第82話:究極の株主総会(デスマッチ)と、理不尽なる『第三者割当増資(ハイパー希薄化)』
第82話:究極の株主総会と、理不尽なる『第三者割当増資(ハイパー希薄化)』
大宇宙の心臓の深奥、白金の柱が立ち並ぶ超越的な役員会議室。
すべての次元に「存在」というシードマネー(起業資金)を投資し、その利益(大日本商会の全資産)を強制回収しようとした【原初投資神プロヴィデンス】に対し、第六天魔王・織田信長は真っ向から反旗を翻した。
「議長はこの俺だ! 配当金が欲しけりゃ、俺たちの武力と暴力を全部正面から受け止めてみやがれ!!」
信長の極悪な笑みと同時に、アザトスの無限エネルギーを直結した大日本艦隊の全砲門が、純粋な光の輪郭で構成されたプロヴィデンスへと向けられる。
『……愚かな雇われ社長め。会社の備品(武力)で株主に逆らうというのか。お前たちの行動はすべて、システムにおける【背任行為】だ。……強制清算を実行する』
プロヴィデンスが白金の腕を振り下ろした瞬間。
会議室の上空から、数万の銀河を圧縮した質量を持つ【絶対契約の光剣】が、無数の雨となって大日本軍へと降り注いだ。
それは物理的な刃ではない。「出資者への絶対服従」を強いる、宇宙のシステムコードそのものが具現化した暴力であった。
役員(武将)たちの抗戦
「ヒィィィッ! 空からバカでけェ借用書が降ってきやしたぜ!」
大蔵省長官の猿ことトックス(猿獣人)が、ソロバンを頭に乗せて甲板を逃げ回る。
「ガハハハハ! 契約書だか何だか知らねェが、俺の斧でハンコごと叩き割ってやらァ!」
オークの猛将・権六が跳躍し、超絶・次元晶戦斧を大上段から振り下ろす。
ドゴォォォォォォォォッ!!
赤黒い覇気を纏った斬撃が光剣と激突し、火花ならぬ「破棄された契約データの光」を宇宙空間に撒き散らす。
「書類仕事は法務部に任せとけってんだ! オラァッ!」
又左と虎のコンビが、雷神の如き速度で宙を舞い、降り注ぐ光剣を次々とプラズマの槍で弾き飛ばしていく。
「ウフフ、いくら株主様とはいえ、現場の社員を舐めすぎですわね」
金柑ことルーギス(ハイエルフ)が銀の杖を振るい、先日買収した『法務・知財部門(旧・特許神アカシャ)』のシステムをフル稼働させる。
「大日本特許防壁、展開! 相手の契約剣を『我が社の特許侵害』として相殺します!」
大日本商会の誇る最凶の役員(武将)たちが、株主の放つ理不尽なシステム攻撃を、現場の気合いと買収したインフラで強引に押し返していく。
『……無駄な足掻きを。お前たちがどれほど抵抗し、どれほどのエネルギーを消費しようとも、その「土台」は我が投資した資本だ』
プロヴィデンスは、円卓の上座から冷ややかに見下ろしたまま、背後の後光を輝かせた。
『我が保有する【創世の株式】は、この大宇宙の権利の【100%】を占めている。お前たちが暴れ、価値を生み出すほどに、私の配当は増していくのだ』
その言葉通り、権六たちが光剣を破壊するたびに、そこから生じた闘争エネルギーがスゥッとプロヴィデンスの光の身体へと吸収され、神の輪郭をさらに巨大で強固なものへと変えていく。
「御館様! マズいです!」
戦略室の佐吉が、魔導盤の激しい警告音の中で叫ぶ。
「奴の言う通り、現在のこの宇宙の『所有権』は、システム上100%奴に帰属しています! 私たちが何をしようと、最終的な利益はすべて株主に吸い上げられてしまいます!」
究極の『第三者割当増資』
「……フン。所有権が100パーセントだと?」
だが、絶望的な報告を聞いても、黄金の玉座の前に立つ信長は、愛用の『魔力火縄銃』を肩に担いだままニヤリと極悪な笑みを浮かべた。
「あの光の野郎が、この宇宙の株を『全部』持ってるから逆らえねェってことだな?」
「はい! システム上、完全な絶対権限です!」
「なら、話は簡単じゃねェか」
信長は、火縄銃の銃口をプロヴィデンスの顔面へと真っ直ぐに向けた。
「あいつの持ってる株の割合を、ゴミみてェな数字にまで【薄めて】やればいいだけだろうが!!」
「え……?」
佐吉が呆然と眼鏡をズレ落とす。
「薄める……? 御館様、まさか……!」
「そ、そういうことでさァ!!」
猿が、恐怖を忘れて強烈なドル袋の目をして飛び上がった。
「相手が100株持ってて、それが全体の100%なら……あっしらが新しく【無量大数株】を勝手に発行しちまえば、相手の持ち株比率は『0.00000001%』のゴミクズになっちまさァ! 究極の【第三者割当増資】ですぜ!!」
『……ナニ?』
プロヴィデンスの無機質な声に、初めて動揺の響きが混じる。
「五郎左! 佐吉!」
信長が怒号を飛ばす。
「アザトスの永久機関を限界突破させろ! 沸騰する渾沌から無限のエネルギーを引き出し、それをすべて『大日本商会の新規発行株式(新・永楽銭)』としてシステムに無理やり叩き込め!」
「おうよォッ! 究極の輪転機、フル回転だぜェ!」
ドワーフの鍛冶長・五郎左が、特大のスパナで次元融合炉のバルブを限界まで叩き割る。
ズゴォォォォォォォォォォォォッ!!!!!
新宇宙の裏側で縛り上げられている究極の永久機関・アザトスから、宇宙そのものを無限に創り出せるほどの規格外の混沌エネルギーが逆流し、大日本商会のシステムを通じて【黄金の新規株式データ】へと猛烈な速度で変換され始めた。
株主権限の崩壊(希薄化)
『エ、エラー……!? なんだこの異常な資本の流入は……! 私が投資したシードマネーを遥かに超える、出所不明の無限の混沌が……ッ!』
プロヴィデンスの背後で回転していた「100%の権限」を示すセキュリティ・トークンが、猛烈な勢いで数値を落とし始める。
90%……50%……10%……0.01%……!!
アザトスの無限出力によって「大日本の総株式数」が天文学的に爆増していく中、プロヴィデンスの持っていた初期投資の価値は、文字通り【極限まで希薄化】されていく。
「相手がルール(株主権限)を盾にするなら、そのルールごと資本の暴力で叩き潰す! それが俺のやり方だ!」
信長の火縄銃が、これまで見たこともないほどの極大の黄金色(資本)と漆黒(覇王色)に染まり上がる。
『バ、バカナ! 私は……大宇宙の原初出資者……! 私の権限が、ただの「現場の暴走」によって奪われるなど……!!』
持ち株比率がゼロに限りなく近づいたことで、プロヴィデンスが放っていた「絶対監査」の圧力や光剣が、システム上の効力を失い、ただの脆弱な光の粒となって霧散していく。
「現場の汗を舐めるなよ、寄生虫。……てめェの持ち株は、もう『議決権(発言権)ゼロ』だ。この株主総会は、俺たち経営陣の完全勝利で閉会だ!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
信長が引き金を引き絞った。
放たれたのは、無限の新規発行株式による希薄化と、魔王の強烈極まるエゴが圧縮された【超・株式希薄化覇王弾】。
極太の黄金の閃光が、権限を失い弱体化したプロヴィデンスの胸部をド真ん中から完全に撃ち抜いた。
『ガ、アァァァァァァァァァッ!? 我ガ、我ガ……創世ノ資本ガァァァッ……!!』
プロヴィデンスを構成していた白金の光の輪郭に、致命的な亀裂が走り、円卓の役員会議室という概念そのものがステンドグラスのように粉々に砕け散った。
偽りの姿の崩壊と、真なる宇宙の意思
「ガハハハハ! やりやがった! ふんぞり返ってた株主野郎を、紙屑(希薄化)にして吹き飛ばしてやったぜェ!」
権六が、砕け散る白金の空間の中で勝鬨を上げる。
「へっへへへ! これで大日本商会は名実ともに、誰の干渉も受けねェ『完全独立企業』でさァ!」
猿が売上メーターを天に突き上げる。
だが。
完全に勝利したかに見えたその時、砕け散ったプロヴィデンスの光の残骸の中から、これまでとは全く異なる、重く、悍ましく、そして【絶対的な神格】を持った波動が膨れ上がり始めた。
「……チィッ。やっぱり、ただの『金持ちのスポンサー』じゃあ終わらねェか」
信長は、硝煙を吹き消しながら、ゆっくりと刀の柄に手をかけた。
『……見事だ、織田信長。……【投資家】としてのルールでは、私の完全な敗北だ』
光の残骸が収縮し、そこから現れたのは、白金の輪郭ではなく、黄金と漆黒が入り混じった「禍々しい真の神の肉体」。
『ならば、理屈も資本も必要ない。……この大宇宙を生み出した【純粋なる創造と破壊の神】として、システム外の力で貴様らを完全に消し去るまでだ』
「御館様! 奴の霊力が、先ほどとは桁違いに跳ね上がっています! 投資家という『制限』を脱ぎ捨て、己の持つすべての力を解放する気です!」
金柑が、顔を青ざめさせて絶叫する。
「フン。最初からそうやって、力ずくで奪いに来りゃあ良かったんだよ」
信長は、極悪な笑みをさらに深め、黄金の玉座を蹴り飛ばして前へと進み出た。
「理屈は終わった。ここから先は、俺とてめェ、どっちの野心がこの大宇宙を支配するに相応しいか……純粋な『殺し合い』だ」
大宇宙の原初たる存在が、理不尽なシステム(株主権限)を捨て、ついに真の神としての絶大な力を解放した。
全100話の完結に向けた最終章の真骨頂。大日本・多元宇宙商会と原初の創造神による、大宇宙の存亡を懸けた「純粋な暴力と覇気の頂上決戦」が、いよいよ幕を開けるのであった。
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