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異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜  作者: 盆ちゃん


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第53話:機鋼帝国ティタノマキアと、魔王の強制解体(スクラップ)

第53話:機鋼帝国ティタノマキアと、魔王の強制解体スクラップ

 新世界【ネオ・センゴク】に誕生した四大帝国。

 東の狂獣、南の腐海、西の魔氷。そのうち三つの巨大帝国を、物理的破壊ではなく「完全買収ホスタイル・テイクオーバー」によって自らの子会社へと組み込んだ大日本・多元宇宙帝国。

 魔王・織田信長が率いるその軍勢は、今や二百五十万の天魔艦隊にとどまらず、数千万の「狂獣特攻隊」、死を弄ぶ「腐海医療部隊」、そして超演算を担う「魔氷研究開発部」を内包する、オムニバース史上最凶のキメラ軍団へと変貌を遂げていた。

「ガハハハハ! いよいよ最後の一つだぜェ! 北の鉄クズどもを資源回収スクラップして、この大陸を完全統一してやらァ!」

 オークの猛将・権六ゴルグが、超絶・次元晶戦斧を肩に担ぎ、天魔艦隊の甲板で歓喜の咆哮を上げる。

「御館様。北の極地への進軍ルート、ならびに敵拠点の重力場解析、完了いたしました」

 戦略室にて、大日本の文官トップである佐吉イシオンが、かつての魔氷魔帝クリオロスの「超演算脳髄」を直結させた最新型の魔導盤を叩く。

「西の帝国を『研究開発部門』として取り込んだおかげで、情報処理能力がこれまでの数万倍に跳ね上がっています。いかなる概念兵器が来ようと、事前にハッキングと対策が可能です」

「フフ。他人の頭脳アセットで自軍を強化する。まさに買収の醍醐味ですね」

 金柑ことルーギス(ハイエルフ)が優雅に微笑む。

「上等だ」

 黄金の天主のバルコニーで、信長は葉巻の煙を北の空へと吹き吐いた。

「全軍、最大戦速! 北の『機鋼帝国ティタノマキア』を跡形もなく解体し、大日本の新しい【重工業プラント】に改装してやれ!」

「「「オオオオオオオオオオオオオッッ!!!」」」

 数億の野心と狂気が渦巻く魔王軍が、最後の極地へと雪崩れ込んだ。

北の極地:機鋼帝国ティタノマキア

 北の極地。そこは大地そのものが鋼鉄の岩盤で覆われ、空に向かって逆立つ無数の断層が常軌を逸した「超重力」を生み出している異常空間であった。

 その中心にそびえ立つのは、城というよりも一つの巨大な「機械惑星」のような要塞。歯車とパイプが脈打ち、無数の砲門が空を睨む【機鋼帝国ティタノマキア】の中枢である。

 要塞の最深部にて、無数のケーブルに繋がれた巨大な鋼鉄の神――【機鋼魔帝きこうまでいデウス・エクス】が、無機質な機械音声を発した。

『――観測完了。魔王軍、当帝国ノ絶対重力圏アブソリュート・グラビティニ侵入。……愚カナ肉ノ塊ドモメ』

 デウス・エクスは、かつて北陸方面軍が粉砕した『重剛王タイタン』の残骸と、信長がバラ撒いた新・永楽銭のデータが融合して生まれた、完全無欠の機械生命体であった。

『東、南、西ノ帝国ハ、所詮「感情」ト「生体」ニ縛ラレタ欠陥品ダッタ。ダガ我ガ機鋼帝国ハ違ウ。我々ハ純粋ナ「論理」ト「質量」ノミデ動ク。……重力炉、出力一〇〇万倍。侵入者ヲ、原子ノ塵マデ圧シ潰セ』

超重力圏の突破と、ドワーフの狂気

 ズズズズズズズズズッ!!!!!

 魔王軍が北の極地に足を踏み入れた瞬間、空間そのものが「下」へと猛烈に引っ張られた。

 通常の十万倍にも及ぶ超重力。天魔艦隊のシールドが悲鳴を上げ、狂獣特攻隊ですら膝をつきそうになるほどの圧倒的な質量の暴力。

「ヒィィッ! 体が、体がペチャンコになりやすぜェ!」

 トックスが甲板に這いつくばりながら悲鳴を上げる。

『――無駄ダ。有機生命体ノ筋力デハ、コノ重力ハ絶対ニ突破デキン。ソノママ地面ノシミトナレ』

 デウス・エクスの冷酷な宣告が通信機から響く。

 だが。

「ガハハハハハ! 笑わせるな鉄クズがァ!」

 超重力の中で、ただ一人。

 大日本のドワーフ鍛冶長・五郎左ダンだけが、重力をものともせずに仁王立ちし、むしろ狂喜に満ちた目で北の機械要塞を睨みつけていた。

「機械! 歯車! 極大の重力炉! たまんねェ! あんな極上のお宝(資材)の山を見せられちゃあ、重力なんざ気にしてられねェんだよ!」

 五郎左は、自身の愛用する特大スパナを振り回し、戦略室の佐吉に向けて怒号を飛ばした。

「佐吉! 魔氷部門の超演算を俺のシステムに直結しろ! 重力の波長を逆位相で相殺する【反重力・永楽銭フィールド】を展開する!」

「すでに同期済みです、五郎左殿。思う存分、技術者のエゴを見せつけてやってください」

 ガガガガガガッ!!

 天魔艦隊の全砲門から、特殊な振動を持った『新・永楽銭』が周囲の空間に散布される。

 西の超演算と、大日本の資金力、そしてドワーフの神業的な工学技術の融合。散布された永楽銭が重力波を完全にキャンセルし、魔王軍を縛り付けていた超重力が一瞬にして「ゼロ」になった。

「重力が消えたぜェ!」

「ヒャッハー! 体が羽みたいに軽ェ! 行くぞオラァッ!」

 キール又左マティアスが、魔獣騎馬のブースターを全開にして、機械要塞へと弾丸のように突撃していく。

『ナ、何ィ……!? 我ガ絶対重力ヲ、瞬時ニ解析シ、相殺シタダト……!?』

「遅ェよデカブツ! 俺の槍は重力より速ェ!」

 又左の超光速タキオンの雷撃が、要塞の砲門を次々と串刺しにして爆破する。

「機械なら、ぶっ壊してバラバラにするのが一番だァ!」

 権六の次元晶戦斧が、要塞の分厚い鋼鉄の装甲を紙切れのように切り裂き、大穴を開ける。

 そこへ、解き放たれた数千万の狂獣特攻隊が、凄まじい地鳴りと共に雪崩れ込み、機械兵士たちを素手で引き裂き、噛み砕き始めた。

魔王 VS 機鋼魔帝の『概念崩壊』

『――許サン。有機生命体ノ分際デ、我ガ完璧ナ論理システムヲ荒ラスナァッ!』

 要塞の中枢から、機鋼魔帝デウス・エクスが自らの巨大な鋼鉄の巨体を現した。

 その胸部には、光すらも逃れられない真っ黒な球体――『極小ブラックホール炉』が搭載されていた。

『魔王・オダノブナガ! 貴様ノ野心モロトモ、事象ノ地平ノ彼方ヘ消エサレ! 【事象崩壊・特異点砲ブラックホール・ブラスター】!!』

 デウス・エクスの胸部から、空間そのものを抉り取る漆黒の破壊光線が放たれた。

 着弾すれば、天魔艦隊はおろか、北の極地そのものが消滅するほどの概念兵器。

「御館様ッ!」

 蘭丸が信長の盾となろうと前に出る。

「退いておれ、蘭丸。ブラックホールだの特異点だの、小難しい理屈を並べ立てる奴のドタマは、俺が直接カチ割ってやらねば気が済まん」

 織田信長は、漆黒のマントを大きく広げ、前進した。

 手には、赤熱する『魔力火縄銃』ではなく、愛刀『宗三左文字』。

「すべてを呑み込む穴だと言うなら、俺の『業火』も呑み込んでみせろ」

 信長から、全大宇宙オムニバースを震わせるほどの極大の覇王色エゴが噴出する。

 第六天魔王・絶対領域ドメイン――【真・本能寺】。

 ドゴアァァァァァァァァァッ!!!!!

 信長の展開した本能寺の炎の領域が、迫り来るブラックホールの破壊光線と真っ向から激突した。

 物理的にはブラックホールがすべてを吸い込むはずだが、信長の放つ「俺の野心は絶対に消えない」という強烈すぎる【ルール】が、ブラックホールの引力を強引に押し返し、逆に炎で包み込み始めたのだ。

『バ、バカナ……! 特異点ノ引力ガ、タダノ「炎」ニ燃ヤサレテイル……!? 計算不能! 論理崩壊!』

 デウス・エクスが、理解を超越した現象にエラー音を鳴らし続ける。

「計算で俺を量れると思うな、鉄クズ」

 信長は、ブラックホールを燃やし尽くした勢いのまま、神速の「縮地」でデウス・エクスの目前へと跳躍した。

「すべてを統べるのは、論理ではない。俺の野心だ」

 ズバァァァァァァァァァァァンッ!!!!!

 信長の『宗三左文字』が一閃。

 大宇宙の全素材で鍛え上げられた魔王の刃は、デウス・エクスの絶対鋼鉄のボディを、ブラックホール炉ごと真っ二つに両断した。

『ア……ガ……。我ガ、論理ガ……魔王ノ、熱量ニ…………敗北……』

 機鋼魔帝デウス・エクスは、機能停止のノイズを漏らしながら、轟音と共に大地へと崩れ落ちた。

大陸統一と、新たなる『バグ』の予兆

「ガハハハハ! 終わったぜェ! これで四大帝国、全部制覇だァ!」

 権六が、崩れ落ちた機械の巨体を踏みつけながら勝鬨を上げる。

「五郎左! 鉄クズの処理は任せるぞ」

 信長が刀を納めながら振り返ると、五郎左はすでにヨダレを垂らしてデウス・エクスの残骸に群がり始めていた。

「おうよォ、御館様! このブラックホール炉、ちょっとイジれば大日本の『無限ゴミ処理機』兼『新エネルギー源』になりまさァ! 北の帝国丸ごと、大日本の【重工業・兵器開発プラント】として完全買収完了だぜェ!」

 東の狂獣。南の腐海。西の魔氷。そして北の機鋼。

 新世界【ネオ・センゴク】に君臨していた四大帝国は、ここにすべて大日本・多元宇宙帝国の手に落ち、その軍門に下った。

「……御館様。おめでとうございます。これでこの新世界も、完全に御館様の『天下』となりました」

 蘭丸が、感無量の面持ちで平伏する。

 武将たちも、文官たちも、そして買収された旧四大帝国の兵士たちも、すべてが魔王・織田信長に向けて絶対の忠誠を誓い、頭を垂れた。

 だが。

 すべての極地を制覇し、無限の平面宇宙を完全に統一したはずの信長は、ふと、空を見上げた。

「……佐吉。オムニバースのシステムには、『完全な統一』を果たした後に、必ず起こる現象があったな」

 その言葉に、佐吉の魔導盤が突如として警告音を鳴らし始めた。

「……ッ! 御館様! 新世界の全土から集約された莫大な闘気と、我々が持ち込んだオムニバースのエネルギーが、大陸の【上空】……次元の壁そのものに集積し始めています!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!!

 ネオ・センゴクの空が、真っ二つに割れた。

 そこから覗いたのは、神でも悪魔でもない。この新世界を「ゲーム盤」として観測していた、さらに上位の次元からの【巨大な眼球】であった。

「フハ、フハハハハハ!」

 信長は、その眼球を見上げて、かつてないほど狂暴に笑い出した。

「やはりな! 世界を一つにまとめ上げれば、この箱庭を管理している『さらに上の連中デバッガー』が顔を出すと思っていたぞ!」

 天下統一は、ただの通過点に過ぎない。

 大日本の戦力すべてを子会社化し、究極のキメラ軍団を完成させた魔王・織田信長の矛先は、いよいよこの新世界を包む「次元の殻」そのものへと向けられる。

 全100話へ向けて、戦いのスケールはついに『箱庭の破壊』へと突入していくのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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