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異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜  作者: 盆ちゃん


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第50話:東征・狂獣帝国ヴァルハラと、アップデートの蹂躙

第50話:東征・狂獣帝国ヴァルハラと、アップデートの蹂躙

 新世界【ネオ・センゴク】の中心、大日本・多元宇宙帝国の本拠地たる『真・安土城』。

 黄金の天主のバルコニーにて、織田信長は漆黒のマントを揺らしながら、新世界の東西南北に渦巻く四つの巨大な闘気――四大帝国のオーラを見渡していた。

「さて。四つの国が建ったのはいいが、どこから潰してやろうか」

 信長は、愛用の『魔力火縄銃』を肩に担ぎ、楽しそうに笑う。

「御館様。戦略的な観点から申し上げますと、北の『機鋼帝国ティタノマキア』は超重力と概念兵器を擁しており、最も厄介です。まずは南の『腐海帝国』から……」

 文官トップの佐吉イシオンが魔導盤を叩きながら進言するが、信長はそれを手で制した。

「理屈はいい、佐吉。俺たちは大宇宙を制覇した魔王軍だ。効率などというみみっちい考えは捨てろ」

 信長は、手の中の『新・永楽銭』を指でピンと天高く弾き飛ばした。

 チャリン、と音を立てて落ちてきた硬貨の裏表を、信長は手の甲で隠す。

「表が出たら東。裏なら西。……表だ」

 信長が手を退けると、そこには黄金に輝く永楽銭の表が上を向いていた。

「決まりだ! 最初の標的は東! 暴力とマグマの国『狂獣帝国・ヴァルハラ』だ!」

 信長のあまりにも適当すぎる決定に、武功派の猛将たちは歓喜の声を上げた。

「ガハハハハ! 東か! あそこは一番血の気が多そうな連中が集まってるからな! 肩慣らしには最高だぜェ!」

 オークの権六ゴルグが、超絶・次元晶コアを組み込まれ、禍々しい赤黒いオーラを放つ特大戦斧を振り回す。

「オヤジ、抜け駆けすんじゃねェぞ! 俺の新しい槍の試し斬りだ!」

 キールも、プラズマ・ブースターを増設された宇宙亀の背で十文字槍を構える。

「よし! 全軍、東へ向けて出陣だ! 俺たちの『新兵器アップデート』の威力を、獣どもに存分に味わわせてやれ!」

 信長の号令と共に、真・安土城から二百五十万隻の『超光速タキオン仕様・天魔艦隊』と、数万の魔獣騎馬隊が、爆発的な推進力で東の荒野へと飛び出していった。

狂獣帝国ヴァルハラと、獣の魔帝

 一方、新世界の東の極地。

 大陸の地殻が剥き出しになり、空まで届くほどの巨大な火山の群れが連なる灼熱の大地。その中心の最も巨大なカルデラに築かれたのが、【狂獣帝国・ヴァルハラ】の帝都であった。

 彼らの城は、かつて関東方面軍が屠った『炎帝イグニス』の残骸と、超巨大魔獣の骨、そしてマグマを固めて造られた野蛮で巨大な要塞である。

 その巨大な骨の玉座に座すのは、身長三十メートルを超える筋骨隆々の獣巨人。

 全身を燃え盛るような赤毛で覆い、頭部には三本の巨大な角を生やした、ヴァルハラの絶対君主――【狂獣魔帝きょうじゅうまでいバロン】であった。

『――グォォォォ……! 魔王ノ軍勢ガ、我ラガ領土ニ向カッテキテイルダト……?』

 バロンが低い唸り声を上げると、それだけで玉座の周囲のマグマが激しく沸騰する。

 彼もまた、信長がバラ撒いた『新・永楽銭』のエネルギーを極限まで取り込み、単なる獣から「帝国を統べる知性と圧倒的な概念闘気」を獲得した存在であった。

『魔王メ……。我ラニ力ヲ与エタコト、後悔サセテクレヨウ。我ガ狂獣軍団ノ「絶対筋力」ハ、星ノ概念スラモ粉砕スル!』

 バロンの咆哮に応え、カルデラを埋め尽くす数千万の獣人や狂獣たちが、地鳴りのような鬨の声を上げる。

 彼らは全員が、かつての群雄クラスの力を持つ、進化の極致にある戦闘集団であった。

『迎エ撃テ! 魔王ノ軍勢ヲ一人残ラズ喰ライ尽クシ、アノ漆黒ノ城ヲ我ガ物トセヨ!』

アップデートの蹂躙:魔王軍の凶悪な力

 東の荒野の中間地点。

 地平線を真っ赤に染め上げる狂獣帝国ヴァルハラの数千万の軍勢と、黄金と漆黒の光を放つ大日本・多元宇宙帝国の二百五十万の天魔艦隊が激突した。

「ヒャッハー! 来た来た来たァ! 獣の臭いがプンプンしやがるぜェ!」

 市松フリントが大斧を構えて先陣を切る。

『オオオオオオオッッ!! 魔王ノ犬ドモ、粉々ニシテヤル!』

 ヴァルハラの先鋒、体長五十メートルのマグマを纏った巨大なサイの群れが、大地を揺らして突進してくる。その角には、物理法則をねじ曲げるほどの闘気が圧縮されていた。

「佐吉! 新しいシールドのテストでさぁ!」

 戦略室のトックスが魔導盤を叩く。

「承知。全艦隊、前面に『概念超合金コーティング・シールド』を展開」

 佐吉の冷徹な声と共に、天魔艦隊の前面に半透明の黒い防壁が出現する。

 ドッゴォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

 巨大サイの群れの全力の突進がシールドに激突する。

 ……しかし、天魔艦隊は一ミリたりとも揺らがなかった。それどころか、激突した巨大サイたちの角が、信じられないことに「飴細工のように」グシャグシャにひしゃげ、自らの突進の反動で全身の骨が砕け散ってしまったのだ。

『な、何ィィッ!? 我らが最強の突進が、傷一つ付けられないだと!?』

 狂獣軍団の指揮官が驚愕の声を上げる。

「フフ。驚くことではありません。あのシールドには『絶対に貫通されない』という概念が焼き付けられています。物理的な質量でぶつかれば、自らが壊れるだけですよ」

 金柑ルーギスが、優雅に微笑みながら銀の杖を振るう。

「ガハハハハ! 防御のテストは終わりだ! 次は俺たちの番だぜェ!」

 権六が、巨大竜ヒドラの背から跳躍した。

「五郎左が鍛え直してくれたこの新しい斧! 喰らってみやがれ!」

 権六が、赤黒いオーラを放つ『超絶・次元晶戦斧』を、狂獣の密集陣形に向けてフルスイングする。

 ズバァァァァァァァァァァンッ!!!!!

 斧から放たれた斬撃は、単なる闘気の波ではなかった。

 それは「空間の重力場そのものを切断し、圧縮する」という、理不尽極まる概念斬撃。権六の斧が振るわれた軌道上の空間がグニャリと歪み、数万の狂獣たちが悲鳴を上げる間もなく「一点」に圧縮され、ブラックホールのように消滅してしまった。

「オヤジ、大雑把すぎるぜ! 俺の槍を見な!」

 又左マティアスの雷エイが、超光速タキオンの雷光となって戦場を駆け抜ける。

 彼の新しい長槍は、空間を「スキップ」する能力を与えられていた。又左が一度槍を突くと、その切っ先は次元を飛び越え、数キロ先の敵の心臓を同時に数百カ所貫くという、回避不可能な神速の刺突を連発する。

『バ、バカナ……! コイツラ、数日前ヨリモ更ニ次元ガ違ウ……ッ!』

 無銘の遺産を喰らい、極限進化を遂げたはずの狂獣帝国ヴァルハラの軍勢が、大日本の「利益回収による限界突破のアップデート」の前に、ただの虫ケラのように蹂躙されていく。

狂獣魔帝バロンの出陣

「弱い、弱い、弱すぎるぞ! お前らの進化はそんなもんか!」

 信長は、天魔艦隊の旗艦のバルコニーで、呆れたように葉巻の煙を吐き出した。

「せっかく俺の資産(永楽銭)を投資してやったというのに、これでは利子が少なすぎる。……おい、獣の親玉! いつまで奥に引っ込んでいるつもりだ!」

 信長の声に『覇王色エゴ』が乗り、戦場全体を震わせる。

『――黙レェェェェェェェェッ!!!』

 ゴオォォォォォォォォォォォォォッ!!!

 東の地平線の彼方から、信長の覇気に匹敵するほどの、狂暴で極大の赤熱した闘気が爆発的に立ち昇った。

 大地が割れ、マグマが天高く噴き出す中、身長三十メートルの狂獣魔帝バロンが、自ら戦場へと姿を現したのだ。

『魔王・オダノブナガァッ! 我ガ軍勢ヲ塵芥ちりあくたノヨウニ……! 許サン、絶対ニ許サンゾ!』

 バロンの三本の角から、星の地殻すらも融解させる超高密度のエネルギーが放射され、周囲の空間が赤く歪む。

「……ほう。ようやく親玉のお出ましというわけか」

 信長は、バルコニーの縁に足をかけ、不敵で、かつ最高に楽しそうな笑みを浮かべた。

「蘭丸」

「御意ッ!」

 信長の傍らで、新たな次元晶で鍛え直された愛刀『天叢雲』を抜いた森蘭丸が進み出る。

「前菜は終わりだ。武将ども、手出しは無用だぞ。あのデカブツは、俺と蘭丸で直接料理してやる!」

 信長は、魔力火縄銃を構え、全身から漆黒の覇王色を立ち昇らせた。

 大宇宙の魔王と、新世界の魔帝。

 極限までアップデートされた大日本の力と、世界のバグを喰らって進化した帝国の真の力が激突する、東の極地での頂上決戦。

 無限の戦乱を求める織田信長の狂宴は、全100話の折り返し地点において、さらなる常軌を逸したスケールへと突入していくのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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