【ヴァルプルギスの星】
中央テントに戻ると、残りの全幹部と副官が揃っていた。
椅子に座っていたラートさんが立ち上がって「揃ったな。じゃあ、会議を始める。スノーポークを失った事は大きい。だが、いいか?これだけは覚えておけ。俺達はルナさえいれば勝てる。ルナを絶対に死なせるな。」と言った。
「さっき、残りのスノーについてた部下をスドーの下につくように指示を出してきた。問題ないか?」とダリアさん。
「問題ないだろう。」とラートさん。
「さっきチラっと見えたんだが、TXTのギルメンにここを脱退した…リオと共に脱退した奴らが混じってた。既に処理済。」とダリアさん。
あの人達、TXTにいったんだ…。
「なるほど。それで雪の班の情報が漏れていたわけか。」とラートさん。
「ミルフィオレの情報だと、さぞや高額で売れただろうな。」と豊。
「ふふんっ♪なんでまた雪の班なのでしょう?もっと有益な班がございますでしょうに。」とユナさん。
「俺らの班を馬鹿にしてるのか?」とスドーさん。
「おい。その話続ける価値あるか?」とラートさん。
「ふふんっ♪申し訳ございません。スドー様、軽率な発言申し訳ございません。」とユナさんはあっさりと謝罪してしまった。
「各位、自分の情報が漏れていると思って行動するように。まぁ。実のところ、スノーは目立つのが嫌いなせいか全く情報が出回ってなかったと思う。俺らはそこらじゅうで暴れまわっているからある程度の情報は漏れているだろうな。」とラートさん。
「問題は山積みです。」とアローさん。一瞬誰の声かわからなかった。アローさんが発言するのは珍しい。
「千翠のバリアが長く続かない問題か。」とラートさん。
「バリアが解けたら散開して全員殺そう。」とダリアさん。
少し沈黙が流れた後に「賛成」と俺以外の全員が言った。
「え・・・え!?本気ですか?」
「当然」と俺以外の全員が言った。
「じゃあ、散開する時のPT編成を考えよう。」
会議はしばらく続いた。5部隊に別れて散開するらしい。
大きなホログラム画面に全員の名前を表示して念入りに色々な想定をして部隊を編成していく。
東西南北それから中央の部隊。
俺が配置された部隊、中央の部隊はこのままここに残ってルナさんと他連合員の護衛。それから中央は東屋さんがバリアを張る事になった。
東西南北に神崎グループの人間とヒーラーとルナ班を平等に混ぜていた。
「現実世界でやっと1日が過ぎた。」とラートさん。
「いよいよだな。折り返し…終焉。」
「終焉の時間までにどれだけ多くの連合員を残せるか…。だいぶと時間がたって見つけられなかった連合員はほぼ名前が消えてる。」
連合員一覧を見ると名前が白く光っている人と光が消えている人がいた。
【ミスティック連合】
[ミルフィオレ]
[ヒルデガーデン]
[タピオカミルクティー]
[拳で語る]
[サムゲタン]
[アリスinクロックタワー]
[ドルガバ]
[Peace]
最後のピースってギルド…見覚えないな…なんだろうか?
ピースの文字を押してみると下にずらっとピースギルドのメンバーが表示されていた。
そこにクリュードという名前が光っていた。
クリュード!!どこにいるんだ?
「さっき、ルナ班イチカのAIはやたんが戻った。」とラートさん。
はやたんが戻った?AI一人でどこへ行かされてたんだろう?
テントの中にイチカさんとはやたんが入ってきた。凄く久しぶりにみた気がする。
「報告します。超高速スピードでヴァルプルギスMAPを西の方角からひたすら直進してきました。12時間ごとに知恵の樹を植えていたので少し時間がかかってしまいましたが…ヴァルプルギスのMAPは星でした。ここはヴァルプルギス星です。」
「なるほど、ヴァルプルギスは丸かったって事か。」とダリアさん。
「ユナ、遠方にいる全員と連絡をとれ、そして告げろ。このMAPが繋がっているという事をな。」とラートさん。
ユナさんは「ふふんっ♪了解致しました。」と言った後にテントから退出した。
その後、色々作戦会議をしてバリアが解けるまでは休息をとる事になった。
中央に残るのはミスティック連合と、俺と俺の班と東屋さんと恐らく倒れて動けない状態になるであろう千翠さん。そしてルナさん。
会議が終わって、みんな退散してテントの中にはラートさんと俺、千翠さんとルナさんとシンにシンカさん、それから囚われた東屋さんだけになった。ちょくちょくルナ班の人がシンカさんに何かを相談しにきてるようだ。
スマホがブルブル震えていて、見てみるとヴァルプルギスのアプリにNEWと書かれていて、見てみると残り連合数が凄く減っていた。
[残り敵対連合数30/5012]
「これ・・・減りすぎじゃないか?」
「大手や知恵の回る連合以外は食べ物がいるだとか拠点を作らないといけないだとかバリアを張り続けないといけないだとか即座にわかるわけがないんだ。これは当たり前の結果だ。俺達は内部で働いてる奴と内通してるに近いんだからな。」とラートさん。
「おい、あんま言うとBANくらっちまうぞ。」と通りかかったしゅがーさんが声をかけてまた通り過ぎて行った。
「こんなイベント、ルナが正常なら一発で終わってたのになぁ。」
「どうしてです?」
「永久の愛っていう氷雪系最強の大技があるんだ。最強であって、最弱とも言えるが、このイベントでは最強だ。」
「それを使うと勝っちゃうくらい強いんですか?」
「数キロメートルまで味方を氷漬けにできる。溶けない氷でな。それに俺らごと凍っとけば無敵だ。」
「なるほど、終焉までその状態でいれば…確かにそうですね。」
「まぁ、でも。直ぐにはどの道使えんな。何よりもギルド【ドルガバ】と合流できないと人数さで終焉を迎えた時に負けてしまう。」
「そういえば…ドルガバの人も散り散りになってるんですよね?回収できそうなんですか?」
「あぁ、ドルガバの奴らはユダのスキルでほぼ合流できてるそうだ。問題はここへのルートだ。イチカのAIが樹と目印になるものを置いて1週してきてくれたおかげで、数日もすれば合流はできそうだ。」
「なんとかしてルナさんが正気になれば勝ちなんですね。」
「そうだ。けど、よりにもよって…千翠のバリアが永遠に続かない。東屋のバリアもいつまで続くかわからないしな。」
「ルナさんの氷雪系の武器って、あの傘ですよね?」
「あぁ。」
「あの傘って持ってる人他にもいますよね?だったら他も永久の愛を使ってるかもしれないんですよね?」
「その心配はいらない。発動者は凍らないし凍れない。で、ルナはドラゴンになって生き延びる。つまり溶けないんだ。」
「なるほど、他の人が使ってても発動者を殺してしまえる。でもルナさんは死にたくても死ねないように調整されてる…ってことですよね。」
「その通り。」
「ルナさん…。」
咲がシンカさんのところへ歩いて行って何かを話している。恐らく正気に戻せないかどうかだろう。
「りき、散開までしっかり休んでおけ。いつ寝られるかわからないからな。」
「わかりました。」
俺は護と一緒にテントを出た。
咲とシンカさんはきっと危ない話をしているに違いない。邪魔せずテントで休もう。
俺が見た夢、ルナさんが甘いお菓子や紅茶を飲んでシンカさんと楽しそうに話す夢。
あれは本当にただの夢なんだろうか?
ルナさんを正気に戻す鍵に繋がらないんだろうか…。
しばらくすると咲がテントに帰ってきた。
「おかえり。」
「ただいま。」
何やら咲は機嫌が悪そうだ。すぐにベッドに入ってしまった。
俺も眠れるうちに眠ろう。




