【無痛と属性】
エイボンの太極珠で火を消し、魔力だけの状態にデータを書き換えてもらった。
こんな事ができたのかと思うけど、ほんとはできたんだ。全てを無にするだけが太極珠の使い方じゃない。俺も一回だけ太極珠に触った事があったけど、ホログラム画面がでてきて、データを組み替えるものだった。千翠さんは組み替えの方式を完成させてて、方式を選択するだけで全てを無にする事ができたりしていた。
エイボンもそうだ。エイボンの場合AI補正なるもので、瞬時に独自の新しい方式を組みたてる事ができる。
そのおかげで魔力だけになった状態に火と水を加えて、聖なる光を生み出して聖属性のキラキラと眩しい光の海に俺達は包まれた。
そのキラキラとした眩い海は禁足の森全体を包むかのように流れて…NOAは消滅した。
報酬が凄い事になっていた。レアドロップもいくつか入っていた。
「今のは?」とレイさん。
「りきですよ。ログはマグマプールってなってたけど、太極珠を使われた形跡もある。こんな事同時にできる人なんて君くらいだ。」とマレインさん。
「そう…ですね。」
「それでいて、魔力はMAXですか。」
俺は生唾を飲む。完全にチートだ。気持ち悪がられても嫌われたって仕方がない。
「よくやってくれたよ。ほんと。俺もいつ精神もってかれるかひやひやだったからな。」とセイファーさん。
「やっと殻を破ったか!」とレイさん。
そしてニヤっと笑うマレインさん。
「えっと…?え…殻って。」
「りきは全然爆発的な事しないから内心冷や冷やだったんですけど。まぁ、使わなくても強いは強いですけど。」
「えっと…すみません。使うのが遅くなってしまって。」
あれ?なんで俺チート使うの遅くて誤ってるんだろ。
「りき、大いなる目的のために。」
「大いなる…目的の為に…。」
「この言葉は特別な力を使っても許される為にも存在してるんだ。私もそうなんだ。」とレイさん。
「そもそも。この班はそういう班なんですよ。」とマレインさん。
「まぁ。このメンツでも狂気って新しいものに打ち勝てる奴はすくないだろうけどな。」とサイファーさん。
「NOAは多分、時間沸き…ですよね。」
「あぁ、そうだろうな。」とサイファーさん。
「そう不安そうな顔をするな。Shiftがすぐにここの悪い気を浄化してくれるような発明をしてくれるはずだ。」とレイさん。
「できるんですか?そんな事。」
「できますよ。ミルフィオレ幹部及び副幹部は皆特別な力をもってなっています。だから…当然なんでもできてしまうんですよ。システムが許す限りどこまでも。」
「そうなんですね。」
禁足の森を歩いていると途中でセスさんから連絡があって、ゲートをだしてセスさんをパーティーに迎え入れた。
「いやー酷い目にあったな。うん。」とセスさん。
「狂気状態って精神もってかれそうになるよなぁ。」とサイファーさん。
「もってかれるって具体的にどういう感じだ?」とレイさん。
「すんごい眠気に襲われるような…クラクラするんだ。で、そのまま吸い込まれたら楽に眠れるっていうかさ。酷い眩暈っていうか。具体的に表現する事が難しいよ。ほんと。」
「俺も久しぶりにあんな体験したよ。4種無痛持ちだから一切の精神デバフ無視できると思ってた。」
4種無通ってなんだろう?と俺は首をかしげた。
「聖属性の無痛と無属性の無痛ってまた違うんじゃないか?」とレイさん。
「あぁ。その可能性はあるな。マレイン、その検証って終わってる?」とサイファーさん。
「はい。もちろん。でも、りきさんがイマイチわかってなさそうなんで説明すると聖属性持ちの無痛は誘惑だとか睡眠だとか魔法だとか麻痺だとかの精神汚染を受けない。それに対して、無属性の無痛は物理的な精神汚染、斬られた時の痛みだとか怪我の痛みを感じない。闇属性の無痛は笑い病にかからない、変なテンションにならないだったり曖昧な表現ですけど。火属性の無痛は火に関するものは全て無痛。水属性は窒息しないとか、水の中でも呼吸ができるだとか、風属性は風に吹き飛ばされないだとか…全てを持った人は完全無痛っていうパッシブスキルが入る。うちのギルドでは千翠さんとShiftさんくらいじゃないかってとこ。ほかにいるんでしょうけど隠してる人もいるみたいですからね。」
「へぇ…すみません。ながながと説明させてしまって。」
「大丈夫っすよ。一回しか教えませんから。今ので頭に入れてくれれば、二度目は答えないんで俺。」
「あ。はい。」
とにかく、無痛には属性的な種類があるって覚えておこう。
そして、再び歩き始めると今度は黒くてびくともしない壁だった。
「ワールドエンドの壁…。ここまでのようだな。」とレイさん。
「お。MAP完成したみたいですよ。」とマレインさん。
「僕たちが最後か。」とセスさん。
「みたいっすね。」とマレインさん。
「マッピング作業お疲れ様でした。さっさと帰りましょう。また狂気が漂いはじめてきそうですし。」
「いや、待て。さっきの場所に戻って、NOAが沸いたら狂気が発生するのかどうかを確かめたい。」とレイさん。
「えー…まだやるんすか。」
「りき、まだやれるか?」
「はい。」
みんなでNOAと遭遇した場所に戻って、NOAが沸くのを待ったがNOAは沸かず、チーム交代で見張る事になった。
NOAが沸いたのはゲーム内時間で一週間後…つまり168時間後だった。
やっぱりNOAが沸くと森は狂気に包まれるらしい。
NOAに挑戦するギル員は結構いたが、成功したのは俺が入ってる班と千翠さんとShiftさんと大金払ってスキルリセットをかけて聖属性に全振りしたダリアさんと聖属性のラートさんとマーマパパの1チームくらいだった。
千翠さんは狂気で恐竜化しても普通に意識を保てていて、それはShiftさんも同じだった。
ダリアさんは意識を持っていかれて腹が立ってスキルリセットまでしてたけど…。
この件に関してルナさんが全くのノータッチな事が少し気になった。
朝食の時にシンに聞いてみる事にした。何故か今日はシンと二人きりで話しやすい雰囲気でもあった。
「ルナさんって禁足の森には行かない感じなのかな。」
「え?ルナが行くわけないんじゃん。」
「え。そういう感じなんだ。」
「そういう感じ?どういう感じが知らないけど、ルナは基本的にダンジョンとかレイドとかって嫌いなんだよね。佐藤さんとガウルさんと混ざって幾分にはいいんだろうけどさ。対人もあんまり好きじゃないみたいだし。」
「シュガーさん達と他の人達の違いってなんだろ?」
「ん?ルナの癖をよくわかってるからさ。あの二人は。リラックスして楽しめるんじゃないかな。」
「なるほど。」
「禁足の森のBMってもう完全に、りきが管理する感じ?」
「うん、そうみたいだね。めんどくさいってさ。」
「確かにめんどくさがりだよね。千翠さんは特に忙しいし。タクミさんもなんだかんだ忙しい人だからね。」
「まぁ。すぐに終わるから大丈夫だけどさ。」
「あれ?そういえば咲は?」
「寝てるよ。ちょっとそっとしといてあげて。連続で戦ってたみたいで、疲労バフがまだ解除されてないし。」
「大変だねぇ。護は?」
「護は班員を見てくれてるんだ。」
「ふーん。それで今日は一人か。ならさ、今日は僕が禁足の森の付き添いしていい?」
「いいよ。そしたら護もゆっくりできるだろうし。あ、でも聖属性振りは大丈夫か?」
「こう見えて僕、聖属性なんだ。」
「そうだったのか。属性って今まで気にしたことなかったな。」
「りきって変なものにスキル振ってるよね。」
「変なものって…。余裕ができたら他のにもふってみようかな。ゲートの最終段階がどんなスキルなのか気になっちゃってさ。」
「それは僕も気になる。」




