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異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜  作者: 盆ちゃん


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第35話:創造主の本拠地(セントラル・ハブ)と、因果律(ルビ:リライト)の破壊

第35話:創造主の本拠地セントラル・ハブと、因果律(ルビ:リライト)の破壊

 神の管理領域マネジメント・フロアに構築された多次元・帝都アヅチ。

 その最深部にある戦略室にて、猿ことトックス(猿獣人)が抽出した【本社】の次元座標が、佐吉ことイシオン(ハーフエルフ)の魔導盤に完全にロックオンされた。

「……次元座標の逆探知、完了。目標、【セントラル・ハブ】。すべての実験宇宙(水槽)を束ねる、真の創造主たちの玉座です」

 佐吉の指が、魔導盤の最終キー(エンター)の上に置かれる。

「ガハハ! いよいよ神様どもの本丸にカチコミか! 武者震いが止まらねェぜ!」

 権六ゴルグが巨大な戦斧を振り回し、又左マティアスキールたち武功派の面々も、それぞれの「魔獣騎馬」に跨りながら歓喜の咆哮を上げた。

 黄金の天主のバルコニーに立つ織田信長は、漆黒のマントを翻し、鋭い眼光で頭上のクリスタルの天井――次元の壁を睨み据えた。

「五郎左! 大筒の調子はどうだ!」

「おうよォ、御館様! カオス・エネルギーも次元晶も、限界突破オーバーロード寸前まで詰め込んであるぜ! 神のオツムだろうが何だろうが、木っ端微塵にブチ抜いてやらァ!」

「よし! 全艦隊、全騎馬隊、俺に続け!」

 信長は、軍配を天高く掲げた。

「これより大日本・多元宇宙帝国は、この理不尽な世界の『親会社セントラル・ハブ』に対し、武力と永楽銭による【絶対的敵対的買収ホスタイル・テイクオーバー】を敢行する!!」

「「「オオオオオオオオオオオオオッッ!!!」」」

 ズドガァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!

 多次元・帝都アヅチの先端から放たれた極大の『真・次元穿孔砲』が、次元の天井を文字通り粉々に叩き割った。

 ガラスが砕けるような音と共に、一千万隻の天魔艦隊と数万の魔獣騎馬隊が、開かれた特大の次元の亀裂の中へと雪崩を打って突入していく。

     * * *

真の玉座と、概念の海

 次元の壁を突破し、信長たちが到達した空間。

 そこは、これまで彼らが蹂躙してきたどの宇宙とも、どの管理領域とも異なる、人間の理解を超絶した【概念の海】であった。

 物理的な「床」や「空」は存在しない。

 彼らの眼下には、銀河や宇宙がまるで『ビー玉』のように無数に転がる巨大な【盤面】があり、頭上には、過去・現在・未来のすべての事象が光の川となって流れる【時間の滝】が渦巻いていた。

「……なんという光景でしょう。宇宙そのものが、ただの卓上の遊戯盤のようです。美しさを通り越して、傲慢さが透けて見えますね」

 金柑ことルーギス(ハイエルフ)が、美しき顔に冷ややかな嫌悪を浮かべる。

「クックッ……。まさに『神々の執務室』。我々が命を懸けてきた歴史も、彼らから見ればただのデータログに過ぎないというわけですか」

 劇薬の軍師・官兵衛クロードが、杖を突きながら周囲の特異な空間を鋭く観察する。

『――【致命的論理崩壊】。下位次元からの物理的侵入を検知。これより、執行委員会による【歴史の修正リライト】を開始する』

 空間全体を震わせる、感情の一切ない声。

 次の瞬間、時間の滝の中から、三体の巨大な影が滑り出てきた。

 それは、実体を持たない「光の糸」で構成された、巨大な三人の女神の姿をした存在。創造主(観測者)に仕え、多元宇宙すべての因果律を管理する【運命の紡ぎモイライ・システム】であった。

『――特異点・オダノブナガ。貴様の存在は、我々のシナリオに存在しないエラーである。よって、貴様の【起源】そのものを書き換える』

 三体の女神が、手にした「光の糸(因果律)」を弾いた。

 その瞬間、レーザーもミサイルも飛んでこないにもかかわらず、大日本軍の全軍に、かつてない異常事態が発生した。

「な、なんだァ!? 俺の腕が……透けてやがる!?」

 市松フリントが、自分の持っていた大斧ごと、半透明になり始めていることに気づき叫んだ。

「あっしの永楽銭の帳簿が! 文字が消えて白紙になっていきやすぜ!?」

 猿が悲鳴を上げる。

「御館様! 敵の攻撃は物理でも魔法でもありません! 【過去改変】です!」

 佐吉が、バチバチと火花を散らす魔導盤を叩きながら絶叫する。

「奴らは、御館様が『本能寺の変から異世界へ転生した』という事実そのものを、歴史のログから消去リライトしようとしています! 転生が【無かったこと】になれば、我々大日本が建国された歴史も、すべて消滅します!」

 イセカイ転生という前提そのものの破壊。

 それは、神々だけが許される、究極にして最低の反則技チートであった。

「……ほう」

 信長の身体もまた、足元からチカチカと光の粒子となって消えかかっていた。

 だが、信長は全く慌てることなく、己の消えゆく手を見つめ、そして、腹の底から響くような声で笑い出した。

「フハ、フハハハハハハハハハ!!!」

 その笑い声には、絶望など微塵もなかった。

 あるのは、この期に及んで盤面をひっくり返そうとする「矮小な神々」に対する、絶対的な【怒り】と【傲慢】であった。

「歴史を書き換えるだと? 俺が本能寺で死んで、ただの灰になったことにするだと? ……ふざけるな」

 信長が、足を踏み鳴らした。

 ドンッ!!!という音と共に、消えかかっていた信長の身体から、宇宙の法則すらもねじ伏せる極大の『覇王色エゴ』が、漆黒の炎となって爆発的に噴出した。

「俺の人生シナリオを、お前らのような三流の物書き(神)に編集リライトされてたまるか!!」

 信長の放つ強烈なエゴが、概念の空間に物理的な「重力」を発生させ、消えかかっていた武功派たちの身体や、猿の帳簿の文字を、強引に元の三次元へと固定セーブし始めた。

「俺は本能寺で焼け死んだのではない! あの紅蓮の炎こそが、俺という第六天魔王を、次元を超越した存在へと鍛え上げた『産湯』だ!」

 信長の背後に、彼が乗り越えてきた【本能寺の炎】が、幻影ではなく「次元を焦がす物理的な業火」となって顕現した。

『――エ、エラー!? 過去改変プロトコル、対象ノ【強烈スギル自我】ニヨリ、上書キ不能!』

 運命の紡ぎ手たちが、初めて狼狽の声を上げた。

 神が歴史を消そうとしても、信長の「俺はここにいる」という絶対的な意志の重さが、因果律の糸を強引に引きちぎってしまったのだ。

「フフ……! 過去をいじるなどという陰湿な手段、御館様の熱量の前では水鉄砲にも等しいですね!」

 金柑が、狂気的なまでの忠誠心に目を輝かせる。

「今だ! 佐吉、半兵衛! 官兵衛!」

 信長が軍師たちに視線を送る。

「承知! カオス・エネルギーのノイズを敵の『因果の糸』に逆流させます! これで奴らの過去改変プログラムは完全にフリーズします!」

 佐吉の演算と、二人の軍師の魔術が融合し、極彩色のノイズが三体の女神の光の糸へと絡みついた。

『――システム停止。歴史ノ再構築、失敗……』

「武将ども! 過去に逃げ込もうとした姑息な神様に、未来永劫消えない『現在いまの痛み』を教えてやれ!」

 信長の号令が、概念の海に轟いた。

「「「オオオオオオオオオオオッッ!!!」」」

 消滅の危機から完全に実体を取り戻した武功派の猛将たちが、怒髪天を衝く勢いで魔獣騎馬を駆り、三体の女神へと襲い掛かった。

「テメェらの都合で、俺たちの御館様の歴史をイジってんじゃねェェェッ!」

 権六の巨大竜ヒドラが、運命の女神の一体の腹部に猛毒のブレスを浴びせ、その隙に権六が次元晶の戦斧で光の身体を真っ二つにカチ割る。

「俺たちの生きた証を、デリートだのリライトだの、安い言葉で片付けんな!」

 又左が雷エイの神速を活かし、女神の握る『因果の糸』を物理的に槍で千切り飛ばす。

「蘭丸!」

「はッ!!」

 信長の影から、絶対の剣・森蘭丸が跳躍した。

 彼の目には、主君の歴史(本能寺)を侮辱されたことに対する、冷酷で静かな、しかし確かな激怒が宿っていた。

「私の命は、本能寺の炎の中で御館様に捧げたもの! それを無かったことにしようとする貴様らの存在こそ、この宇宙最大の罪である!」

 蘭丸の愛刀『天叢雲』が、次元晶の輝きを極限まで高める。

 奥義――『次元断ち・覇王絶空断』。

 神速の斬撃が十字を描き、運命の紡ぎ手たちの首を、因果律の糸ごと完全に切断した。

『――ア…………我々ノ、シナリオ、ガ…………』

 三体の女神は、過去を書き換えることもできず、大日本の圧倒的な『現在(暴力)』の前に粉砕され、光の塵となって空間に消え去った。

     * * *

「フン。三流のシナリオライターどもめ。歴史は編集するものではない。己の足と血で創り上げるものだ」

 信長は、魔力火縄銃を肩に担ぎ直し、目前に広がる広大な【セントラル・ハブ】の中心部――宇宙の卓上盤のさらに奥に鎮座する、真の創造主たちが座す『最高役員会議室ボード・オブ・ディレクターズ』の巨大な扉を睨み据えた。

「へっへへへ……! 御館様! これでついに、神様の【社長室】の目の前ですぜ!」

 猿が、興奮で尻尾を震わせながら進み出る。

「ああ。監査官も、運命の女神とやらも潰した。残るは、このふざけた世界マルチバースの理不尽なルールを定めた張本人たちだけだ」

 信長は、マントを翻し、一千万の艦隊と武将たちに向かって不敵に笑いかけた。

「さあ、乗り込むぞお前ら! 宇宙の『親会社』の役員どもを全員引きずり下ろし、大日本・多元宇宙商会の【完全子会社】にしてやる!」

 神々が定めた「転生のルール」すらも己のエゴでへし折り、ついにすべての宇宙の創造主トップへと王手をかけた第六天魔王。

 限界突破を続ける大日本帝国の究極の侵略劇は、次なる真の最終決戦へと向けて、狂気のアクセルを踏み抜くのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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