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RealSocialGame  作者: 無月公主


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【耐えろ!精神的苦痛!】

翌日の早朝。


朝食を持ってきたシンが驚いていた。

「結構変わったね。」

寝室はいつも通りの草花が咲き乱れる空間だけど、リビングには大き目の白いテーブルにフカフカの白い椅子を6個。床も壁も白にしてベージュの絨毯を引いた。窓からはアトランティスの街並みが見える。

あとは護の部屋とベッドを追加した。

「結構奮発したよ。」

「だろうね。へぇ~いいじゃん。」

シンはテーブルに朝食を並べてくれた。

ガチャっと音がして護が部屋から出てきた。

「おはようございます。」

「おはよう護。ごめん、咲を起こしてきてくれないか?」

「え?…わかりました。」と護は少し嫌な顔をしてから咲と俺の寝室に入っていく。

「咲と護って仲悪いの?」

「あー…違うんだ。えっと。」

俺が説明しようとするとドンッバンッと大きな音がした。

寝室の方へ視線をやると咲と護が出てきた。

「おはよぉー。」と咲は眠そうに目を擦る。

「りき、明日は僕…起こしませんから。」

「あはは…ごめん。俺が起きる時に起こすようにするよ。」

「なんとなく察した。」とシンが飽きれて椅子に座った。

咲は寝起きが悪くて、起こしている人をはたいてしまうんだけど…チート補正された力のせいで結構痛い。

現実世界では可愛いもんなんだけどなぁ。


朝食を終えてシンが部屋から出て行くと、入れ替わりにリオさんが訪問してきた。

「リオさん、どうしたんですか?」

「すまない。指輪のクエストを一緒にやってもらえないか?」

「指輪のクエスト?」

「ジャブダルの指輪がほしくてな。マンモスを999体狩って、その後に現れるジャブダルっていう巨人を倒したら手に入る。ただ…途中でヌコアがログインしてきたらクエストはそこまでになる。」

「大変ですね。わかりました。咲と護はどうする?」

「丁度試したい技がありますので御一緒させてください。」

「もちろん私も行く!」

「リオさんはお一人ですか?」

「俺は…やっちまってるんだ。」と背負っている大剣をカチャっと抜いて戻す。

「合成…ですか。もしかして3体とも?」

「ああ、3体ともだ。」

なんて酷い事をするんだ。武器の中で心は生きてるかもしれないのに。

ダメだ。今は考えるな。これはやらなきゃいけない事のうちの一つだ。

「わかりました。じゃあ、今から行きますか?」

「あぁ。頼む。」


それから数日、四方を海に囲まれた矮小な小島でリオさんとマンモス討伐をして、リオさんが途中抜けた時は咲に勉強を教えてもらう日々になった。

マンモスを倒す事自体はとても簡単だけど、リオさんがこれでもかってくらい途中抜けしないといけなくて廃人なら1日で終わるようなクエストだけど1週間はかかっていた。

そういえば護はいつの間にか聖属性の魔導書を手にしていて、聖属性魔法でマンモスに攻撃してみていたが思うような火力がでなくて今度は氷属性の魔導書を試したりと自分にあった魔導書を模索しているようだった。


「今日当たりで終われそうですか?」

「もう一週間以上経っているし…さすがにこのままじゃ申し訳ない。ヌコアが来ても続行させてもらうよ。ちょっと前までコールが鳴りやまなかったが、今は静かだし大丈夫だろう。」

「わかりました。じゃあ早く終われるように俺も頑張ります。」

俺は目を瞑って小人達に魔力を注いだ。

「りき、そろそろ999体目よ。」

そっと目を開けて、リオさんが999体目を倒したのを確認した。するとゴゴゴゴゴと地面が揺れ始めて、パジャマクエの巨人より小ぶりな巨人ジャブダルが姿を現した。

「凄く体力ありそうな敵ですね。」

「よし、フルパワーで…。」と言ったリオさんがピタリと動かなくなって姿が消えてしまった。

「え?…リオさん?」

「…強制ログアウトなようですね。ラスボスまで湧くと途中抜けする為のセーブもできないですし、どうします?」

リオさん…ここまで頑張ったのに…。

ここで終わったら、またやり直しだ…。

「俺はこのまま体力を削りつつ耐えるよ。一人入ってれば途中参加できるし、二人は自由にしてていいから。」

「りき…。」

「すぐ戻ってくると良いですけど。僕も付き合いますよ。」

「ありがとう。でも本当に無理しないで。」

「それはこっちのセリフだよ!」と咲に言われた。

どうにか戻ってきてくれないかな。


巨人との戦いはしばらく続いた。


巨人との戦いは1日過ぎた。


巨人との戦いは2日過ぎた。


巨人との戦いは3日過ぎた。


巨人との戦いは4日過ぎた。


巨人との戦いは5日過ぎた。


巨人との戦いは6日過ぎた。


そして…1週間経過した。


「りき、明日学校もあるんだし、もうあきらめよ?ほんとにタダの時間の無駄よ。」

「もうあきらめましょう。りきさんの意識が持ちませんよ。」


疲労バフ…空腹バフ…不眠バフ…もう何が何だかわからない…椅子に座ってしまったら完全に意識が飛びそうでずっと立ってる…不思議だといけるものだ…。

咲、護…ごめんな。もう答える事もできそうにないんだ。

何度かスゥに疲労バフの解除をしてもらってるけど、空腹と瞼が重たいのは辛い。

大丈夫だ…現実世界で晩御飯はちゃんと食べたし…現実世界の時間はまだ23時過ぎ。

大丈夫…大丈夫だ…これはゲームだから…これはゲームなんだ…。

これは…夢の中…俺の夢の中…



「うそ…だろ?」と聞きなれない声が聞こえて俺の意識は途絶えた。




ふと意識が戻った。

どこだろう?

見慣れた天井…天井があるって事は…俺の部屋?


「りき!!」

現実世界の陽子の姿が見えた。

「え、あれ?」

「あんまり無茶しないで…。」と抱き着かれた。

「え…?どうなったの?俺。」

「一週間以上経って…リオが戻ってきたの。」

「リオさん…クエストはどうなったんだ?」

「ちゃんとクリアしたよ?でも、りき返事なくって…部屋に運んでも全然寝てくれなくって…ご飯も…食べてくれないし…。」

なるほど…完全に俺はフリーズしてたってわけか。

「ごめん。意識を保つだけで精一杯で…よくわからないや。」

「これだけは言っとく。リアルで酷い精神的ダメージを受けた場合…現実世界でも何かしらの影響を受けちゃうの。髪の色素が抜けたり…失明したり…だから絶対無茶はしないで…しんどくなったら辞めていいの…だってこれはゲームなんだから。」

「うん、ごめん。もう無茶もしないから…泣かないで。」

陽子は瞳からポロポロ大粒の涙がこぼれていた。俺は陽子の頭を撫でる。

「ダンジョンの汚染とは…全然比べ物に…ならないんだからっ!!」

巨人ジャブダルは体力を削って体力1にしても徐々に回復していってしまうから、常に削り続ける必要があった。

そこでわかった事が一つ。

小人達は連続して20時間以上使う事ができないという事。

いくら呼んでも出てきてくれなくって、そこから4時間経つと再び現れる。

二日目に試したのが出しては消して出しては消してを繰り返してみた。

結果、やっぱり【リアル】時間で24時間のうち20時間しか使えない。

ある意味知れて良かったから、これはこれで良かったとも思える。無事に指輪もとれたみたいだし。

フゥにもヤツデの効果付きの新しい武器が必要だ。

でも今はこの目の前で泣いてる陽子をどうにかしないと…。

俺は陽子を抱きしめてくるりと布団の中に入れた。

「りっりき!?」

「今日は一緒に寝よう。」

「えっ!一緒って///」

俺は陽子を抱き枕のように抱きしめて枕もとにある電気のリモコン操作して部屋の電気を消して眠る。

「おやすみ。」と言って陽子のデコに軽くキスをして眠った。

強烈な精神的疲労から解放されたせいかぐっすり眠れた。





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