↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽器王子〜楽器の中に宿るは王子様!?〜  作者: めんだCoda
過去の交錯

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/49

第48話 全て消えるのよ

 倒れたスタインの腹からは血がだらだらと出続けており、この瞬間でも既に大きな水たまり程溜まっているこの状況では、命を落とすのは時間の問題なのは誰が見ても明白だった。


「スタイン!!」


 花蓮が叫ぶなか、銀色に鈍く光る刃物を持った男は、あっという間に走って逃げていく。


 涼太は逃走する男を目で追いながら、スマホで救急車を呼ぶ。


「バリウス…!」


 花蓮はスタインの傷口をハンカチで抑えながら、バリウスを呼ぶ。


「ねえ、バリウス、どうしよう…ねえ、スタインは楽器の国の王子だから、こっちの世界では死なないとか…ない…?」


「…致命傷をおえば、私達も人間と同様、死に至ります」


「…そんな…!!どうしよう、スタイン…!私の…2つめの願い、叶えて…!スタイン、自分の傷を治して…!!」


 正気のない瞳をしたスタインは震える手をゆっくりと動かし、花蓮の手に触れる。


 すると、スタインの体がゆっくりと金色の光に包まれ、その後に傷が全て治癒した状態のスタインが現れた。


「スタイン…!良かった…!良かった…!!」


 花蓮がスタインにしがみついて泣き出すと、スタインは静かに微笑み、花蓮の頭と腰に手を回し優しく抱きしめる。


「…ありがとう。俺なんかのことに大事な願いを使わせて、ごめん」


「何言ってるの!当たり前じゃない!スタインは、私の大切な人たんだから!!」


「花蓮……」


 見つめ合うスタインと花蓮は、互いに目を合わせ唇を熱く、そして深く重ねる。

 その数秒後、パッとスタインが花蓮の腕の中から消え、花蓮はスタインを抱きしめた腕のまま、目を大きく開き呆然とする。


「え……あれ…スタイン…?」


「契約終了です」


 バリウスが静かにそう言い、花蓮の横にしゃがみ込む。


「花蓮様の願いを2つ叶えたため、スタインは楽器の国へ戻ったため、こちらの世界から消えました」


「こっちの世界だけじゃないわよ!」


 叫ぶ女性の声に、花蓮とバリウスが振り向くと、そこには涼太にがっしりと捕まえられた東堂麗香がいた。


「東堂さん…?なんで、ここに…?さっき私が尋ねたら、今日は外出で不在にしているって…。それに、何のことなの?こっちの世界だけじゃないって…?」


「俺がバリウスに頼んだんだ」


 涼太は自分の腕を回し、がっしりと捕まえた東堂麗香の顔を苦々しく見つめる。


「スタインを刺した犯人らを捕えろ、という願いを2つめに使用した。するとどういうことか、さっきの男と東堂さんの2人が、俺の目の前に現れた。男の方は血まみれと刃物を所持していたことで、俺の近くにたまたまいた警察官に現行犯逮捕され、道路に押さえつけられて取り押さえられている。それで、東堂さんの方は俺が連れてきたってわけだ。スタイン…いや、花蓮を殺すよう指示したのは、東堂さんで間違いないだろう」


「はっ——!!そんな証拠ないでしょうに!それに、私を警察に突き出すの?魔法で犯人だと分かりましたって?あははー!うけるわね!」


 大きな甲高い声で天に向かって笑い出す東堂麗香の異様さに、花蓮は身震いをする。


「…東堂さん、結局、私をまだ憎んでいたのね…。でも、残念ね、あなたの仕組んだ計画のせいで、代わりに刺されたスタインは、もう楽器の国に戻ってしまったの。…もう…会えることなんて、きっとないのに…せっかく近くにいたのに…皮肉なものね」


「それは、あなたも同じじゃない」


「それは、そうだけれど…」


「あと、バリウスさん。あなたもね」


「…?それは、どういう…?」


「あら、あなた達、何も知らないのね」


 東堂麗香は、ふふっと不敵に笑うと、ニヤニヤしながら花蓮とバリウスを見下ろす。


「スタインは、もうこの世の全てから、魂ごと消え去るのよ。当然、楽器の国からも」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。