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3 資本について 2 働き方を考える

3-2


 十分な資産は、君の人生に安心をもたらす。


 貧すれば鈍すると言うが、実際、金銭的余裕がないと、夢を思い描く前に金銭的不安が先立ち、視野が狭くなってしまう。本来は不安定かもしれない現状の職や待遇に、少なくとも今は保たれているからと、しがみ付きたくなる。お金がないために新しい状況、例えば転職といったことにも躊躇せざるをえなくなる。

 金銭的に余裕があれば、君にとって一番大切な夢のことを正しく軸として、君に関わるあらゆる事柄を、広く公平な視野で検討できるだろう。言い方を変えれば、資産があればリスクを適正に取れるわけだ。


 その資産が無いから働くんじゃないか、と言いたいかもしれないが、とにかく文章を続けさせてもらうので、読み進めてほしい。

 今の君に資産があるかないかは問題ではなく、仮にないとしても、この文章によって資産形成が大切なのだと、実感はなくとも危機感を覚えてもらえたなら、ひとまず良し、だ。

 私は君の将来を案じ、君を援助するための資産を準備しているはずだが、将来は不確実であるから、一旦それには目を瞑ろう。


 資産を築く、運用する。

 資産ゼロからのスタートであれば、まずは仕事を得て働く必要がある。ゼロのままでは何も生まれない。イチになって初めて、運用の機会が得られる。


 君が働き始める時代にどういう業種が盛んで、どういう職業が憧れられていたり安泰だったりするかは想像もつかないけれど、できればコレ、と私が思う働き方をいくつか提案しておく。

 まず、とにかく君が興味を持ち続けられること、次に、専門性が高く人間社会の構造上AIに代替されにくそうなこと、もう一つ、いわゆる手に職系。特定の職業について言及はしないが、これらの方向性から検討してみてはどうだろう?

 理由はいくつかあるが、君の働き方が人生の節目ごとに変わる可能性があることを、まずは認識してほしい。その上で、働き方が変わっても、技術や知識を継続的に活用できる君を育めるかどうかを、職業選択の指標にしてほしい。


 あの企業に入っていれば安泰とか、この業種なら食いっぱぐれないとか、そういった仮初の安心材料を後ろ盾に持ちたい気持ちは、日本的感覚であって、グローバル化の中で揺らいでいくかもしれない。

 ただ、君が日本から出ず、君が生きている間も旧来的な日本企業の体質である、終身雇用と賃金の年功序列制が持続すると確信があるなら、いわゆる大企業への就職を目指すことも選択肢ではある。日本における、大企業正社員とそれ以外の中小企業ないし非正規労働者との構造的分離は、少なくとも2025年時点では無視し難く、その分岐点が最初の就活時であることは概ね否定できない。


 いずれにせよ、夢を前提に仕事について考えるなら、君は君のスキルとして磨き、伸ばしたい要素を正しく捉えておく必要があり、先の提案は念頭に置くに値するはずだ。

 場合によっては、いくつかの職を経験することで初めて、君に合ったスキルに気付けるかもしれない。逆に言えば、特定の会社、ではなく、君がまさに従事することになる職業ないし立場によって得られるものが何かを、仕事の選択の際にはよく検討する必要がある。

 そして、そうした気付きの機会は、積極的にその時々の仕事に励み、高まってゆく技術や知識の方向性と君との相性をつぶさに推しはかることで、多くなっていく。

 受動的にぼんやり働いていては、得られるのはその時々に最低限必要なお金だけ、ということになり、将来の資産の拡充や、夢の実現は遠のいてしまうだろう。


 また、2つ前の節の繰り返しになるが、資本社会では利益追求が最適化されるよう仕事のあり方が規定されているため、逆説的に、労働者は資本主義の要請に歪められる運命にあることを、事実として受け入れておかなければならない。


 とにかく、仕事について考える時に大切なことは、夢のための資本、その一要素である資産のため働いている、という側面が少なからずあると、忘れないことだ。


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