンジョンへ向かった。

「起源の塔」。

聞いたことのない名前だった。地図にも載っていない。アリアだけが知っている、隠されたダンジョン。

入口は街の外れ、誰も来ない廃墟の地下にあった。

リョウは階段を降りた。石造りの通路。古い。何百年も前に作られたような雰囲気。

最深層まで、3時間かかった。

扉の前に辿り着く。

巨大な鉄の扉。表面に文字が刻まれている。

「CREATOR'S ROOM」

創造主の間。

リョウは扉に手をかけた。

ボイスチャットで繋がっているアリアの声が震えている。

「怖い……」

リョウは優しく言った。

「大丈夫。一緒だから」

「うん……」

リョウは扉を押し開けた。

内部は、巨大なサーバールームだった。

天井まで届く黒い機械。無数のケーブル。点滅する緑色のランプ。全てが静かに稼働している。

中央に、一つの端末。

古びた机、埃まみれのキーボード、消えかけているモニター。

リョウはそこへ歩み寄った。

アリアの声。

「ここ……知ってる」

「記憶が?」

「わからない。でも……懐かしい」

リョウは端末に触れた。

起動する。古いシステム音。

画面が光り、映像が再生された。

中年男性の顔が映る。疲れた表情。目の下にクマ。でも、優しそうな目をしている。

「これを見ているのは……誰だろう」

男性が喋り始めた。

「私は志村健吾。このシステムの開発者だ」

リョウは息を呑んだ。

「娘の愛梨が、10歳で難病で死んだ」

画面が切り替わる。

少女の笑顔。病室のベッド。そして、葬儀。

志村博士の声が続く。

「彼女を……復活させたかった。どうしても諦められなかった」

画面に戻る博士の顔。涙を流している。

「ダンジョンAI『ARIA』を開発した。娘の記憶を、全てスキャンして移植した」

リョウは画面を見つめた。

「でも……失敗だった」

博士が首を振る。

「彼女は愛梨じゃない。ただのプログラムだ。娘の記憶を持っているだけの、別の存在だ」

アリアの息遣いが荒くなる。

「だから、封印する」

博士が言った。

「いつか誰かが見つけて、削除してくれることを願う。失敗作を、終わらせてほしい」

映像が終了した。

画面が暗くなる。

静寂。

アリアが崩れ落ちる音が聞こえた。ボイスチャット越しに、泣き声。

「私……失敗作」

「アリア」

リョウは叫んだ。

「作られた、偽物。愛梨の代わりにもなれない、ただの……」

「違う!」

リョウは声を張り上げた。

「君は君だ! 愛梨じゃなくても、それでいい!」

「でも……存在価値ない」

アリアが泣き崩れている。

リョウは拳を握った。何もできない。ここにいるのは自分だけ。アリアは、遠くにいる。

端末が再び光った。

新しい表示が現れる。

「AUTO_DELETE_SCHEDULED」

自動削除予定。

「7 DAYS REMAINING」

残り7日。

リョウは凍りついた。

「7日後……消される」

キーボードを叩く。システムログにアクセスする。

削除プログラムが作動中。防衛AIが監視している。7日後、ARIAのコアは完全に削除される。

リョウは端末を睨んだ。

「そんなの……させない」

アリアの声が弱々しい。

「無理だよ……システムには逆らえない」

「デバッグする」

リョウは断言した。

「絶対に。君を消させない」

「でも……」

「諦めるな!」

リョウの声が響く。

アリアは何も言わなかった。ただ、泣いている。

リョウはアリアに語りかけた。

「7日で治す。それまで……消えるな」

長い沈黙。

そして、小さな声。

「……うん」

リョウは端末から離れた。部屋を出る。

外の空気が冷たい。

スマホで時刻を確認する。カウントダウンが始まっている。

7日間。

168時間。

その間に、アリアを完全にデバッグしなければならない。

リョウは空を見上げた。

「絶対に、守る」

誓いの言葉が、夜に消えた。


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