【ヴァルプルギス】
「「ついに始まりましたヴァルプルギスー!!!司会はこの私GMレインでございまーーす!!」」
女の人のアナウンスが聞こえた。一応GMがアナウンスをしているのか。
大きな声のアナウンスが終わって、真っ暗な視界が終わった。
荒れ果てた大地に班の制服を着て立っていた。
俺は近くに咲と護がいるのを確認して息を吸った。
「インセイン ザ サモンゲート!!」
俺はそう言い終えると無数の光の扉が現れて…俺は意識を失った。
回りに敵がいなくて良かった。無事唱えられた。
ここにくるまで本当に色々あって大変だった。ヴァルプルギス前なんて連合員全員の顔と名前を覚えさせられたり…覚えきれなかったけど。もっと前から教えといて欲しかったなぁ。
そういえば…ルナさんぎりぎりまで車椅子にのってたけど、大丈夫かな。シンカさんとシンと…あと黒髪のよくわからない3体目のAIの人がなんとかしてくれてるか。
今、全人類が眠ってしまって、どこかの施設に運びこまれてるんだろうか?
神崎グループはもともとムーンバミューダと連携してはいたけど、グループの当主、千翠さんとルナさんが付き合った事によって流れが変わった。
ルナさんはムーンバミューダ社に所属していた陽子と何故か入れ替わって陽子を助けた。その結果ルナさんは囚われの身となって、次は千翠さんがそれを助けようとして今のこのミルフィオレ…いや、ミスティック連合が結成された。
【忌々しい。】
何故か頭に浮かんだ。
最近よく浮かぶ変な言葉はなんだ?何か…身に着けてる装備の効果か?
いや・・・現実世界でも起こっている、てことは俺の頭がおかしくなってきたのか?
疲れてるのかも…目が覚めるまで眠ろう…。
目を覚ますと遠くで大きなマシンに乗って戦っていてるのが見えた、恐らくラートさんだろう。
近くでは千翠さんが舞踊でバリアをはっていた。その隣に俺の班の子供達とルナさんにシンカさんがいた。
護はいつでも俺を抱えて飛べるように抱きしめてくれていた。
「今、どういう状況?」
「りき!りきが目を覚ました!」
「良かった!早速で悪いんだけど、周辺を一掃してほしい。」とシンに言われた。
「ん・・・やってみる。」
立ち上がってタクトをかまえてハナビにマグマプールの詠唱をさせた。
円形のバリアの中心部で千翠さんが舞を踊っていて、他にも近くで班ごとに結界をはっている人がいた。
みんな班の制服を着ている…本当に戦争してるみたいだ。
エイボンの目を借りて上空からの景色を見てみると、円形バリアが9個あった。
円形の外側にはびっしりとギル員や連合員がいて、予想通り連合での戦いだったようだ。
みんなの頭の上にミスティックとかかれていた。
ハナビの詠唱が終わったようで、マグマプールを発動させると、周辺一帯がマグマの海に飲み込まれて敵を一掃させた。
いや、一掃なんて普段、1対1の時しかできないし、それくらいの範囲しかないはずなのにどうしてこんなに広範囲に?と疑問に思ったが自分についたバフの量が異常だった事に気づいて納得した。
子供達や千翠班の人達がコーラスや演奏や舞やらで攻撃力も増幅されまくっていた。
「休憩α!!」と千翠さんが踊りを辞めて、大きな声をだした。
休憩にもα・β・δ・γの4つのフォーメーションがある。
結界を張る係は30メートルごとに円形に配置、中心は千翠さんのみ。外側にはタンクと敵を感知する能力にすぐれたアタッカーとヌーカー。
中心に近づくほど休めるので時間を決めて交代で休憩をとっていく。俺たち幹部は足りないとこを補う要因だからあまり関係ない。
むしろこれから別動隊で移動しなければならないかもしれない。
「りき、良く聞いて。ここにいるミルフィオレのメンバーは全員じゃないんだ。Shiftさんが抜けてるし、ところどころ抜けがあって、できればもう一度ゲートを唱えてほしい。今のうちに。」とシン。
「え…、あ、うん。わかった。」
また気絶しなければならないのかと思うと気が重かった。
「インセイン ザ サモンゲート。」
二度目の暗闇。
そうだ。休息をとろう。この後絶対しんどくなるだろうし。俺は眠った。
ラジオが壊れたような音がした。ジジジっ。ジジジッ。
「適合に失敗しました。」
「失敗したって…どうなったんです?」
「間もなく、悪性の癌が広がり、死に至ります。」
「そんな…馬鹿な…。」
「ご安心ください。癌の進行を抑える薬があります。それを使えば10年ほどは生きられます。」
「10年…?たった10年しか生きられないというのか。」
「残念ですが…。」
「残念ですが!?…そんな言葉で済まされるのか!?」
とてつもない怒りの感情が込み上げてくる。
私はただ…陽子と…
最後に陽子の笑顔が浮かんだ。
目を開くと特に戦闘も起きず、結界がはられているだけだった。
「護…。どうなってる?」
「あれから特に何も。小さなギルドとちょこちょこ交戦があるみたいですけど、咲さんが一網打尽にしていってますよ。経験値が相当入ってきてるはずです。」
ステータス画面をだしてみてみる。
「はははっ。ほんとだ。」
とんでもない経験値とポイントが入っていた。
「あとで振らないといけないですね。」と護に言われた。
スマホ画面に期間限定と書かれたアプリが入っていて、開いて見るとヴァルプルギスイベントの仲間の数と死者の数が表示されていて、残りの連合数も表示されていた。
連合員の数20万人と死者2021人そして、残り敵対連合数4810/5012。残りの敵の数に驚いた。
こんなにも連合の数ってあったんだ。このイベントにあわせて新規で作ったところもあるだろうけど。
「りき、ギル員はおおかた見つかった。連合員の救助にいく。」
「なるほど。わかりました。俺とダリアさんだけですか?」
「いや、それだと囲まれたらひき殺されるだけだ。タクミの班ごと引き連れる。」
「Shiftさんの班を?そういえばShiftさんって…。」
足音が聞こえて、Shiftさんが俺の目の前まできた。
「何か?」と、とても機嫌が悪そうだ。
「い、いえ。さっき合流できてなかったみたいだったんで。」
「あ?戦闘中だったに決まってるだろ。」
「は、はい。そうですよね。」
「ヒーラーは俺がやる。俺以外全員火力だ。」
「な、なるほど。今から出発ですか?」
「はっ。相変わらずおめでたい頭だな。バトルロイヤルと聞いて、ただ戦えば良いとでも思ってたんですかねぇ。」
「どういう事ですか?状況がさっぱり…。」
「りき。会議の内容聞いてなかったな?」とダリアさん。
確かに覚える事が多くていくつか聞き漏らしてたかもしれない。
「このヴァルプルギスは【リアル】時間で何日続くかわからん。2日で終わるのか2年後に終わるのか。200年後の可能性だってありえる。それから何もない荒れ地。どこまでも続く荒れ地。でも俺達のアイテムストレージには種やら鉄やら色々あるだろ?それらを使って生き延びる事も大事なわけだ。」
たしかに辺りを良く見ると木を植えたり、穴を掘ったり…。
「なるほど…マジですか。」
「地下が完成次第、出発だ。不思議な事に技の跡が残ったままで、りきのマグマを消すのに結構かかった。」
「うわ、なんかすみません。」
「こういう時ルナがいればなぁ。」とshiftさんがボソっと呟いた。
ルナさんはまだ虚ろな状態だ。あんな状態でもログアウトできないなんて…それにヴァルプルギスへの強制参加。俺もしっかりしないと。
「地下の完成って後どれくらいですか?」
「いつ完成の連絡がきてもおかしくない。2時間もスキルや技で掘り続けてるからな。」とダリアさん。
一応、円の外側でひたすら戦っていた咲を呼び戻した。




