【班の特徴・後編】
「次はラートさんとアローさんの班かな。ここは知ってると思うけど課金班。始めて1週間やそこらで上位層装備を纏う人だとか、とにかく金の力でなんでも解決しようとするとんでもない班。ラートさんはムーンバミューダ社の息がかかってない数少ない会社の社長だし、アローさんはラートさんのゲーム専用秘書。この班はラートさんの命令に従わなかった場合、ほぼほぼ即追放されちゃうけど人数的には多い気がする。まぁ、それだけラートさんは凄い人って事なのかな。ギルドへの寄付金は2位。班のシンボルは翼。」
翼って…ラートさんのどでかい男のロマンが詰まったような武器を思い出すなぁ。
「え…でも…てことは1位はルナ班?」
「いや、1位は千翠さんとMr.DADAさんの班だよ。圧倒的人数で金策系ダンジョンを効率よく回して、ゲーム内のお店とかも何店舗か展開しててとにかく色々凄いよ。千翠さんの凄さはそこだけじゃない。入った人は何故か千翠さんの虜になってるっていうか。洗脳がうまいというか…。まぁとにかく人を育てる能力に長けている…とだけ。Mr.DADAさんは…特にわかんないや。」
「え・・・シンでもわからないって事あるんだ。」
「ほんとに謎な人すぎてね。千翠さんが朝の幹部に推薦したから実力は確かなはずなんだけどね。えっと、ギルドへの寄付金は1位で班のシンボルは太極図。」
「じゃあルナ班は4位?」
「うん。人数も少ないしね。その変わりどこかの班の幹部がこれない場合完璧に代役をこなせる。新人二人以外はね。」
「…俺とオレオ君の事かな。」
「さぁ?誰とは言わないけどね。うちの班は主に他ギルドや野良の悩み事を解決する班。もちろん報酬はそれなりにもらうけど。そこそこお金持ってないとうちの助けは借りられないって事。ギルドへの寄付金は4位…まぁそのうちの半分は僕とシンカの稼ぎだけど。班のシンボルは月…って言っても三日月だけどね。」
「シンもシンカさんも凄いな…。シンボルって何?」
「ミルフィオレには制服が一応あるんだけど、背中にでかでかと各班のシンボルが刺繍されてて、毎年ヴァルプルギスで使ってるけど今年は色も変えようか検討中なんだよね。」
「へぇ…。制服って防具?」
「アバターだよ。防具はそのまま着てないと速攻しんじゃうよ。」
「そうだよな。」
「じゃあ、次は大いなる目的についてかな。これはヴァルプルギスイベントがある日に現実世界で千翠さんから告げられるらしくって僕はしらないんだ。でもルナが大いなる目的の為に動いてるんだったら僕も動くって感じ。」
「あぁ、シュガーさんも色々話したそうだったけど現実世界で会ってからって言ってた気がする。」
「ちなみに大いなる目的の為に動きたくない人は追放されるから気を付けて。」
「追放か。なんだか聞くのが恐いな。」
「だよね。あとは知りたい事ある?」
「千翠さんって、なんでギルド長の座をルナさんに譲ってるんだ?ラートさんはルナさんに負けてたから納得いくけど。」
「僕が子供の頃、千翠さんに同じ質問をした事があって、そしたら「私は一度ルナのギルドを奪って失敗したんです。そこそこ大きなギルドでした。私は外交が下手なようです。」ってさ。」
「噂では聞いた事あったけど、本当にとってたんだ。」
「酷い壊滅の仕方をしたみたいだよ。今のルナ含めたルナ班古参組と千翠さん全員ペナルティだってさ。」
「え!?結構な大事故だよな。」
「だと思う。僕まだ生まれてなかったからわからないけど。それで一回千翠さんはログインを辞めてたんだけどルナが現実世界で偶然みつけて復帰させてからのミルフィオレかな。」
「結構長いギルドかと思ってた。」
「一応長いは長いよ。ルナ班古参組はルナが始めた頃から一緒にやってるらしいし。」
「へぇ。裏切りといえばユダさんも何かあったんだよな?」
「あぁ、あの人は千翠さんを裏切ってボコボコにされたってだけだよ。もう勝てないって分かってるから裏切らないだろうね。…っと、そろそろ僕ルナのとこへ行かないと。」
「わかった。ありがとう、色々知る事ができたよ。」
「どういたしまして。」
シンの部屋を出たあと、咲に連絡して合流した。
「何時間もほったらかし!」
「ごめん(汗)あ、そうだ。晩餐までちょっと時間あるし今から…」
「ん?どうしたの?」
少し離れたところで揉めてるっぽい人がいた。
「なんか揉めてるみたいだ。」
「行ってみる?」
「うん。」
近づいてみるとマーマパパの班に座ってるのを何度か見たことあるヒーラーの女の人とダリア班の男の人とジョンナム班の男性二人が揉めていた。
「だーかーら!!リオは私のなの!連れていかないで!今デートしてるんだから!」と女の人がダリア班のリオと呼ばれた男性の腕をくんだ。
「いやいや、リオ、どうなってんだ?今から行くって話だっただろ?」
「こっちが先に約束してたんだから、こっちを優先しろよ。」
「あの、どうしたんですか?」
「いやさぁ。リオとダンジョンに行く約束してたんだけど、リオの彼女が急にログインしてきてリオを離さないんだ。」
「リオもなんとか言えよ!!」
「すまん!!俺行けそうにない。」
「はー?なんだよそれ。」
「あー…俺でもいけるダンジョンだったら俺が変わりにいきましょうか?」
「え!?まじか!火力できるか?」
「はい。ヒーラーでも火力でも。」
「助かるわぁ!!……もうリオは誘わねーから。」
「リオ!あんな心無い自分勝手な人ほっといてあっち行こうー?」
「……。」リオさんは黙って彼女さんと歩き去っていった。
「はぁ。ヌコアいなくならねーかな。」
「無理だろ。ヌコアは農業スキル上限解放者だし。十分利用価値ありだろ。」
「だよなぁ。バトルゲームなのに農業スキル全振りできる奴は限られてるしな。」
「ダンジョンって人数制限ありますか?」
「いや。ねぇよ。AIもつれていくか?」
「はい。もう一人も呼んでみます。」
「あ!けどよぉ。報酬は3等分な。」
パーティーに入れてもらって報酬設定がユーザーのみにされた。
「よろしく。俺はジョンナム班のラフィ。」
「俺もジョンナム班。キムタク。キムって呼んでくれ。よろしく。」
ラフィさんは赤髪ショートで…キムタクさんは金髪ロング。
「ルナ班のりきです。よろしく。」
「有名だから見た瞬間誰かわかったぜ。」
「あはは。とりあえず、もう一人のAIと連絡とってみます。」
護に連絡をいれるとすぐに来てくれた。
「えっと、AI咲は火力で、りきも火力で、AI護はヒーラーだな?」
「俺と護は臨機応変にヒールも火力もできるんで適当に火力でも大丈夫です。」
「…ん?てか…天使って…七大天使シリーズか!?」
「僕?そうですよ。大天使アリエルです。」と護がニコリと微笑む。
「なっ!?何回回したんだ?」とラフィさんに体を揺すぶられる。
「えっと46回?」
「46!?どこのお坊ちゃんだよ!!」
そうか。普通はほいほいバトルに勝つ事なんてできないんだ。
ほとんどチートで勝ってるようなものだから普通の感覚がさっぱりだ。
「あはは。まぁ。ルナさんに色々と親切にしてもらったんで。」
「そろそろ移動しねーと終わるころには疲労バフついちまうぞ。」
キムさんがゲートを開いてくれて入ってみると大きな獣の骨がある廃墟だった。
ラフィさんがそれに触れるとクエスト開始画面が表示された。
「じゃあ、いくぞー。敵倒すだけの楽なダンジョンだから。」
全員がホログラム画面のOKボタンを押すとすぐにクエストが開始された。




