第47話 執着心
「申し訳ありませんが、東堂様は現在外出中でございます」
花蓮、スタイン、涼太、バリウスの4人は購入してきた品を渡そうとホテルのフロントに着いたものの、東堂麗香本人は不在との返答だった。
「そうですか…あの、そうしましたら、私の名刺をお渡ししますので、東堂様がお帰りになられましたら、これらの品々をお渡しいただけないでしょうか。東堂様からのご依頼のお品なので、おそらくお受け取りになられるかと思います。それから…」
花蓮がフロントマンと話し込んでいる間、ロビーのソファで待つスタイン、バリウス、涼太の3人。
「やっぱり、東堂さん忙しいんだな。なんだかんだで、海生島へ行くように仕向けたのも、ただの嫌がらせだったのかもな」
笑みを浮かべた涼太は、ソファの背もたれに深く背中を預け、完全にリラックスしていた。
「いや、そんな単純な女じゃない。俺が花蓮の元に現れる可能性をかけて、何年も花蓮を見張っていたほどに執着心が強いんだ。逆に、このタイミングでいないことが、かえって怪しすぎる」
スタインだけは険しい顔をしてホテルのロビーのあちこちに、隈なく目を配る。
「お待たせ!要件伝えてきたから、もう帰ろう」
花蓮が小走りで駆け寄ってきた。
「東堂さん、戻られるの何時か分からないみたいだけれど、とりあえず念の為また明日私連絡を…」
「しなくていい」
スタインはソファから勢いよく立ち上がると、険しい顔のまま先に歩いてホテルを出て行ってしまい、慌ててその後を花蓮、涼太、バリウスの3人は追った。
「スタイン、待って!」
スタインと3人がホテルを出てしばらく歩いて分かったのだが、ホテルを少し離れた所には大きな公園があり、日本にしては広大なその公園は、どこかアメリカでの公園を彷彿とさせ、思わずスタインは足を止めた。
「ねぇ、スタイン、どこに行くの?とりあえず帰ろう?」
記憶を無くしている花蓮は、この公園に来てもピンのこないらしい、胸騒ぎがするのはスタイン1人だった。
「…ああ…そうだな、悪かった、帰ろ——」
そのとき、1人の男がふらっと花蓮の背後に現れ、そして何かを取り出すとそのまま花蓮目掛けて突進してきた。
「花蓮!!!」
叫んだスタインは、そのまま花蓮を押しのけ男の前に立ちはだかると、何かが鈍く体に突き刺さった。




