【ギルドバトル・前編】
「っと、ただいま。」と豊はニコッとしながら川野さんに言う。
「戻りました。」と俺も川野さん言う。
「ぷふっ!(笑)戻りましたって…私ら同級生でしょ?」
「あっ…!!やっちゃった。」
いつの間にか俺と豊の肩にとまっていたトンボ型のドローン2匹が飛び立っていく。
「吉田りき。最初は気づかなかったけど、【リアル】内と現実世界の見た目を合わせてきたから、もしかして…とは思ってたけどねぇ。豊は喋ってくんないし。」
「わりぃ。姉貴に口止めくらってたからさぁ。俺らのとこ厳しいの知ってるだろ?」
「はぁ。はいはい。」
「あっ。そういや、マグコにあったぜ。」
「へぇ。珍しい。超レアキャラじゃん。」
「レアキャラだったんだ。」
「月にいて何も知らないって凄いね。」
「ごめん、色々詰め込みはしたんだけど。」
「まぁ。許してやってくれよ。りきは復帰して間もないしさ。」
「で?豊と試合でもしてたの?」
「うん。」
「……ねぇ。ちゃんと私の目を見てハキハキと答えてくれない?」
「あ、ごめん。」
「すぐ謝るのやめて。」
「は、はいっ。」
「お、おい。その辺にしといてやってくれって。」
流石Shift班…Shiftさんっぽい気がする。
「あ。そろそろ予冷鳴っちゃう。ほら、帰るよ。」
3人は教室に戻った。
その日の夜、リアルにログインしてみると練習場にいた。そうだった。昼間豊と練習試合したまま落ちたんだった。
って…なんだか人多いな…。
「ん?りきか?」と背後から声がして振り返るとダリアさんがいた。
「ダリアさん。何かあるんですか?いつもに増して人が多い気が…。」
「10対10のギルドバトルを申し込まれた。バトルは三日後。今回出られる幹部が俺と千翠とラートとタクミの4人だけだったから、ルナはもちろん参加するとしてAIが3体揃ってる奴5人幹部と副官以外で募集する事になった。」
「副官はどうして参加しないんですか?」
「毎日絶対にトラブルがおこる。それに対応する奴がいないと、大事になる。」
もしかして…人が多いんじゃなくてAIも含んでるから多いように見えるのか。
「なるほど。」
「あ、丁度良い。りき、出ろ。」
「えぇ!?待っ…待ってください。俺が出たら今出ようと頑張ってる人達に恨まれそうなんですけど…。」
ギロリと睨まれるような視線を感じた。
「大丈夫。バレない。」
「バレますって!だいたい…AI3体埋まってませんし。」
「大丈夫だ。タクミも埋まってるようで埋まってない。」
…それはShiftさんAIを武器と融合させちゃってるから…。
「うー…俺より強い人…うー…ん。」
俺の武器とAIがチートすぎて俺より強い人っていったら幹部くらいしか浮かばない…。
でも、他の人の視線が痛いしなぁ。
「あ!そういえば…ルナ班のみなさんはどうしたんですか?ルナ班には強い人いっぱいいますよね?」
「出ろ。決定だ。」
「ええ!!!そんな…。」
ダリアさんはそう言って練習場の観客席に座って、どす黒いオーラを出し始めた。
これはこれ以上話しかけるなというサイン…。
ええ…どうしよう。
とぼとぼと自室の方へ歩いているとシンがこっちに向かって歩てきた。
「あ、いた。」
「俺に用?」
「うん、ギルドバトルに出てほしいんだけどさ。」
…結局こうなるのか。
「りーきー!!!お待たせー!!」と咲が後ろから抱き着いてきた。
「うわぁっ!」
「丁度良かった、護も呼べる?」
「呼んでみるよ。とりあえず部屋に行こうか。」
自室に入ったら先に護がついていた。
「早いね。」とシンが言う。
「シンさんだってルナさんが来いって言ったら秒で移動するでしょう?」
「う、うん。まぁそうだけど。」
4人席についたところでシンが口を開く。
「ギルドバトルに出てほしいんだけど、りきは多分知らないよね。」
「知らないね。」
「知らなさそうですね。」
「ふ、二人とも~(汗)」
「バトル王防衛戦は挑まれたらすぐだけど、ギルドバトルは挑まれてから3日間の猶予があんだ。あ、でもこれ…次の大型アップwデートで24時間が96時間になった場合3時間だけになるかも。」
「そうなのか。相手のギルドは強いのか?」
「うん、そこそこ。ギルド【ALLMILE】ってとこ。うちと同じくらいの人数で…まぁ、ラート班がギルドになっちゃった感じ。」
「えぇ!?じゃあ…相当強いじゃないか!」
「どの口が強いだって?」とシンが意地悪くニヤっと笑う。
「それもそうだね。ハナビでドカーンってやっちゃえば10人なんてあっという間じゃない。」
「ハナビ?」
「あぁ、武器に宿ってるAIの名前。ハナビが獄炎の書を装備してるんだ。」
「ルナも負ける要素ないし。問題は10人を同時に倒してしまわないといけないってところなんだ。」
「同時に?どういう意味?」
「なるほど、同時に倒してしまわないと課金回復薬を使われてしまうって事ですか?」
「そういう事。」
「なるほど。」
「ルナは負けないかもしれないけど、自我を無くしてしまうし、シンカもルナ並みに強いけど、全体とか範囲攻撃じゃないから弱い。結局りきにやってもらうしかないんだ。」
「ギルドバトルって負けたらどうなるんだ?」
「ギルドポイントをごっそり持っていかれるのと、ギルドハウスが現実世界時間で1週間ボロボロの廃墟になる。で、勝った場合だけどギルドポイントが貰えるだけっていう。」
「え…じゃあ、なんで挑んできたんだ?ギルドポイントが欲しいなら小さいギルドを狙えばいいのに。」
「あ。この前教えとけば良かったね。ギルドポイントってさ、ギルド員がクエストやったりバトルをして勝ったりすると自然と増えていくんだけど、そのポイントでギルドバトル保護札っていうのが買えて、それをギルドハウスに貼るとバトルを挑まれないんだ。保護札は現実世界時間の24時間で消える。だから24時間に1回貼り直さないといけないんだけどさ、その貼ってる途中に邪魔が入ったりすると、今回みたいに隙を狙って挑まれるってわけ。だいたい貼る時に邪魔なんて入っても、ほんの数秒…ギルドバトル申請画面をずっと更新し続けてないと挑めるはずないんだ。ギルドの大きい小さいはギルドハウスの大きさで決まってて、最初のギルドハウスはダンボールだとか藁だとか…これが極小って言われててギルドバトルを挑めないんだ。次に小は札の貼り替えは30日に一回でいい。中は20日、大は10日、極大は24時間。」
「もしかして、ここ極大?」
「そう。ギルドハウスもギルドポイントで買うんだ。うちみたいにジャンジャン最上級ダンジョン回してるようなとこは極大だよ。で、今回うちを狙ってきた【ALLMILE】は貼り替えの邪魔をギルド【シュタインズ】に依頼したみたいだね。あそこくらい大きいとこでないと、うちの貼り替え邪魔するのは厳しいだろうし。」
「貼り替えを邪魔って具体的にどんな感じなんですか?」と護が聞いた。
「貼り替えする人は…基本的にそこのゲートはその担当の人か権限がある人しか入れない、その担当の人はそれだけが仕事だからその部屋から出る事もできない。食事も僕かシンカしか運んでないくらい厳重なんだ。今回…その貼り替える番人が幻覚に襲われたんだ。体力とか減らないけど3秒間はかかっちゃうからね。防ぎようがないというか。どうして番人の存在を知ってるのか…それから番人がいる部屋をどうやって嗅ぎつけたのか…。あそこの部屋はルナ名義だからバレるはずないと思ってたんだけどなぁ。」
「え?ますますわからなくなってきた…どうやってそんな厳重なとこを邪魔できたんだ?」
「あっはは…そうだよね。それは今調査中。暇だったら首突っ込んできてもいいよ?」
「暇だったらって…。」
「うちは今暇が欲しい時なんだ。貼り替えが邪魔されるって結構深刻な問題だから、それを早期解決する為にもパパっと終わらせたいんだよね~。」
「適当な壁に貼るのはダメなの?」と次は咲が質問する。
「適当な壁でいいけど切れる時間ピッタリに貼らないと『重複不可』って表示されて5秒間クールタイムが発生して貼れなくなる。それに時間を複数人に知られちゃうと今回みたいに狙われるから番人は一人って決めてたんだ。ルナには貼り替えた時間をメールしてくれてるみたいだけど。」
「なるほど。意外としっかりしてるんだ。このギルド。」と咲は納得したようだった。
「じゃ、まかせたよ?りき。ここにタップよろしく。」とシンが公開ホログラム画面をだしてきた。
そこにはギルドバトルエントリーメンバーと上に書かれていて下には名前。
それから端にはタップと書かれて四角い枠があって、そこに人差し指でタップすると下に書かれた名前の下に俺の名前が追加された。
【ギルドバトルエントリーメンバー】
・ルナ
・千翠
・ラート
・ダリア
・Shift
・りき
・
・
・
・
後4人が未定なのか…。




