【心の殻】
ヒュオォォォォ…っと吹雪が吹き荒れる。
シンと咲と護とリオさんと俺の5人で大きな銀色のタマゴの前に立っていた。
地面は雪で埋もれて見えなくて、膝くらいまで雪が積もっている。
「これかぁ。」
「随分でかいな…俺の身長が190cm設定だから…約2㍍として4㍍?いや、そんなにないか。」
「俺二人分くらいの高さですね。現実世界でも190㎝くらいあるんですか?」
「いやぁ、大きい方がリーチが長くなるからゆっくり伸ばしていっただけで実際は170㎝くらいさ。」
「俺も伸ばそうかな。中学の時にやってた身長のままだから若干低いんですよね。155㎝…。」
「そんなに小さかったの!?」と咲に言われてしまった。
「うん、だから現実世界に戻った時凄い違和感あるんだよね。」
「身長は現実世界以上に伸ばすなら、ゆっくり伸ばしてったほうが良いぜ?違和感慣れしねぇと事故を起こす。」
「参考にします。」
「…そこに誰かいるの?」
か細い女の子の声がして辺りを見渡す。
「タマゴからだね。」とシンが言う。
「いるよ!」と大きな声で答えてみた。
「寒いよぉ…暗いよぉ…助けて…助けて…助けて…。」
「うーん…どうしようか。」
「火であぶってみる?」と咲が言う。
「いや、それはさすがに…。」
「巨大毛布でぐるぐる巻きにしてみるとか…。」とシン。
「巨大毛布なんて売ってましたっけ?」と護。
「巨人族の国にいけばありそうだなぁ。」とリオさん。
「そんな国あるんですか?」
「国に住むには巨人型設定が必要な国でさ。巨人型になるには巨人たちの洗礼っていうダンジョンの高難易度をクリアして巨人型変更チケットを手に入れる必要がある。」
「そんな話今はいいから早くどうにかしてあげないと!」と咲が言う。
「さっき火であぶろうとしてた人の口から出たセリフとは思えませんね。」と護。
「…あ、そうだ。」
俺はタクトを握りしめてハルを出して、ハルの素の能力…春を呼んでもらった。
「ハル、できるだけ温度を高めにできるかな?」
「了解。」とハルは広範囲の気温を上げてくれた。
「誰と喋ってるんだ?」とリオさんに聞かれて「武器にです。」と答えた。
雪がジワジワと溶けてきて水濡れの状態異常がついた。
「こんなとこに雷でも打たれたら痛そうだよね。」とシン。
「怖い事いわないでよ!雷すっごく痛いんだから!」と咲。
雪が溶けて辺りはすっかり荒れ地になる。
「地面が割れまくってて気持ち悪いな…。」とリオさん。
「そうですね…。」
タマゴはシーンとしていた。
俺はタマゴに触れて「割ったほうがいいのかな。」と俺は呟いた。
「割っちゃダメだろう!?」とリオさん。
「割っちゃう?」と咲がステッキを解放して言う。
「割ってみれば?」とシンが言った。
「せーーーーーーのっ!!!」と咲が勢いをつけてタマゴを割ってみると…中に真っ白い髪をした子供エルフ型の女の子がいて黒い粘着質の液体に体の自由を奪われていて「助けて」と小さな声で涙を浮かべなら言っいた。
割ったタマゴは再び元に戻ってしまった。
みんなが衝撃的すぎてしばらく固まっていた。
「なんか不味いもん見た気がするんだが。」とリオさん。
ここに来る前、心と頭がぐちゃぐちゃでやっと落ち着かせたのに衝撃的すぎて、また心を乱された。
するとポンっポンッポンッと背中に3つの手をおかれた。
その手はシンと護と咲の手だった。
「「「あ。」」」とシンと護と咲はそれぞれの顔を見た。
「ごめん。ありがとう。」
3人のおかげで俺はまた心に蓋をする事ができた。
「りきは学生だっけか?」とリオさん。
「はい、高校生です。」
「そっかぁ。大人がしっかりしないとダメだよな。よし、こういうのは心の問題が大きいはずだ。話かけたりするのが一番良いと思う。」
「話しかけるってタマゴにですか?」
リオさんはコクリと頷いた。
「あの黒い液体は前にもルピネル班長とこういう任務に行った時に見た事があってだな、ルピネル班長がかなり喋りかけて助けてたな。」
「なるほど…。」
俺はタマゴに触れた。
そういえば…寒いって言ってたっけ…
俺は心の中でハルにタマゴの中もしっかり温めるように指示をした。
「まだ…寒いかな?」
話しかけても返事はない。
俺達は1時間交代でずっとタマゴに話かけた。
丁度また俺の番に戻ってきた頃に「暗い‥・暗いよぉ…恐い…助けて…帰りたい…帰りたい…。」と声がした。
「君はまだ…帰れないんだ。」
「ちょっとりき!何言って…。」
「だけど…俺が帰れるように絶対なんとかするから…落ち着いてほしい。今はもう寒くない?」
「うん…。」
返事が帰ってきて驚いた。
「そこから出られる?」
「黒いどろどろがベトベトするの…。」
「黒くないよ。ドロドロもしてないしベトベトもしてない。こっちにおいで。」
タマゴが段々と透明になって少女が姿を現して俺に抱き着いてきた。
「恐かったね。」と声をかけて頭を撫でた。
咲が毛布を出してくれて、それを少女に巻き付けた。
「あったかい…。」
少女の名前は ヴィー ユーザーIDがある。
「とりあえずギルドハウスに連れて帰りたいなぁ。」
「ギルド招待送ってみようか。」とシンがギルド招待を送ってみてくれた。
「ヴィーちゃん、何か見えるか?」
ヴィーちゃんはコクリと頷いた。
「じゃあ、はい ってボタンをタッチしてみて。指で触るんだ。」
ヴィーちゃんは自分にしか見えない画面に恐る恐る人差し指を伸ばしてタッチした。
ヴィーちゃんがミルフィオレの一員になった。
「おめでとう、りき。とりあえず1個目の任務は達成。次は町作りかな。」
「ここの?」
「そう。」
「まぁ。とりあえず一旦ギルドハウスに戻ってヴィーちゃんに休息をとらせよう。寝不足だし、空腹と疲労も重なってるみたいだ。」
「そうだな。」
俺達は一旦ギルドハウスに戻ってヴィーちゃんにご飯と…それからシンの部屋で寝かせる事にした。
「シン、ごめん。ベッド貸してもらって。」
「別にいいよ。僕のベッドの方かフカフカだろうし。」
「うっ・・・。」
コンコンとドアをノックする音が聞こえてシンが開けに行くと、オレオ君と護が入ってきた。
「護、オレオ君。」
「りき、聞いてください。オレオがヴィーとチュートリアル学校で一緒だったって言うんです。」
「なんだって!?」
オレオ君はベッドでスヤスヤ眠るヴィーちゃんを見る。
「僕…知ってます。何度か授業で一緒でした。IDは覚えてないけど…でもなんとなくこんな感じだった気がします。」
「起きてから話を聞いてみるしかないね。」とシン。
「ありがとう、オレオ君。ヴィーちゃんが起きたらまた来てもらっていいかな?」
「はい。」
「オレオ、ヴィーが起きるまで僕と勉強しましょうか。」
「はい!」
護とオレオ君は部屋を出て行った。
「チュートリアル学校で一緒だったユーザーが何故こんな事に。」とリオさんが近くにあった椅子に座って考え込む。
「今色々考えたって仕方ないよ。とりあえず僕が見とくから、みんなは一旦休憩してきて。この後が大変なんだからさ。」とシン。
「この後って何かあるのか?」
「ヴィーと一緒に町作り…かな。」
「町作り?」
「そう、あの町を整備しておく必要があるんだ。ヴィーはもうミルフィオレだから町の苦情がうちにくるかもしれないからね。」
「私、残るね。この子、子供型とはいえ女の子だから、もしかしたらルナの罰が下るかもしれないでしょ?」と咲。
「そうだね。助かるよ。」とシン。
「りき、ちょっと寝てきたほうがいいよ。体は疲れてなくても…心が疲れてるでしょ?」と咲は俺に優しく微笑みかけてくれた。
「…うん。そうだね。ありがとう。ちょっと休憩してくるよ。」
俺はシンの部屋を出て自室に向かった。




