第39話 大切な人
「は…い…?主人に魔法…?洗脳…?」
バリウスはその場に膝から崩れ落ち、目を見開いてスタインを見つめる。
「スタイン…君、今自分が何を言ったのか…意味を分かっているのか…?」
「意味も何も、実際俺自身がやったんだから、分かってるよ」
バリウスはゆっくりと床に尻をつけると、口を半開きにしたまま、スタインを見つめる。
スタインはというと、あぐらをかき両指をくつけ、親指をくるくると回している。
「まあ、バリウスの反応が正しいよ。今度は、お前が俺と距離取りたくなっただろ」
「……こで…?」
「え?なんだ?」
「…スタインはどこで、そんな魔法を知ったんだ…?その類の魔法は、禁忌魔法として扱われていて、王子である僕らにはその書物がどこに保管してあるか知らされていない。」
「ああ、そうだ。でも、俺は古代書を読んだことがあるんだ」
「一体…どこで?」
「親父の部屋だよ。子どもの頃、親父を驚かせたくて、わざと親父の部屋に隠れてたことがあるんだ。そのときに、たまたま親父の隠し倉庫の場所を知ったんだ。それで、俺はそこに保管されている古代書を手に取り、禁忌魔法の存在と使い方を知った」
「それで…なぜ主人に魔法をかけたんだ?スタインは今までどの王子よりも主人に忠実で、毎回主人のことを心から尊敬していたじゃないか!」
「ああ、そうだよ。尊敬してた。だが、今回の3人目は違ったんだ。俺のことは冷遇し、挙げ句の果てには俺の大切な人を…車で跳ねて殺そうとしたんだ。そんな主人を、尊敬するポイントはあるか?ないだろ?」
「……スタインの気持ちはよく分かる。…それより気になることがある、大切な人って誰のこと…?」
「主人と同じピアノのレッスンに通っていた、女の子のことだ」




