第86話:本能寺への帰還と、過去(トラウマ)の完全粉砕
第86話:本能寺への帰還と、過去の完全粉砕
大日本・多元宇宙商会の全資本とアザトスの無限出力が圧縮された【超時空・強制買収覇王弾】によってこじ開けられた時空の穴。
第六天魔王・織田信長と絶対の剣・森蘭丸は、燃え盛る【地球・西暦1582年・本能寺】のド真ん中へと、数無量大数の次元と時間を飛び越えて降り立った。
パァァァァァンッ……!!
時空の穴が閉じると同時、信長の鼓膜を打ったのは、聞き覚えのある鉄砲の音と、足軽たちの喚き声、そして肌を焼くような紅蓮の熱気だった。
「明智の日向守が謀反! 敵は本能寺にあり!!」
「御館様を逃がすな! 首を討ち取れェッ!」
見渡せば、本能寺の御殿はすでに激しい炎に包まれ、桔梗の紋を掲げた明智軍の兵士たちがアリの群れのように境内に雪崩れ込んでいる。
それは、あの日――信長と蘭丸が異世界へと転生する直前に見た、完全に【同じ光景】であった。
「……御館様」
蘭丸が、背中合わせで信長を護るように立ち、周囲を睨み据える。
その声には、かつてこの場所で抱いた絶望も恐怖も微塵もない。ただ、己の主君の行く手を阻むものはすべて切り捨てるという、静かで冷徹な殺意だけが研ぎ澄まされていた。
「フッ。懐かしい匂いだな。血と、火薬と、裏切りの匂いだ」
信長は、愛用の『魔力火縄銃』を肩に担ぎ、燃え落ちる御殿の柱を蹴り飛ばしてゆっくりと境内へ歩み出た。
全次元を平定し、神々すらも平伏させた男が放つ【漆黒の覇王色】が、本能寺の炎の熱を完全に呑み込み、周囲の空気を絶対零度のように凍りつかせる。
過去からの刺客と、歴史修正力の干渉
「お、おい……! 見ろ、あそこ!」
「御館様だ……! 織田信長だ!!」
燃え盛る御殿から、悠然と姿を現した信長と蘭丸を見て、明智の兵士たちが足を止めた。
だが、彼らの目に映ったのは、もはや「追い詰められた主君」ではなかった。漆黒のマントを翻し、見たこともない異形の銃を担いだ信長と、白銀の神気を纏う神剣『天叢雲』を構えた蘭丸。
その存在感は、本能寺の炎すらも背景のイルミネーションに変えてしまうほどに、絶対的で圧倒的だった。
「ひぃぃッ……! な、なんだあの威圧感は……!」
明智の兵士たちが後ずさりする。
その時。
『――エラー。特異点の時空逆流を確認。これより、歴史の強制修正を実行する』
後ずさりした兵士たちのうち、数十人の身体が突如として【無機質な幾何学模様の光】に包まれた。
彼らの瞳から感情が消え失せ、歴史の絶対修正力のシステムに乗っ取られた【運命の執行兵】へと変貌したのだ。
『織田信長、並びに森蘭丸。貴様らはここで死ぬ運命にある。大宇宙の正史に従い、消去されるがいい』
システムに操られた執行兵たちが、異常な筋力と速度で信長たちへ向けて殺到する。彼らの放つ刃には、対象の存在を歴史から直接削り取る「因果律の毒」がエンチャントされていた。
「御館様! 奴ら、ただの兵ではありません! この宇宙の歴史の『法則』そのものが憑依しています!」
蘭丸が警告を発する。
「フン。歴史の法則だの運命だの、偉そうに語りやがる」
信長は、殺到する執行兵たちを面白くもなさそうに見据えた。
「蘭丸」
「はっ!!」
「てめェを一度殺した連中だ。……たっぷり【利子】をつけて、借金を返してやれ」
「――御意!!」
トラウマの完全粉砕
蘭丸の身体が、白銀の閃光となって消えた。
次の瞬間。
「奥義・神断ち――『白銀・覇王絶空断』!!」
ズバァァァァァァァァァァンッ!!!!!
蘭丸の振るった『天叢雲』から放たれた極大の十字斬撃が、殺到する執行兵たちを、彼らが纏っていた「因果律の盾」ごと、境内の空間もろとも綺麗に両断した。
『エ、エラー!? 因果律の絶対防御が……物理的な剣撃によって突破……!?』
真っ二つになった執行兵たちが、データノイズを撒き散らしながら消滅していく。
「馬鹿め。我が主君の野心の前では、運命などただの紙切れに過ぎん」
蘭丸は、刀についた光の粒子を払い、冷ややかに言い放った。
かつては己の身を挺して主君を護ることしかできなかった少年は、今や大宇宙の法則すらも一刀両断する『絶対の剣』へと成長していた。
「ひぃぃぃッ! ば、化け物だァァァッ!」
その常軌を逸した光景を目の当たりにした明智の一般兵たちが、恐怖で武器を投げ捨て、蜘蛛の子を散らすように逃げ出し始める。
「逃がすかよ。俺たちのシノギを邪魔しに来た落とし前、耳を揃えて払ってもらうぜ」
信長は、愛用の『魔力火縄銃』を構え、逃げ惑う明智軍、そして背後で無限に湧き出してくる執行兵の群れへと銃口を向けた。
「営業の時間だ! てめェらの描いたチンケな歴史、俺の銃で全部【黒塗り(黒字)】にしてやる!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
信長が引き金を引いた。
放たれたのは、アザトスの無限資本と覇王色を圧縮した【超時空・買収覇王弾】。
極太の黄金の閃光が、本能寺の境内を扇状に薙ぎ払い、歴史修正力に操られた執行兵たちを一瞬にして「黄金の永楽銭(大日本商会の資産)」へと強制変換してしまった。
『ガ、アァァァァッ……!! 歴史ノ……強制力ガ……カネノ暴力ニ……!!』
クロノス・レギュレーターの放った尖兵たちは、過去のトラウマを完全に克服した二人の圧倒的な力の前に、成す術もなく蹂躙されていく。
謀反人との再会
「ガハハハハ! どうした! 運命の借金取りってのはこんなモンか! もっとド派手な取り立て(カチコミ)を見せてみやがれ!」
信長が、燃え盛る本能寺のド真ん中で、腹の底からの高笑いを上げる。
その時。
業火に包まれた本能寺の正門が、内側からドゴォォンッと吹き飛ばされた。
「……フン。騒々しいと思えば、やはり貴方でしたか、信長様」
吹き飛んだ門の奥から、一人の男が姿を現した。
水色の桔梗の紋が入った陣羽織。だが、その顔の半分は「無機質な時計の歯車」に侵食され、右目からは不気味な赤い光が漏れ出している。
「……光秀」
信長は、硝煙を吹き消し、その男を鋭く睨み据えた。
『訂正します。私は明智光秀であり、同時に【歴史の絶対修正力】のターミナル(端末)……。この時代の運命を正しく紡ぐため、システムと同化した存在です』
明智光秀――いや、歴史修正力に乗っ取られた【クロノス・光秀】が、歯車の軋むような音を立てて冷酷に笑った。
『貴方が異世界でどれほど強大な力(会社)を手に入れようと、ここが貴方の「原点(死の運命)」であることに変わりはない。……これより、謀反の総仕上げを行います。貴方の存在証明を、この宇宙から完全に抹消して差し上げましょう』
クロノス・光秀の背後に、数万の歴史修正プログラムが具現化した「運命の歯車」が展開し、本能寺の空間全体を【絶対に逃れられない死の因果律】で包み込んでいく。
「リストラだと?」
だが、信長は微塵も怯むことなく、火縄銃を肩に担ぎ直して不敵に笑った。
「てめェごときの分際で、社長の俺にクビを宣告する気か。……いい度胸だ、十兵衛。てめェのそのふざけたシステムごと、俺が直々に【懲戒免職(ブッ殺)】にしてやる!!」
燃え盛る本能寺を舞台にした、かつての君臣による時空を超えた最終対決。
全100話の完結へ向けて、第六天魔王と歴史そのものとの、一切の妥協なき究極のデスマッチがいよいよ火蓋を切るのであった。
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