第29話 君も大きく関わっている
列車の中に戻ったスタインとバリウス。
「スタインっ!!」
涼太に抱き寄せられていた花蓮は、スタインの姿を見るなり、パッと涼太から離れスタインの元へと駆け寄ってきた。
「スタイン、大丈夫なの?怪我は…?全部、涼太とバリウスから話は聞いたよ…私の怪我を治すために、無理したって…ごめんね…」
目を潤ませ、スタインを見上げる花蓮。
スタインは鼻から息を出して微笑み、優しく花蓮の頭に手を置く。
「花蓮のせいじゃないよ」
「だけど……」
「そうだよな、花蓮のせいじゃない」
2人を離れたところから見つめていた涼太が会話に割って入り、少し怒ったような顔をして、ゆっくりと近付いてくる。
「スタイン、さっきバリウスと話していたこと、花蓮の治療が終わったら話すって言ったよな」
「…ああ。分かってるよ」
スタインはバリウスと目配せした後、元いた座席へと行き座る。
「あの…スタイン、これ使って」
スタインの隣に座った花蓮は、ピンク色のレースのタオルを取り出して、スタインの前に差し出す。
「ありがとう」
白い歯を見せて優しく笑うスタインに、花蓮も思わず優しい笑みを返す。
スタインがタオルで髪の毛や腕を吹き終えると、ふうー…と列車の天井を見て溜め息をつく。
その後、ゆっくりと顔を元に戻すと、バリウス、涼太、そして花蓮の順に目を合わせていった。
「どこから話すか…」
「脱したとか、勝手にきたとか、あとは父親がなぜ怒っているのか、それをまずは話せよ」
眉間に皺を寄せた涼太は、真っ直ぐにスタインを見つめて目を逸らさない。
スタインもそんな真剣な涼太を見て笑ったりせず、真面目な顔で頷いた。
「分かった。まずは、脱したことについて話す。…俺は花蓮の所へ来る前は、楽器の国で拘束され、厳しい監視下に置かれていた。そこから勝手に出てきたことで、親父の怒りをかって今回のことに繋がった」
「拘束…!?監視下…?スタイン、お前何したんだよ!?」
涼太のその声色には警戒心があり、そしてスタインの横に座る花蓮は、両手で口を覆い、目を見開いてスタインを見つめていた。
「そう思うよな。今から話す俺の過去は、全て事実であって、そして…」
スタインは顔を右隣へと向けると、真っ直ぐに見つめる。
「花蓮。君も大きく関わっている。そして、君自身も知らない、自身の過去のことも」
そう言うと、スタインはスーッと音を立てて息を吸い、低い声でゆっくりと、言葉を選びながら話し出した。




