【宝花の賢者ステッキ】
【サンフラワー】についてすぐ…世界樹の雫をもらったお店へいった。
「いらっしゃいませ」と女性店員さんは笑う。
「……ミーナ?」と咲が言うと…笑顔だった女性店員さんは今にも泣き出しそうな顔をする。
「その声…陽子…陽子なの?」
「うん。そうだよ。」
女性店員は咲を抱きしめた。
「無事…なのね?」
「…ごめんなさい。ほとんど記憶がなくって…ミーナの事も少ししか覚えてないの…。でも、元気よ!今はりきの家にいるし!」
「無事でよかった…。やっぱり…この子に渡して正解だったのね…。」とミーナさんは目尻にたまった涙を自分の指ですくう。
「私の事で色々聞きたいんだけど…」
「…それは…ごめんなさい。ここでは言えないの。」
「そう…よね。」
「でも…あるお方のおかげで貴女は追われてないの。」
「…ある…お方?」
「誰かは私にもわからないの…今の今まで…ううん、陽子が目の前に現れるまで…捕まってるのは貴女だと思っていたから…。」
「いいの?この世界でそんな話してて。」とシンさんが突っ込む。
「…やーめた。記憶の方は多分時間が解決するだろうし、今は武器を加工してもらう方が先。」
「武器を加工?いったい何を?」
咲は賢者の書をミーナさんに見せた。
「これを…バレない武器にしたいの。」
「…お任せください。えーっと…何か花は用意できますか?」
「あ。うん。」
咲はスマホを操作して植木鉢を取り出した…そこに小さな光を植えると…すぐに芽がでて…ニョキニョキ成長して…最後には…僕の持っているGMからの贈り物の花びらと全く同じ色をした花が咲いた。
「へぇ。これ何のスキル?」とシンさんが興味津々に聞く。
「農業スキルと薬剤調合の合わせ技。」
「こわ。農薬って事?」
「農薬知ってるの?」と眉間に皺をよせた咲がシンさんに聞く。
なんだかそれが面白くって笑ってしまった。
「はははっ。なんか…はははっ。」
「さてと、じゃあ作りますね。」
ミーナさんは金槌を取り出して、ポンッと咲いた花と…賢者の書を叩いた。
すると合体して…ピンク色と紫色のグラデーションが入った7枚の花弁がついたステッキが出来上がった。ホログラム画面でアイテム詳細が表示された。
【宝花の賢者ステッキ】7枚の花弁に宿る7人の賢者の魂に認められし者のみ真の力を行使する事ができる。
「あれ…?見た目だけ変えるんじゃないんですね。」と僕はミーナさんに聞いた。
「見た目だけ変えた場合賢者の書だってバレてしまいますからね。合成して能力引継ぎで別の武器にしました。」
「可愛い!りき!見てこれ!可愛いー!」
「うん。可愛いよ。」
「ね!使ってみたい!シン君!練習付き合って!」
「え?嫌だけど。僕あんな化け物パンチくらいたくないし…。あ、そうだ。サモンゲートで誰か呼んじゃえば?」
「サモンゲートって、りきがゲートスキル上げたら覚えたやつ?」
「そう。」
「……shiftさん出てきたらどうしよう…嫌だなぁ。」
「わかる。あの人でてきたら色々面倒だよね。」
「サモンゲート!」
咲が対戦相手を欲しがってるんだから…仕方ない犠牲だ。
ゲートからでてきたのは…全く見覚えのない人だった。
オレンジ色のバンダナを頭に巻いていて…上半身裸…鍛え抜かれたボディ…白いカーゴパンツ…そして…腕には大きい輪っかがはめられている。
「あ。ピッタリな相手だね。にー湯kenさん。」
この人が…にー湯kenさん…ルナ班の…
「…え…あれ…?どうして俺はここに。」
「お久しぶりです。kenさん何かしてる途中でしたか?」
「んにゃ。筋力向上訓練を佐藤としてたところだ。お前が呼んだのか?」
とシンさんと喋っていたにー湯kenさんは僕を見た。
「は、はい…えっと…ゲートのスキルで…。はじめまして、りきです。」
「お、そうだな。はじめましてだな。にー湯kenだ。噂には聞いてる。よろしく。」
「あの!いきなりなんですが、僕のAIと練習試合をしてもらえませんか!」
「練習試合だと?俺とか?」
「はい。シンさんにお願いしたんですけど…嫌がられてしまって…。」
「強いのか?」
「新しくできた武器を試したいみたいだよ。」とシンさんが言って、にー湯kenさんは咲が持ってる武器を見る。
「…ステッキか。魔法か?」
「それが使ってみないとわからなくて。」
「見たところ、合成武器か。いいだろう。」
「ありがとうございます!」
みんなでとりあえず店の外へ出て、咲はパーティーを脱退してバトルの準備をする。
カウントダウンがはじまって…0になった瞬間、咲は何かをブツブツ呟いた…すると7枚の花弁が光った。
「んじゃ、いきますか。」とにー湯kenさんは物凄い勢いとスピードで咲に殴りかかり、咲はそれをステッキで受け止める。
「……まじか。」
「にー湯kenさん何を驚いてるんでしょう?」
「通常あれくらったら吹き飛ぶからさ、吹き飛ばないって事は同じ力をあてて相殺したって事…あの腕輪は能力を倍にする効果のある武器だから。」
「なるほど…。」
にー湯kenさんは距離をとって、もう一度殴りかかろうとするが…今度は咲が凄いスピードでにー湯kenさんの側へ行きステッキで殴る。
にー湯kenさんが吹き飛んでしまって…バトルが終了し、吹き飛んだにー湯kenさんは強制ワープで僕らの近くに戻ってきた。
「痛すぎて意識飛びかけたぞ。俺の貴重なログイン時間が…。」
「お疲れ様です。」
「どうでしか?」とミーナさんは咲の様子をうかがう。
「ステッキに力が宿ってて…このステッキを手離してしまうと終わりって感じね。大事にしなくっちゃ。ありがとうミーナ!」
「良かったです。」
「ますますうちのギルドはチートギルドって言われそうだな。」とにー湯kenさんが言う。
「そうですね。ルナといい千翠さんといい…」
「shiftもだろう。あの全回復連続はチートだ。」
「確かに。」
「チートと言えば…ヒルデガーデンのギル長、元気か?」
「気になるなら自分で行ってくださいよ。」とシンさんは面倒そうに答える。
「いや…急にいくのも…。」
「好きなの?」と咲が聞いた。
「なっ!!馬鹿っ!!そっそんな事はっ!!」とにー湯kenさんは赤面しながらあたふたとしだした。
「もう隠さなくてもわかるレベルだよね。これ。」とシンさんは飽きれ口調で。
「あはは…。チートってどうチートなんですか?」
「ヒルデガーデン ギル長 ヒルデは星5レアを超える武器が一人だけもらえるイベントで、当選して星5レアを超える武器【メドゥーサ】を装備しててさ。ルナのドラゴン化もシンカの魔王化も全部それの当選武器。そのイベントは現実世界の時間で1年に1回だけ。」
「へぇ…。」
「ただ…嫌な噂があるけどね。当選したユーザーはログアウトできないらしいよ。」
「え…?」
「安心しろ。ルナはログアウトしないだけだ。昔はしてたしな。」
「あ…!ヒルデさんに会われるのでしたら、このお洋服渡してください。」
とミーナさんはにー湯kenさんにプレゼントを渡した。
「なっ…メールで送れば良いだろ…。」
「いえいえ、ちゃんと似合ってるかどうか確かめてきてください。」
「……りき!お前もこい!」
「えっ…僕ですか!?」
「まぁ。武器も手に入った事だし、僕はそろそろルナのとこへ帰ろうかな。」
「シン、お前りきについてるよう言われてるだろ!晩餐までは結構時間あるだろ!」
「えー…。」
「つまり、一人じゃ恥ずかしいってわけね。」
「じゃあ、よろしくお願いしますね。」とミーナさんはニッコリ笑う。
…ギルド【ヒルデガーデン】…
シンさんがゲートを用意してくれて4人で入る…。
ゲートの先は【エターナルフォートレス】という名前の国だった。




