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RealSocialGame  作者: 無月公主


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【ログアウトができない真実】

翌日の夜にログインしてみると丁度晩餐の時間だった。


リオさんの強制ログアウトは現実世界の携帯に着信が入った事によるログアウトだったそうだ。

このゲームは実際にゲームの中に潜る事ができるけど、携帯を使ったソーシャルゲームだから着信とか電池切れを起こすと強制ログアウトしてしまう。

ちゃんとそれを頭に入れておこう。


大広間に入ってみるとルナさんとシンカさんの姿が見えてホッとした。あのまま引きこもってでてこないんじゃないかって思ってた。

俺は何気なくルナさんを見ながら席につくと「よぉ!りきぃ!久しぶりだなぁ!!」とシュガーさんに背中をバンバン叩かれた。

「なんだかお久しぶりです。」

「聞いたぜ!ジャブダル倒すのに1週間以上かかったらしいなぁ!」

「う…俺も良く覚えてなくって…。ちゃんと倒せたって咲からは聞いてたんですけど。」

インベントリを調べるとジャブダルの指輪が入っていたので、取り出してみてみると体力10%追加と書いていた。

「今回の件でさすがに千翠の野郎が動いたぜ。」

「どういう意味ですか?」

「どう動いたかはさすがに俺でもわかんねぇけどよ。リオから後で色々話があるんじゃねぇか。まぁ簡単にいえばだな。リオは自由になったって事だ。」

そんな…どうやって…。

「大いなる目的の前では…リオもヌコアを優先してる場合じゃないだろうからな。」とガウルさん。

でた…大いなる目的。

「あ、そういやぁ、大事な伝言があったんだ。晩餐後ルナの部屋にいくことだ。晩餐後に呼ばれるって事は大体任務ってやつだ。」

「任務…ですか。」

「頑張れ頑張れ!ルナの任務はいつもハチャメチャだが必要な事だ。」

「そうだな。ルナが言い渡すけど実際に決めてるのは…。」とガウルさんが何かを言いかけていたところをソウジュンさんに止められた。

「無理な要求はしてこないから安心しろって!」とソウジュンさんが言う。

一応俺も千翠さんとラートさんが裏で決めてる事っていうのはわかってるけど、ここじゃ聞こえ過ぎてしまうからか。


晩餐が終わって俺は咲と護も連れてルナさんの部屋へ行った。

コンコンとノックをするとシンが出てきて部屋に招いてくれた。

「結構前から言い忘れてたんだけどさぁ、ドアの横にインターホンがあるから次からそれ押して入ってくるといいよ。」

「えぇ!?気づかなかった。」

「いつも言うの忘れるんだよね。」

何故だか恥ずかしい気分になった。


「いらっしゃい。」とルナさん。

玉座っぽい椅子にひじ掛けのところに肘をついて頬杖をついていた。

「こんばんわ。シュガーさんの伝言を聞いてきました。」

部屋の中に入ってシンが椅子を用意してくれてそこに座った。

「まず、護は信頼できる子なの?陽子。禁止ワードに触れても平気な子?」

「うん。平気。」

「じゃあ本題に入るわ。頼みたい事があるの。不慮の事故でバトル王になってしまった子がいて、長い間町をつくるでもなく自分の殻に閉じこもってるのよ。それをどうにかしてきてほしいの。」

「そんな事できるんですか?すぐ誰かにとられたりとかしないんですか?」

「ええ。そこはユーザー扱いのNPCが作り上げる町なの。」

「コホンッ。勝手にギルドなんかも作ったりとか本当にユーザーみたいに動くNPCがいて、それがバトル王として町を作って経営していくんですけど…噂では…「帰りたい」と何度も何度も呟いてるらしくって、それをミルフィオレではNPCではなく、ルナやヒルデガーデンのヒルデさんみたいに何らかの理由でログアウトできなくなってしまった人ではないかと推測したんです。」

「それって完全にログアウトできないわけでなく、できるけどしないって意味…ですよね?」

「は?何言って…まさか…そういう説明一切してないの?」とルナさんは咲を見る。

咲は気まずそうに斜め下に顔をそらす。

ルナさんはため息をついた。

「シンカ、アレをお願い。」

「10分弱ってとこですかね。ここで使ったら次またいつできるかわかりませんよ?」

「ええ、いいわ。」とルナさんが言うとシンカさんはその場でバタリと倒れた。


シンがシンカさんの体を持ち上げて近くの天蓋付きベッドに運んだ。

「本来、陽子に任せたい話だったけど、もう時期も時期よ。そろそろ本当の事を話していかないとダメよ陽子。りき、私はね…ログアウトする事ができないの。ムーンバミューダの施設に入って特別アカウントに切り替えてからログアウトボタンが消えたの。でも私は…ちゃんとそうなった経緯を覚えてるし、同意してそうなってるの。施設に入ってて、圧倒的強さのあるバトル王は大体こんな感じよ。ただ…ヒルデは全く経緯を覚えてなくて、現実世界の自分が誰だったかすら覚えてないみたいなの。だけどログアウトはできないんですって。」

「待っ…待ってください…それじゃあ、普通のバトルに負けた場合どうなるんですか?」

「恐らく…負けないのよ。その他の大勢を欺く為に年に一度特別な武器や防具を1人だけに配られるイベントがあるのだけど…私は運営の指示に従って、当選した人から大金を払って買い取った…っていう事になってるの。」

「じゃあ…ルナさんとヒルデさんは…その…チート…なんですか?」

「そうはそうだけど。例えるなら…準社員ってとこかしら。ねぇ?陽子。」

「ちょっと待って?…ここまで公に喋って何もないの?ペナルティとか…。」と咲は不安そうな顔をする。

「今はシンカの力によって私だけ10分弱禁止ワードが見つからなくなってるの。今の陽子は喋っちゃダメよ。きっと確実に消されるわ。禁止ワードに触れたら運営からのチェックが入るのは昔のままだもの。もっと詳しい話はヴァルプルギス前夜に佐藤か千翠から聞いてちょうだい。」

「護…今から言う数字でアレと同じ事をできる?」と目でシンカさんを見る咲。

「いいえ、ユーザーにしか無理かと思います。」

「そう、私はAIだもんね。」

「時間が無いわ。一方的に話すから聞いて。育児放棄をされた子が何人か【リアル】にログアウトできないユーザーとして送り込まれてる事がわかったの。りき、ショックかもしれないけど、その一人にオレオが含まれてるわ。」

「え…そんな…。」

さらっと衝撃的な事を言われてどう受け止めればいいかパニックになる。

「護はそれを知ってるから必要以上にオレオに構うんでしょう?」

「オレオには記憶がありました。母親に…捨てられた記憶が…。僕もそんな事になってるなんて知らなくて…黙ってました。」

護の口からとんでもない言葉がでてきて目を見開いてしまった。

「りき、ちゃんと受け止めて、ミルフィオレのルナ班として次のステップに進むの。ログアウトができない子を少しでも気持ちが安らぐところへ導くの。そういう子は必ずぶっとんだ能力が備わっていて、悪い大人に利用されるわ。そうなる前にうちに連れてきてほしいの。今回のターゲットの子は町の維持も両立させないといけないから、ちょっとやっかいだけど…リオを連れてしばらくその子を見てきてくれないかしら。リオはしばらくヌコアと引き離す事になって、遠くに行ってもらわないといけないし。」

「リオさんもこの事を?」

「ええ。”大いなる目的”を口にする人は知ってる人だと思っていいわ。」

「大いなる…目的。」

「大いなる目的っていうのは…。」ルナさんが喋ろうとしたところをシンさんが止めた。

「すみません…今回は長く維持できませんでした。」とシンカさんが起き上がってきた。

「…りき、大いなる目的はヴァルプルギスの時に。シンカのアレは何度もできないの。ごめんなさいね。」

「……すみ…ません。ちょっと頭が追い付かなくて…。」

「無理もないわね。でも…りきに行ってほしいと思ってるわ。陽子も護もちゃんとサポートしてくれると思うし。ねぇ?」とルナさんは咲と護の顔を見る。

「「もちろん。」」と咲と護は声を揃えて言った。

「ほんとは現実世界でちょっと時間をとってから行ってもらいたいところだけど、ユナ班が頑張って入手してくれた情報だから、なるべく早く手を打ちたいの。」

いつもみたいに…いつもみたいに心に蓋をして動かないと…いつもみたいに…

咲が俺の背中に手をおいた。

「行けるよ。大丈夫。りきはいける。りき、ごめんね。戻ったらまた話すから。今は行こう?」

咲の声が少し震えていた…泣いてる?しっかりしないと…俺はなんの為にここに来たんだ。

全部咲の為だ。

「行きます。ちょっと混乱はしましたけど、とりあえずもう大丈夫です。」と立ち上がった。

「良かった。補助にシンもつけるわ。」

「え?僕行っても平気なの?」

「行ってあげて。」とルナさんはシンに微笑みかけた。

「わかった。」

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