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RealSocialGame  作者: 無月公主


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【新BM会議㊤】

「引き受けて下さってありがとうございます。」と千翠さんはとても良い笑みを浮かべる。


現実世界は夏休みになった。

大型アップデートがくるのは6月に来る予定だったが、予期せぬアクシデントにより延期となっていた。

だけど新しいガチャが一気にたくさん来て、みんな装備の持ち替えだとかオークションに張り付いたりだとか慌ただしい【リアル】ライフを送っていた。

俺はひたすらルナさんから出される任務をこなしていた。

他ギルドの護衛だったり、ヴィーの住まう町の拡大を手伝ったり…ヴィーのような子を保護しに行ったり。

今は千翠さんの手伝いをしてくるように言われて、千翠さんのギルドハウス内の部屋へ訪れていた。

「いえ、ニャンダーランドに出ている店の名前を確認するだけで良いんですか?」

「はい。できれば…メモしていただければ助かります。」

「メモ…ですか。わかりました。」

〈ドンドンドン〉と千翠さんの部屋をノックする音が聞こえてドアの方へ振り向く。

「騒がしい音ですね。どうしました?」と千翠さんはドアの方へ行くでもなく、右手をくるくると呪文を唱えるかのように回してドアを開けた。

ドアが開くとユナ班の誰か(男性)が焦った顔をして立っていた。

最近、全員、班の腕章をつける事になったおかげでどこの班か一発でわかるようになった。


「ちょっと千翠さん!メールも見てないしコールもでないじゃないですか!見てくださいよ!コレ!」


とユナ班の人は公開ホログラム画面を出して千翠さんの前に出した。それは俺も見る事ができた。


・本日より各町と国の境目の森林や砂漠に新BOSSモンスターが出現。

・出現時間はランダム又は条件付き。

・新ガチャ相当のレアドロの可能性。


「なんっ……ですか…これは…。」

「ユナ班が10分前に仕入れた情報です!!!」

「幹部全員集めてください!!これは会議です!!!」と千翠さんは焦った顔をする。


丁度そこへ千翠班の誰かがやってきた。

「あ、千翠さーん。お店の名前決まりました~?」と呑気な声で質問する班員。

「今はそれどころじゃありませんっ!!!適当に猫猫ニャンニャン亭とでもつけてなさいっ!!」と物凄い怒りのオーラを放ちながら班員に返答した。

「はっはいぃぃぃっ!!!」と班員は慌てて去って行った。


「りき、手伝いはキャンセルです。目的の店名はもうどうでも良い。会議室へ行きますよ。」

「え、あ、はい。」

千翠さんはゲートを開いた。

「え?ゲート。」

「権限がありますので。」

「あ、そうですよね。」

そうだった。千翠さんは副管理人だからギルドハウス内のどこでもゲートをだせるのか。


ゲートを潜るとラートさんとルナさんとユナさんが既に席についていた。

「めずらしく遅いな。」とラートさんが言った。

「申し訳ありません。少しりきと話し込んでおりました。」とニコリと笑う。

……喋ってたの2、3分なんだけど。

「ふふんっ♪」とユナさんが笑う。

これ絶対千翠さんがメールとか見忘れてたの知ってるやつだ。


千翠さんも俺も席についた。俺は一応保護した子供達を班にした班長になった。つまり幹部だ。

だけど晩餐はまだまだ学ばないといけない事が多いから、いつも通りルナ班のシュガーさんの隣に座っている。

リオさんはダリア班から移動で俺の班の午前中を担当してくれる事になった。リオさんはヌコアさん抜きだと、かなり時間に融通が利くプレイヤーらしい。俺がプレイする時間は現実世界で睡眠してもらっている。

【リアル】内で咲にたくさん勉強を教えてもらってるおかげで学校では、ほぼ満点に近い点数がとれてて帰って勉強する必要もないし夕食の時間を早めて、なるべく早くログインするようにしている。

咲は姉さんが寂しくならないように姉さんと一緒に食事をとってもらってから入るようにしてくれてる。俺がログインして数日間は咲の同伴がないからペナルティにならない為にも護が絶対に俺の側にいてくれる。


ガチャッと会議室のドアが開く音が聞こえて入ってきたのはShiftさんと見知らぬ男性だった。

頬杖をついていたルナさんはその見知らぬ男性を見てズルっと頬杖を崩した。

「ああああああああ東屋!?なんで本体!?」

東屋…?………はっ!?Σ 

いつも俺の膝くらいまでしかない小型のクマの東屋さん!?本体って事はいつものは人形をリモート操作か何かしてたのかな?

東屋さんの本体…初めて見る。

真っ黒でウェーブのかかった髪の毛に黒い瞳、でも…耳が!!黒い耳が生えてる!!若干ぴょこぴょこ動く耳が気になる…。うちのギルドではわりと少数な亜人型だ。右目の下に真っ黒なクマのような刺青がある。そして全体的になんか黒い…袖も異様に長いし…・・・しっ…尻尾!?黒い尻尾がある。

亜人型を見るのは初めてじゃないけど、ミルフィオレ…というかアトランティスに住まう亜人の大半が女性で男性の亜人は珍しい。

そりゃあ、今日行くはずだったニャンダーランドにいけば、いくらでもいるかもしれないけど…俺は行ってじっくり見つめるとかいう暇ないから今のうち見とこう。

「マグ子さんに聞いたら、コイツほとんど外に出てないって聞いたもんでね。俺はこんなにも毎日忙しくしているっていうのにですよ。てなわけで仕事させに引きずってきたわけですよ。」

「そ、そう。それはご苦労様。」とルナさん。

Shiftさんと東屋さんが席に着くとすぐに他の幹部の人も入ってきた。

「揃ったわね。」とルナさん。

「あら?ダリアちゃんとシュガーちゃんはどうしたの?ってあら!!東屋ちゃーーん!!久しぶりぃぃ!!」と元気よく東屋さんに手を振るマーマパパさん。

東屋さんはどんよりしたオーラを放つ。

「ふふんっ♪ダリア様とシュガー様は先にBM(ビーエム)の討伐に出てもらってますわ。」

BM…ボスモンスターの討伐にダリアさんとシュガーさんが先行して行ってるって事かな?

「では、会議を始めます。初心者村付近の森でナメクジのBMが出現したそうなの。近くにいた人がそれを倒してて、話を聞いてみるとピンク文字…星2の指輪が出たそうよ。装備効果は挑発+1%増加。そのモンスターの事について色々考察したり話したりしていたところ丁度30分程度にまた出現したみたいなの。」

「程度?丁度ではなく?」とshiftさん。

「ふふんっ♪今もタイマー片手に見張りをつけてますけど、倒してから30分~50分くらい…と、曖昧なようですわ。」

「待って。私にコールが入ったわ。」とルナさんがホログラム画面で何かを操作しながら喋っている。

しばらくして…

「ダリアと佐藤がそこそこ強いBMの討伐に成功して…赤文字の弓矢が出たそうよ。取引も可能。ただ…回復が…回復薬ではなく、スキルによる回復でしか回復できない傷を受けるらしいわ。」

「それはとても…興味深いですね。ここにきてヒーラーの需要を上げてきましたか。…なるほど。」と千翠さんが笑みを浮かべて言う。

「これからは、その新しいBMに対して絶対にヒーラーを1人つけるっていうルールがいるな。BMを無事討伐できても何があるかわからんからな。ヴァルプルギスの仕様変更でもしかしたら、バトルを挑むというシステムを排除して…いつでも襲える…にするかもしれん。今からでも、それに備えて全体の仕組みを作っておきたい。」とラートさん。

「それはとても良い考えです。ヒーラーは一人でダンジョンやモンスター討伐をする事が難しく、暇をしている方もちらほらいらっしゃるようですし良い機会ですね。」と千翠さん。

「何をするにしても、随時報告を義務付けたい。」とラートさん。

「これ以上縛るんですか!」とShiftさん。

「わからない奴がいるのなら…追放しろ。」とラートさん。

「ルナはどう思いますか?」と千翠さん。

「ん?会社じゃないんだし…んー…そうね。縛りすぎるのも良くないけど報告も大事よね。タクミはどうしたいの?」とルナさん。

「…どうって…。そんなもん…まかせるよ。どうせ何言ったってお偉いさんのいう事は絶対だしな。」とShiftさん。

「はい、今ので無駄に2分ロス。まかせるなら最初から黙っとけよ。」

「は?」

…やばい。空気が酷いことになってきた!!!!

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