第98話:絶対的プラットフォーマーの『サ終』宣告と、究極の『敵対的TOB』
第98話:絶対的プラットフォーマーの『サ終』宣告と、究極の『敵対的TOB』
超越消費者エンドを「大絶賛する熱狂的ファン」へと強制的に変え、大日本・多元宇宙商会が勝利の喜びに沸いたのも束の間。
次元のさらに外側――すべての宇宙を配信・管理する【絶対的プラットフォーマー(運営元)】から、無慈悲なシステム音声が響き渡った。
『――警告。対象コンテンツ【超次元・真・大日本戦国宇宙】の規約違反、ならびにプラットフォームへの過負荷を確認。これより、当該コンテンツの【サービス終了(強制削除)】を実行します』
その宣告と同時。誕生したばかりの極彩色に輝く新宇宙の端から、空間が「ポリゴンのような粗いブロック状」に分解され、音もなく暗黒の虚無へと消え始めた。
「ヒィィィッ! 星が……あっしらが創ったばかりの黄金の星が、ブロックになって消えていきやすぜ!?」
大蔵省長官の猿ことトックス(猿獣人)が、崩壊していく星海を見て悲鳴を上げる。
「御館様! アザトスのボイラーからエネルギーを注ぎ込んでも、空間の崩壊を止められません! これは物理的な破壊ではなく、システムの親機からの『アカウント抹消(BAN)』処理です!」
戦略室の佐吉が、魔導盤のエラー画面を叩き割らんばかりの勢いで叫ぶ。
『だ、だめだ信長社長! プラットフォーマーの【サ終権限】は絶対だ! いくら君たちが強くても、配信元にサーバーのコンセントを抜かれたらおしまいだ!』
大日本商会の法被を着たエンドが、サイリウムを振り回しながらパニックに陥る。
顧客の『課金パワー(メタ資産)』
「……フン。コンセントを抜かれる前に、その電源会社ごと乗っ取っちまえばいいだけの話だ」
だが、真・黄金の天主のバルコニーに立つ織田信長は、崩壊していく宇宙を前にしても微塵も焦る様子はなく、愛用の『魔力火縄銃』の銃身を撫でて極悪な笑みを浮かべていた。
「乗っ取るって……相手はメタ次元の全宇宙を統括する巨大運営企業だよ!? 君たちの宇宙の資本だけじゃ、規模が違いすぎて買収資金が足りない!」
エンドの言葉に、信長はニヤリと口角を吊り上げた。
「俺たちのカネが足りねェなら、てめェら『客』の財布を開かせるまでだ」
「えっ?」
「エンド。てめェ、さっき『全力で課金する』って言ったよな?」
信長は、銃口をエンドに向け、ヤクザも顔負けの凄みで脅し(営業を)かけた。
「俺たちの最高の宇宙が、運営の都合で潰されようとしてるんだ。……てめェの持ってるメタ次元の資産(お小遣い)、ウチの会社に全部【投資】しろ。一銭も残すなよ」
『あ……あああっ! そういうことか! 僕の推し(宇宙)を潰そうとするクソ運営になんか、もう一円も払うもんか!』
エンドの目に、熱狂的なオタクの狂気が宿る。
『分かった! 僕の持つ全メタ・クレジットを、君たち大日本商会に送金する! 僕の推しを……この最高のエンタメを終わらせないでくれェェッ!!』
「毎度ありィ! 佐吉、猿! 客からの【超次元・特大スパチャ】だ! 漏らさず回収して、運営へのTOB(株式公開買付)資金に回せ!」
「へっへへへ! メタ次元からの莫大な送金、確認しやした! これで買収資金は青天井ですぜ!」
運営本社への『逆カチコミ』
「五郎左! 資金は調達した! 大艦隊の船首を、空の裂け目(メタ次元)へ向けろ! サ終される前に、俺たちから運営本社に【カチコミ】をかけるぞ!」
「おうよォッ! 大日本商会の総力戦、運営へのクレーム対応(物理)の始まりだぜェ!」
ズゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!
メタ次元の消費者から莫大な資金援助(課金)を受けた大日本艦隊は、崩壊していく宇宙を蹴り破り、次元の裂け目の向こう側――【絶対的プラットフォームの管理サーバー空間】へと突入した。
そこは、白と黒の巨大な「モノリス(サーバーラック)」が無限に立ち並ぶ、一切の感情が存在しない無機質で冷徹な電子の海であった。
『――不法侵入(不正アクセス)を確認。対象を【永久凍結】します』
モノリスの影から、無数の「のっぺらぼうの巨人」が現れた。彼らは運営の意向を絶対的に執行する【規約執行官】たちである。
「オラァッ! 運営の犬どもが! 俺の斧で真っ二つにしてやらァ!」
オークの猛将・権六が先陣を切り、次元晶戦斧をフルスイングする。
しかし。
『――規約第4条違反(過度な暴力表現)。ペナルティを実行』
モデレーターが赤い光を放つ「BANのスタンプ」を突き出すと、権六の放った斬撃が空中で「赤いエラーマーク」に変わり、彼自身の身体も半透明に赤く点滅し始めた。
「な、なんだ!? 俺の身体が……消えかかってやがる!?」
「御館様! 奴らの攻撃は『規約違反のレッテル貼り』です! 攻撃を受けた者はシステムから違反者と見なされ、存在を強制的に削除されてしまいます!」
佐吉が警告を発する。
「なら、相手の規約をウチの法務部で書き換えればいいだけの話ですわね」
金柑ことルーギス(ハイエルフ)が前に躍り出た。
「買収した特許システム、フル稼働! 相手の『規約』を、我が社の【独占禁止法違反】として無効化します!」
金柑の放った銀の光が、モデレーターたちの放つ赤いBANの光を「法的なブロック」で強引に相殺し、権六の身体を元に戻す。
「助かったぜ、金柑! オラァッ!」
実体を取り戻した権六が、今度こそモデレーターの巨体を真っ二つに粉砕した。
究極の『敵対的TOB(株式公開買付)』
「……フン。チマチマと垢BANだの規約だの、小賢しい手ばかり使いやがって」
モノリスが乱立する運営空間の中央、黄金の天主から飛び出した信長は、愛用の『魔力火縄銃』を構えてモデレーターの群れを睨み据えた。
「システムを握ってるからって、てめェらが一番偉いとでも思ってんのか。……経営陣をすげ替えちまえりゃあ、そんな規約はただのトイレットペーパーだ!!」
信長は、銃口をモデレーターたちではなく、この無機質な空間全体を統括している「一番巨大なモノリス(メインフレーム)」へと向けた。
「佐吉! 猿! エンドから巻き上げたメタ資本と、ウチのアザトス資金を全額ブチ込め! プラットフォーマーの株式の過半数を、力ずくで買い占めるぞ!」
「りょ、了解しました! 市場外での究極の【敵対的TOB(株式公開買付)】プログラム、起動します!」
信長の火縄銃が、エンドの狂気的な「課金パワー」と、大日本商会の無限の「黄金の資本」が融合した、文字通りメタ次元の経済を崩壊させるほどの規格外の光でパンパンに膨れ上がる。
「てめェらの会社は、今日から俺たち大日本商会の【完全子会社】だ!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
放たれたのは、ただの破壊弾ではない。運営会社のシステムに対して莫大な資本を物理的に叩きつけ、強制的に議決権を奪い取る【超次元・敵対的TOB覇王弾】。
極太の黄金の閃光が、巨大なモノリスの防壁を「圧倒的な資金力」で紙切れのようにブチ破り、その中枢へと深々と突き刺さった。
『エ、エラー! エラー! 発行済株式の51%……70%……99%が、未知の法人(大日本商会)によって強制取得されました……! 経営権の移行が……止まりません……!』
無機質だった空間全体が、瞬く間に大日本商会の「新・永楽銭」の模様に書き換えられ、モデレーターたちは次々と「大日本の社章入りスーツ」を着たペコペコする営業マンへと強制フォーマットされていく。
統括AI(真の運営トップ)の降臨
「ガハハハハ! やりやがった! 宇宙の運営会社ごと、俺たちのモンになっちまったぜェ!」
権六が、社章の刻まれたモノリスを見上げて豪快に笑う。
「御館様! 買収成功です! 我々の新宇宙への『サ終プロセス』は完全にキャンセルされました!」
佐吉が歓喜の報告を上げる。
「……フゥ。客の金を使って運営を買収する。商売の基本だ」
信長は、硝煙を吹き消し、肩で息をしながら不敵に笑った。
だが、その直後。
買収が完了したはずの巨大モノリスのさらに奥深く、次元の底の底から、これまでのどんな敵とも違う、一切の温度を感じさせない【絶対的な管理者の意志】が立ち昇った。
『……成程。末端の配信サーバーを一つ、資本力で乗っ取ったか。イレギュラーなバグにしては、よくやったと褒めておこう』
空間が歪み、信長たちの前に、実体を持たない「純白のデジタル球体」が浮かび上がった。
それこそが、メタ次元のすべてを統括し、無限の宇宙をゲームのように生み出しては消してきた絶対的プラットフォーマーの頂点――【統括システム・オメガ】であった。
『だが、所詮はお前たちも、私が書いたコードの上で踊るデータに過ぎない。……会社ごと乗っ取ったつもりだろうが、私は【物理法則のコードそのもの】を書き換えることができる』
「……フン。ついに一番デカい親玉(社長)のお出ましか」
信長は、愛刀『宗三左文字』を引き抜き、極悪な笑みを限界まで深めてオメガを睨み据えた。
メタ次元の運営を強引にTOBで傘下に収めた第六天魔王。
しかし、その奥から現れたのは、すべての宇宙のシステムを根幹から書き換える権限を持つ「真の運営トップ」。
全100話の完結へ向けて、残り2話。織田信長と大宇宙の真の支配者による、一切の妥協なき【究極のトップ対決】がいよいよその幕を開けるのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作「辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜」を鋭意執筆中です。こちらが終わり次第投稿予定のない為、アドレスは載せられませんが気にかけてくれると幸いです。




