第75話:真・戦国宇宙(カオス・ユニバース)の幕開けと、原初巨神の誕生
第75話:真・戦国宇宙の幕開けと、原初巨神の誕生
大日本・多元宇宙商会・代表取締役たる第六天魔王・織田信長が引き起こした第二のビッグバン――【真・天下布武ビッグバン】。
かつての秩序ある大宇宙も、法則を持たない狂気の泥沼も、超次元企業どもがひしめく摩天楼群も、すべてがドロドロに溶け合い、そして爆発的に膨張した。
爆発の閃光が収まった後に広がっていたのは、黄金と漆黒のエネルギーが嵐のように吹き荒れる、壮麗にして凶暴極まりない「真新しい星海」であった。
「ガハハハハ! 見ろよ! あそこの星、生まれたばかりのくせに隣の星に噛みついて喰い殺そうとしてやがるぜェ!」
オークの猛将・権六が、新たに構築された『真・黄金の天主(大宇宙の玉座)』のバルコニーから身を乗り出し、腹を抱えて笑っている。
「へっへへへ! なんちゅう野蛮な宇宙でさァ! 物理法則より『エゴ(野心)』が優先されるってのは本当みたいですねィ。気合の足りねェ星は、重力ごとひしゃげて消えちまいやす!」
大蔵省長官の猿ことトックス(猿獣人)が、猛烈な速度で変動し続ける「新宇宙のエネルギー相場」をソロバンで弾きながら興奮の汗を流す。
信長が創り出した【真・戦国宇宙】は、計算と秩序で動いていたかつてのシステムとは対極の存在だった。
そこでは、すべてが「闘争」を前提にデザインされている。生命も、星も、概念すらもが、自らを強大な存在へと押し上げるために、他者を喰らい、下剋上を狙い続ける究極のバトルロイヤル空間なのだ。
原初巨神パンゲアの顕現
「……御館様。さっそく、この新宇宙の『第一号のお客サマ』がお見えになったようですわよ」
南の【腐海魔帝ベルゼビュート】が、扇子で星海の彼方を指し示した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!!
大日本の玉座から数億光年離れた空間で、数千の銀河が「渦」を巻き始めた。
そして、その渦の中心から、無数の星々を岩塊のように纏い、全身から超重力のフレアを噴き出す、言語絶する巨大な人型存在が立ち上がった。
『オォォォォォォォォォ……!! 我ハ、新タナル宇宙ノ覇者……!!』
「な、なんだあのデカブツは!? 神様でもバケモノでもねェ、星の集合体じゃねェか!」
市松が大斧を構えて目をひん剥く。
「……信じられません。ビッグバンによって粉砕された『旧宇宙の残滓』が、この宇宙の闘争本能に当てられ、瞬時に自我と肉体を獲得したようです!」
戦略室の佐吉が、魔導盤の異常数値を読み上げながら戦慄する。
「アレは、神すらも超越した純粋なる力の具現……【原初巨神パンゲア】! 奴の放つ『エゴ』の質量は、かつての超次元統括企業を軽く凌駕しています!」
『我ヨリ強大ナル者ハ、コノ星海ニハ不要! 天主ニ座スル傲慢ナル光ヨ、塵ト消エヨ!』
原初巨神パンゲアが、星雲で構成された巨大な右腕を振り上げた。
その拳に圧縮されたのは、数百の銀河を丸ごと押し潰すほどの「超重力崩壊のエネルギー」。それが、大日本の黄金の天主めがけて一直線に叩きつけられる。
新宇宙のルール(社則)
「ガハハハハ! 挨拶代わりのブラックホールか! 上等じゃねェか!」
だが、大日本の社員たちは、その絶望的な質量の前でも微塵も怯むことはなかった。
権六が、超絶・次元晶戦斧を肩に担いで天主から跳躍する。
「オラァッ! 生まれたてのデカブツが、先輩社員にデケェ態度とってんじゃねェ!」
ズバァァァァァァァァンッ!!
権六の放った赤黒い極大の斬撃が、パンゲアの超重力の拳と真っ向から激突する。
かつての宇宙なら、ブラックホールの重力に斧の斬撃など吸い込まれて終わりだった。しかし、ここは『真・戦国宇宙』。
「俺の斧は、星よりも重ェんだよ!」という権六の【強烈なエゴ】が物理法則を凌駕し、パンゲアの重力拳を真っ二つに叩き割ったのだ。
『ナ……!? 我ガ重力ガ、タダノ刃ニ……!?』
パンゲアが驚愕に動きを止めた瞬間。
「オヤジの次は俺だ! 新入生歓迎の電飾を見せてやらァ!」
又左が、超光速次元エンジンを直結させた雷エイに跨り、雷神の如き速度でパンゲアの懐へと潜り込んだ。
「超絶次元・雷神プラズマ千連槍!!」
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
又左と虎のコンビが放つ極大の雷撃とプラズマの嵐が、パンゲアの体を構成する星々を次々と砕き、超新星爆発の連鎖を引き起こす。
「ウフフ、私も先輩として、たっぷりと『可愛がり』をして差し上げませんとね」
金柑ことルーギス(ハイエルフ)が銀の杖を振るい、パンゲアの周囲に無数の『次元反射結界』を展開。そこへ軍師の官兵衛が「絶対腐食の呪い」を流し込み、結界内で増幅させて巨神の肉体を内側からドス黒く染め上げていく。
魔王の初陣と、第一号店(領地)の獲得
『ガ、アァァァァァァァァッ!? コ、コンナ……! 我ハ、コノ宇宙デ最強トシテ生マレタハズ……!!』
大日本の家臣団による理不尽なまでの暴力とバフ・デバフの嵐に、原初巨神は成す術もなく崩れ落ちそうになっていた。
「……フン。最強だと?」
その時。
黄金の玉座から立ち上がった織田信長が、ゆっくりとバルコニーの先端へと歩みを進めた。
その全身からは、パンゲアの超重力すらもチリ芥に思えるほどの、圧倒的で絶対的な『漆黒の覇王色』が立ち昇っている。
「思い上がるなよ、泥人形。てめェがどれだけデカく、どれだけ強い力を持って生まれたとしても」
信長は、愛用の『魔力火縄銃』の銃口を、崩れゆくパンゲアの巨大な顔面へと真っ直ぐに向けた。
「この戦国宇宙を創ったのは、俺だ。……俺が社長である限り、てめェらは全員、俺の『下請け』からスタートするんだよ!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
信長が引き金を引いた。
放たれたのは、アザトスの無限エネルギーと大宇宙のルール(社則)そのものを圧縮した【真・天下布武覇王弾】。
漆黒と黄金の極太の閃光が、原初巨神パンゲアのコアを一直線に撃ち抜き、その巨体を木端微塵に粉砕した。
『ギャ、アァァァァァァァァァァァァッ……!!!』
断末魔と共に、パンゲアを構成していた数千の銀河が弾け飛び、美しい光の帯となって星海に散らばっていく。
「ガハハハハ! 一丁上がりだぜェ! 御館様の景気付けの一発、最高に痺れたぜ!」
権六が、粉砕された巨神の残骸を見上げて勝鬨を上げる。
「へっへへへ! しかも御館様! あの巨神が砕けた跡地に、メチャクチャ純度の高い『超次元鉱脈』が生成されてやすぜ! 第一号のお客サマは、極上の手土産(領地)を置いていってくれたみたいでさァ!」
猿が、新たに誕生した資源星を指さして狂喜乱舞する。
「……フゥ。たかが一つの星の集合体。ウォーミングアップにもならんな」
信長は、銃口の硝煙を吹き消し、どこまでも広がる狂暴な星海を、極上の歓喜を湛えた目で見渡した。
「さあ、全社員(家臣)ども! 大日本商会の『第二の創業祭』はここからだ! この宇宙には、さっきのデカブツのような『覇王候補』がまだごまんと産声を上げているはずだ。片っ端からカチ込んで、その首と領地を全部ぶんどってこい!!」
「「「オオオオオオオオオオオオオッッ!!!」」」
信長の号令に、大日本の全軍勢が、かつてないほどの熱狂と闘争心を爆発させる。
自らの手で創り出した、神すら凌駕するバケモノたちが跋扈する『真・戦国宇宙』。
全100話の完結へ向けて、第六天魔王と大日本商会は、未知なる最強の敵たちを相手にした、大宇宙規模の「究極の領土取りゲーム(陣取り合戦)」へと、その狂気のアクセルをさらに踏み込んでいくのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!




