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どうして…(26)

 本人に尋ねてない以上確定ではないが、恐らく彼女は何か持病があるのだろう。健康な人間なら3〜4ヶ月なんていう頻度で健康診断に行かない。まして、追加検査なんて受ける必要もない。そして、我が家に来てから健康診断だと言って5ヶ月の間に2回病院に行って、2回とも咳止めをもらっているのを知っている。すぐ飲めるようにキッチンの収納に置いてある。そういう意味では、本当のところ、今回の3,000円も検査費ではなく医療費になるんだろうと思う。

 確かに時々咳をしている。ここに来た時からずっとだ。風邪を引いた時とはちょっと違う咳。私はこれまで何度か「よく咳してるね?大丈夫?」と尋ねてきた。でもその度に本人は「Ahh, 全然大丈夫ですよ?」と何事もないように言ってきた。こちらが聞いても健康だと言うのに、「いあ!病気だよね!」とは言えないし、私は「そう、なら良かった」と言うしかなかったのである。もらってきた咳止めも全く減っていない。確かに薬を飲むほどの酷い咳でもない気もする。彼女の様子を見ていると、もし持病があったとしても、手術や入院が必要な深刻なものでないということはわかる。だったら、嘘などつかずに素直に「実は持病ある、働くのに支障が出るようなものではない」と相談してくれればよかっただけなのだ。堂々と病院に行けるし、診察料の3,000円は通院のために支払う必要があるけれど、治療や薬代は保険で賄えるだろうから、私たちの金銭的負担はその3,000円以外はない。

保険にも何種類かあって、軽いものしかカバーしないもの、ある程度重病になってもカバーできるものの2種類があった。彼女は50歳。年齢的に万一大きい病気になるとも限らないので、私たちは高い方に加入してあげた。高い方といっても、2年間で2万円程度。それで大抵の病気をキャッシュレスで支払える。ヘルパーの権利として堂々とその保険を使えばいいのだ。それなのに、彼女が頑なに健康診断と言うのはなぜ?

 病気だと知られたくないから?それは人として分からないでもない。中には堂々と自分は病気だ!と宣言する人もいるけど、心配されたくない、病人扱いされたくない、と言う理由で、あまり大っぴらにしたくないと思う人だっている。でも、私たちは労働力として彼女を雇っているのだから、ヘルパーの健康状態を先に知りたいのは当然で、雇う前に病気だとわかっていればやはり雇わなかっただろうが、ヘルパーは、雇用主が変わる時に、事前に健康診断を受けて働いてもOKな人しか紹介所にも登録されない。例えば何か持病があっても医師のOKが出ているからこそ、紹介所に登録されたはず。もしも、医師とヘルパーが結託して嘘の診断書を書いてもらって登録したとかなら別だけど。尚且つ、ヘルパーは、持病があったとしても、雇われてから発覚すれば病気を理由には解雇されることはないのだ。それなのに、どうして健康だ!健康診断の費用だ!と言い張るのだろう?雇用主に支払い義務のない健康診断を請求するのは、契約違反になる。どうしてつかなくてもいい嘘をついたのだろう。

私たちに気を遣っているのか?持病があるのに隠して雇ってもらったことを彼女なりに負い目に感じているから?


 考えれば考えるほど、どうして…?と思えてくる。

これは健康診断だ!私は健康だ!と言うなら、なぜ私たちの見えるところに飲みもしない咳止めのボトルを置いておくのだろう。健康だと言いながら、どこか気遣って欲しい気持ちもあるのかもしれないし、分からない。

 それに、3〜4月ごとに健康診断…と言う割には前回から2ヶ月ちょっとしか経っていないのを、自分で矛盾だと思わないのか?

 そして、最大の謎なんだが、こんな紹介所に問いあわせたらすぐにバレるような嘘をついたのだろうか?私が友人などに「ヘルパーの健康診断どうしてる?」とか話題する可能性を全く考えていないのだろうか?バレるかもしれないことを小指の先ほども考えなかったのだろうか?

だとしたら頭がお花畑としか言いようがない。


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