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異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜  作者: 盆ちゃん


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第33話:神の玉座の強制買収と、絶対管理者(オメガ)の崩壊

第33話:神の玉座の強制買収と、絶対管理者オメガの崩壊

 神々の管理領域マネジメント・フロア

 純白と黄金のクリスタルで構成された絶対空間の上空で、時間を停止させるほどの重圧を放つ絶対管理者『オメガ』に対し、森蘭丸の一撃が神速の流星となって肉薄した。

「御館様の御前に、何人たりとも玉座でふんぞり返ることは許さぬッ!」

 蘭丸の愛刀『天叢雲あめのむらくも』に込められたのは、極限まで圧縮された次元晶ディメンション・クォーツの輝きと、主君・織田信長への狂気的なまでの忠誠心エゴ

『――エラー。特異点個体による物理的接近。削除デリートコマンド、実行……ッ!?』

 オメガが指先を向け、蘭丸の存在をコードごと消し去ろうとする。

 しかし、そのコマンドは発動しなかった。

「フフ……無駄ですよ。現在、あなたの『削除権限』の半分は、我が大日本商会が差し押さえています!」

 後方の魔導盤で、佐吉ことイシオン(ハーフエルフ)が冷徹に笑い、猿ことトックス(猿獣人)が「神様の口座、絶賛凍結中でさぁ!」とゲラゲラ笑いながらウイルスを打ち込み続けている。

「奥義・次元断ち――『白銀・覇王十字星』!!」

 ズバァァァァァァァァァァンッ!!!

 システムによる防御を無効化されたオメガの巨大な光の胸元に、蘭丸の神速の十字斬りが深く刻み込まれた。

『ガ、アァァァァァァァッ!?』

 絶対的な静寂に包まれていた管理領域に、初めて「神の悲鳴」が響き渡った。

 斬り裂かれたオメガの胸の傷口からは、赤い血ではなく、黄金色の「ソースコード」と高次元エネルギーが滝のように噴き出している。

『バ、バカナ……! 高位存在デアル私ガ、水槽ノ中ノ下等生物ノ物理的接触デ、傷ヲ負ウダト!? システムノ書き換えデハナク、純粋ナ暴力デ!?』

 オメガはよろめきながら、信じられないものを見るように己の傷口を見下ろした。

「驚くことか。てめェらがキーボードをポチポチ叩いている間、俺たちは泥水と血をすすって戦い続けてきたんだ。暴力の年季が違うんだよ!」

 キールが、下から嘲笑の声を上げる。

『おのれ……おのれェェェッ! バグ共メ! システム・コマンドガ通ジヌトイウノナラ、純粋ナ宇宙ノ物理的エネルギーデ、貴様ラヲ原子ノ塵ニ還元シテクレヨウ!』

 オメガの姿が激しく明滅し、その背後に、数千の「超新星爆発スーパーノヴァ」に匹敵する極大のエネルギー球体が無数に出現した。

 システム管理者としての冷静さを失い、ただの力任せの破壊神へと成り下がった証拠であった。

「チィッ! あのデカブツ、ヤケクソになりやがった! 次元晶のシールドでも、あんな数の超新星をモロに食らったらアヅチ・ノヴァごと蒸発しちまうぞ!」

 ドワーフの五郎左ダンが叫ぶ。

「……フン。やはり、所詮は与えられた権限で威張っていただけの『システム管理者サラリーマン』か」

 しかし、織田信長は、焦るどころか呆れたように鼻を鳴らした。

「窮地に陥って力任せに暴れるだけの神など、先ほど飼い慣らした野生のベヒーモス以下だ。……黒王」

『――グルルルォォォォォォォォッ!!』

 信長の足元で、数千キロの巨体を誇る星喰らいの獣王『黒王』が、主の意志に応えて咆哮を上げた。

 黒王の巨大なあぎとが開き、周囲の空間――オメガが展開した超新星のエネルギーごと、掃除機のように強引に吸い込み始めたのだ。

『ナ、何ッ!? 第802実験宇宙ノ環境維持装置ベヒーモスマデモガ、私ニ逆ラッテイルダト!?』

「当然だ。こいつの首輪は、俺が新しい『永楽銭』で買い取ったのだからな」

 信長は、黄金の天主から黒王の頭頂部へと跳躍し、愛用の『魔力火縄銃』を構えた。

「武将ども! 道をこじ開けろ!」

「「「オオオオオオオオッッ!!」」」

 信長の号令に、大日本・多元宇宙騎馬隊が呼応する。

 権六ゴルグの宇宙竜が猛毒の息でオメガの光の盾を溶かし、又左マティアスの雷エイが神の腕の関節に電撃を叩き込み、平八郎ドラクの重力ハンマーが空間の足場を粉砕してオメガの体勢を崩す。

『ガ、アァァッ! 下等生物ドモガ、群レテ私ニ……ッ!』

「今だ! 佐吉、猿!」

「ハッ! 敵メインサーバーのファイアウォール、全層破壊完了!」

「へっへへ! これより、大日本商会による『管理領域・強制買収プログラム』をインストールしやす!」

 佐吉と猿が、オメガの防壁が物理的に剥がれた瞬間に、魔導盤から究極のハッキング・コードを流し込んだ。

 管理領域の純白のクリスタル床が、一瞬にして大日本の象徴である「漆黒と黄金」の市松模様へと書き換えられていく。

『シ、システム・エラー!? 私ノ、私ノ管理権限ガ、奪ワレテ……!』

「チェックメイトだ、哀れな傍観者よ」

 信長は、黒王の頭上で火縄銃の銃口をオメガの眉間――黄金のコアへとピタリと合わせた。

 銃身には、アヅチ・ノヴァの主機関から供給される「混沌(悪魔)」の魔力と、「重工業(機械)」の演算コード、そして信長自身の「覇王色エゴ」が極限まで圧縮されている。

「神の玉座は、俺が有効活用してやる。貴様はリストラだ」

 ズドォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

 信長の引き金が引かれた瞬間、火縄銃から放たれた漆黒の銃弾――『真・次元覇王弾』が、オメガの巨大な頭部を完全に撃ち抜いた。

『ア…………我ハ、絶対、管理…………』

 黄金のコアを破壊されたオメガは、断末魔を上げる間もなく、全身にヒビが入り……最後はガラスの破片のように砕け散り、光の塵となって空間に溶けていった。

 数万の宇宙を管理していた絶対の神が、一人の人間の「野心」の前に完全に消滅したのである。

     * * *

『――システム・アップデート完了。管理領域フロア・ゼロのマスター権限を【オダ・ノブナガ】様へ移行します』

 無機質なアナウンスが空間に響き渡り、空中に浮かんでいた億万のホログラム・ウインドウが、すべて「大日本の家紋(織田木瓜)」へと切り替わった。

「やった……やったぞォォォ! 神様の玉座を乗っ取ったぜェ!」

 市松フリントが大斧を放り投げて歓喜の雄叫びを上げる。

 一千万の天魔艦隊と数万の魔獣たちから、地鳴りのような勝鬨が上がった。

「ふぅ……。全く、胃に穴が空くかと思いましたよ。相手が次元の管理者となれば、一瞬の計算ミスが全軍の消滅に直結していましたからね」

 佐吉が、ようやく魔導盤から手を離し、ハンカチで額の汗を拭った。

「だが、見事な勝利だ。俺たちのことわりが、神の理を喰い破ったのだ」

 官兵衛が、心底楽しそうに杖を鳴らす。

 信長は、黒王の背からゆっくりと降り、オメガが座していた巨大な『光の玉座』へと歩み寄った。

 彼が玉座の前に立つと、システムが自動的に信長のサイズに合わせて玉座を再構築し、漆黒と黄金の豪奢な椅子へと変化させた。

 ドカッ、と。

 第六天魔王は、ついに多次元宇宙マルチバースの頂点たる玉座に腰を下ろした。

「……御館様。おめでとうございます。これで、すべての宇宙は御館様のものです」

 蘭丸が、血振るいをして刀を納め、信長の御前で恭しく片膝をつく。

「いや、まだだ」

 しかし、玉座に座る信長の眼光は、少しも満足していなかった。

 彼は、目前に広がる無数の「実験宇宙(水槽)」のホログラムを見渡し、口の端を吊り上げた。

「猿、佐吉。この管理システムの全容を開け。……オメガとやらは、本当に『すべての頂点』だったのか?」

 信長の問いに、佐吉と猿が顔を見合わせ、再び魔導盤を操作する。

 数秒後、空中に投影された「多元宇宙の全体図マップ」を見て、二人は息を呑んだ。

「お、御館様……これは……!」

 猿が震える指でマップを指し示す。

 そこには、彼らが制覇した「第774〜第802」などの数万の宇宙が含まれるブロックが、『ローカル・セクター(辺境管理区)』として表示されていた。

 そして、そのセクターの外側には、さらに巨大で、複雑で、上位の次元に属する『無数のセクター』と、それらを束ねる【真の創造主の領域セントラル・ハブ】が存在していることが示されていたのだ。

「フ、フハハハハ! やはりな!」

 信長は、玉座の肘掛けを叩き、腹の底から歓喜の声を上げた。

「オメガとやらも、結局は田舎の工場長エリアマネージャーに過ぎなかったというわけだ! 素晴らしい! この宇宙マルチバースは、俺の野心をまだ当分飽きさせてはくれないらしい!」

 神の玉座を奪い取ったことで明らかになった、さらに広大で絶望的な上位次元の存在。

 しかし、大日本の家臣団の誰一人として、恐怖する者はいなかった。彼らの瞳には、主君と同じ「果てなき野心と侵略の炎」が燃え上がっていた。

「武将ども! 文官ども! 休んでいる暇はないぞ!」

 信長が立ち上がり、全軍に向けて号令を放つ。

「この管理領域を新たな『大日本・帝都アヅチ』とする! 数万のローカル宇宙の全資源を吸い上げ、さらに強大な艦隊と兵器を造り出せ! 俺たちの『多次元・天下布武』は、まだ産声を上げたばかりだ!!」

「「「オオオオオオオオオオッッ!!!」」」

 神の管理領域を完全に飲み込み、次なる「真の次元領域」へと牙を剥く第六天魔王。

 限界を知らぬ織田信長と最強の家臣団による狂気の進撃は、宇宙の枠をブチ破り、さらなる未知の次元へと加速していくのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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