表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/33

解雇の段取り (27)

 私と夫は解雇の段取りを考えた。

私たちは、今後、日本の新居の準備や日本へ住民登録、携帯電話の契約などのために、1週間程度帰国する予定がある。その時に犬たちの面倒を見て貰わなければならない。なので、その前には解雇しない。そして、私たちが日本から戻った2日後から、彼女はフィリピンに里帰りする。有給を全部使って10日間ほどの日程。

さて、いつ解雇通達するか?

 本来なら、解雇の1ヶ月前に通達する。今回の場合、1ヶ月前に通達すると、私たちの日本帰国中もがっつり入ってしまう。円満に契約満了!というならまだいい。だけど、今回は全く円満ではない解雇になるので、きっとヘルパーRは不満に思うはず。ヘルパーRの嘘を理由に解雇通達し、犬たちを彼女に託して家を1週間も空けるわけにはいかない。彼女が、懐いている犬たちをどうにかする…なんてことは考えたくもないが、辞めます事件の時に、自室で何かを壁に投げつけたりして大きな音を立てたりした経緯があるため、カッとなって何か犬たちに危害を加えないとは言い切れない。そして、これはヘルパーあるあるなのだが、解雇が決まったヘルパーは、隙をみて、家のものを盗むという心配がある。とてもよく働いてくれたヘルパーでも、いざ契約満了となったら、貴金属とかの金目のものを盗んだり、酷いと日用品や洗剤などの消耗品まで持っていく人もいるという。まして、我が家の場合は1週間も留守にするのだ。いくらカメラなんて仕掛けて現場を押さえても、カメラ越しでは何もできず、日本から戻った時にはもぬけの殻ってことも可能性として考えなければならない。

 本来なら、私たちが日本から戻ったタイミングで即日解雇でもいいのだ。ただ、彼女は私たちが日本から戻るとすぐに里帰りする。その目的は、娘の結婚式。そんなハレの日の直前に解雇するというのは、人としてどうか…と思ってしまう。嘘をつかれたのは許せないし腹立たしいが、仕事は真面目だったし、犬にも優しかった。そういう事情を考慮して、彼女がフィリピンから戻ってから即日解雇とすることにした。


 即日解雇。文字通り、『今からあなたを解雇します。今すぐに荷物をまとめて出ていってください』と通告して、解雇通達の直後に出ていってもらう。そして、こういう辞めさせ方は、意外と珍しくはないそうで、私が通う美容師さんもそのようにして辞めさせたことがあるそうだ。通達してすぐにヘルパーは荷物をまとめ、エージェントが迎えにきてもらう。ヘルパーの達人曰く、荷物をまとめているときも、そばに立って見ておかないと、隙をみて家のもの持っていかれますよ!とのことだった。また、今日全て持って帰り、後日忘れ物を取りに来るとかは許さないようにしないといけない。何が起こるか分からない。数ヶ月とはいえ、一緒の家に住んだ人間を、こんな風に警戒しないといけないことは、なんともいえない気持ちになる。


 また、エージェントにわざわざ迎えにきてもらうのは、私たちがエージェントのオフィスまで連れていってもいいのだが、彼女の気性を考えると、後部座席から何かされる…という最悪の事態も考慮して、迎えに来てもらうことにした。そしてエージェントのオフィスに行き、書類に雇い主とヘルパー両方がサインする。ヘルパーは就労ビサを失うことになり2週間以内に強制送還になる。ヘルパーが逃げて2週間以内に帰国せず、不法滞在になると雇い主の罪になったりするらしい。そうなると困るので、1人にさせないようエージェントが持っているドミトリーみたいなところに帰国まで入るらしい。解雇の時の帰りの飛行機代は雇い主負担なので、帰りのチケットをエージェントが手配して、いつ、どの便で帰国するのかをチェックして、チケット代を払って、当日帰国。これで全て終了だ。


 ヘルパーRは、私たちがこんな計画を立てていることを知らず、いつも通りに鼻歌を歌いながら家事をしているのを見ると、私たちの方がよっぽど酷いことをしている風にも思えて、なんとも心苦しくなる。でも、ありもしない健康診断をヘルパーの義務だの法律だと偽って何度も外出したり、その費用を請求したことだけでなく、もしかして、嘘はこれだけじゃないんじゃないか?と疑うことにもなり、毎日気持ちがギスギスしている。何かまたありもしない嘘に翻弄されるのではないか?と気が気ではないのだ。こういう気持ちで毎日生活するのはとても疲れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ