第97話:予測不能のカオス(狂熱)と、究極の『顧客満足(ロイヤルカスタマー化)』
第97話:予測不能のカオス(狂熱)と、究極の『顧客満足(ロイヤルカスタマー化)』
新しく産声を上げたばかりの【超次元・真・大日本戦国宇宙】の空を引き裂き、メタ次元から現れた究極のクレーマー――超越消費者エンド。
彼は大宇宙を「消費するコンテンツ」と見なし、インフレしきった信長たちの宇宙を「ワンパターンで陳腐」と断じて廃棄しようとした。
だが、大日本・多元宇宙商会・代表取締役たる織田信長は、その冷笑を極大の『覇王色』でねじ伏せた。
客が飽きたと言うなら、その価値観(脳髄)ごと破壊して熱狂させる。それがブラック企業のトップが下した「究極の顧客対応」であった。
「佐吉! 五郎左! 俺の火縄銃に、新宇宙の全エネルギーと、大日本商会全社員の【規格外の狂気】を限界までブチ込め!」
信長の愛用する『魔力火縄銃』が、黄金でも漆黒でもない、誰も見たことのない【極彩色のカオスな輝き】でパンパンに膨れ上がる。
「てめェが飽きたって言うなら、脳髄が焼き切れるほどの『未知の狂熱』を味あわせてやる! ……受け取りな! 大日本商会がてめェに叩きつける、究極の【新商品プレゼン(カチコミ)】だ!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
信長が引き金を引いた。
銃口から放たれたのは、単なる高火力の光線ではない。既存のセオリーをすべて破棄し、顧客の予想を完全に裏切るべく構築された【超絶・変則的ブラック・プログラム】の塊であった。
陳腐化の防壁と、概念のバグ
『……ほら、結局はただの極太ビームじゃないか。エネルギー量を盛ればいいってもんじゃないよ』
エンドは退屈そうにため息をつき、「よくある必殺技」としてその攻撃を認識し、【陳腐化(オワコン化)の防壁】を展開した。
相手の行動を「想定内」とラベリングすることで、その威力をペラペラの紙くずに変えるメタ次元の絶対防御。
だが、信長の放った極彩色の閃光が防壁に衝突した瞬間。
閃光は爆発するのではなく、無数の「映像データ」や「概念のノイズ」となってエンドの脳内に直接流れ込んできたのだ。
『……え? なんだ、これ……?』
エンドのノイズがかった顔に、初めて「困惑」が浮かぶ。
彼の脳裏に再生されたのは、熱血バトルでも、感動のストーリーでもなかった。
「オークの猛将がフリフリの衣装を着てアイドルデビューし、超絶・次元晶戦斧で同業者の事務所(星系)を物理的に粉砕しながらトップチャートを独占する」映像。
「猿の獣人が、魔法少女のステッキの代わりに巨大なソロバンを振り回し、愛と魔法ではなく『株価の空売り』と『インサイダー取引』で魔王を破産させる」映像。
「エルフの魔法使いと腐海の魔帝が、宇宙サイズの最高級霜降り肉をブラックホールの熱で炙り、美食のために神々の概念を調味料としてすり潰す」映像。
『な、なんだこれは!? バトル要素に経済とアイドルとグルメが……いや、ジャンルがメチャクチャだ! セオリーが……これまでの物語の法則が一切通用しない!?』
エンドがパニックに陥り、頭を抱える。
「ガハハハハ! どうだ、てめェのちっぽけな想像力じゃあ追いつけねェだろうが!」
権六が甲板で大笑いする。
「御館様! 奴の『陳腐化の防壁』が崩壊していきます! 相手が我々の行動を『予測不能(未知)』と認識したため、存在価値の無効化がエラーを起こしています!」
佐吉が、魔導盤の数値が急速に「熱狂(黒字)」へと反転していくのを見て絶叫する。
究極の『顧客満足(ロイヤルカスタマー化)』
『ぐ、アァァァッ……! 情報量が……多すぎる……! でも、なんだこの狂った展開は……! 先が……続きが気になって仕方ない……ッ!』
エンドの展開していた「巨大なゴミ箱(廃棄フォルダ)」の概念が、パラパラと崩れ去っていく。
消費者の「飽き」が、大日本商会の叩きつけた規格外のカオス(新商品)によって、強制的に「未知への好奇心」へと塗り替えられてしまったのだ。
「フン。客がてめェの常識(枠)の中でしかモノを楽しめねェってんなら、その枠ごと俺たちの暴力でブッ壊してやるのが、最高のサービス(おもてなし)ってもんだろうが」
信長は、防壁が剥がれ落ちたエンドのド真ん中へ向けて、極悪な笑みと共に跳躍した。
「仕上げだ! 大日本商会の『野心』の重さ、てめェの魂に直接刻み込んでやる!!」
信長は、愛刀『宗三左文字』を引き抜き、アザトスの無限資本と漆黒の覇王色を刃に限界まで圧縮した。
『ま、待って! 君たちの勝ちだ! この宇宙は素晴らしい! 課金する! 全力で課金するからぁぁぁッ!』
エンドが、歓喜と恐怖の入り混じった悲鳴を上げる。
「毎度ありィィッ!!」
ズバァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!
信長の放った宗三左文字の極大の斬撃が、エンドのノイズがかった身体を真っ向から両断した。
だが、エンドは消滅しなかった。
両断された彼の身体は、極彩色の新宇宙エネルギー(狂熱)に包まれて再構築され、ブレていたノイズが晴れ、「大日本商会の社章が入った法被」と「サイリウム(光る棒)」を握りしめた【超・熱狂的ファン(ロイヤルカスタマー)】の姿へと強制的に書き換えられてしまったのだ。
「スゲェ……! 御館様のカチコミで、客のクレームが完全に『大絶賛』に変わっちまったぞ!」
市松が、信じられないものを見る目で呟く。
「へっへへへ! しかも奴の手に握られているのは、我が社の『VIPプラチナ会員証』! これで奴の持つメタ次元の莫大な資産(お小遣い)は、未来永劫ウチの会社の売上(利益)になりまさァ!」
猿が、売上グラフが天元突破していくのを見て感涙に咽び泣く。
メタ次元の絶対的プラットフォーマー
「……フゥ。どんなに口うるさい客だろうが、財布の紐さえぶっ壊しちまえばこっちのモンだ」
信長は、宗三左文字を鞘に納め、すっかり「大日本商会の信者」と化したエンドを満足げに見下ろした。
「御館様、お見事です。まさか次元の外側の存在すらも、自社の『上客』にしてしまうとは……」
蘭丸が、恭しく平伏する。
だが、熱狂の渦に包まれる大日本艦隊の中で、VIP会員となったエンドが、ふと我に返ったように青ざめた顔で信長を見上げた。
『……す、素晴らしいよ、信長社長。君たちのコンテンツ(宇宙)は、僕の永遠の推しだ。……でも、マズいことになった』
「あァ? まだクレーム(文句)があるってのか?」
信長が凄む。
『違う! 僕を満足させても、この「メタ次元(市場)」には無限の消費者がいる。そして、僕たち消費者に宇宙を配信し、管理している【絶対的プラットフォーマー(配信元)】が……君たちの宇宙の「異常な熱量」を危険視して、直接動き出したんだ!』
エンドが叫んだその瞬間。
引き裂かれた空の向こう側――メタ次元のさらに深淵から、大宇宙の存在すらも「ただのデータ容量」として処理するような、冷徹で絶対的な【システム終了のカウントダウン】が響き渡った。
『――警告。対象コンテンツ【超次元・真・大日本戦国宇宙】の規約違反、ならびにプラットフォームへの過負荷を確認』
『――これより、当該コンテンツの【サービス終了(サ終)】を実行します』
「サービス終了だと!?」
佐吉が、魔導盤の電源が強制的に落ちていくのを見て絶叫する。
「御館様! 我々の創った宇宙そのものが、プラットフォームの管理者権限によって『強制削除』されようとしています!」
メタ次元のさらに上位、すべての宇宙を束ねる「配信元」からの理不尽な死の宣告。
だが、信長は焦るどころか、再び『魔力火縄銃』を肩に担ぎ、極悪な笑みを浮かべてメタ次元の深淵を睨み据えた。
「俺たちのシノギを、勝手に『サ終』にするだと? ……ふざけた殿様商売をしてやがる」
信長の背後で、全社員たちが一斉に武器を構え、殺気を放つ。
「客が熱狂してる最高のコンテンツを、運営の都合で潰すって言うなら……その【プラットフォーム(配信元)】ごと、俺の資本で完全に買収(乗っ取り)してやるよ!!」
究極のクレーマーを上客に変えた第六天魔王は、ついにすべての物語・宇宙を統括する「絶対的プラットフォーマー」への逆カチコミを宣言した。
全100話の完結へ向けて、残り3話。大日本・多元宇宙商会の「最後の陣取り合戦」が、メタ次元の最深部へとその狂気の矛先を向けていくのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作「辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜」を鋭意執筆中です。こちらが終わり次第投稿予定のない為、アドレスは載せられませんが気にかけてくれると幸いです。




