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2 君の夢 2 夢と職業

2-2


 夢について考えてみた。その中で私は間接的に、特定の職業を夢とすべきでないと書いたのだが、気付いただろうか?

 君は今後、人生の多くの時間を特定の職業に割り当てることになるだろうし、仕事を通じて得られる良い事柄はたくさんあるから、職業それ自体を、人生や何かしらの基準にしたくなる気持ちは理解できる。

 けれどその職業はあくまで仕事の一種であり、お金を稼ぐ選択肢の一つに過ぎないことを忘れないでほしい。

 特定の職業に従事して、それを続けることで、君は知識や技術、友人といった君を豊かにする要素を、お金の他に得ることができるだろう。もしかするとそれらは君の夢に必要な要素かもしれないが、やはりその職業そのものに本質を見出すべきではないと思う。


 今私がこの文章を書いている2025年現在、世界の株式市場を賑わせているのはいわゆるハイテク企業群で、特にGAFAの影響力は強く、インデックスファンドFANG+の人気は上昇している。それはなぜか? あくまで個人的な考えではあるが、AI市場への期待感が強いからだろう。

 AIが発達するとどうなるか。人間の機能が機械に取って代わられ、職業の種類は減っていくと予想されている。

 その通りだとして、減っていく職業の中に、君の職業が未来永劫列挙されないと言えるだろうか? 仮に残ったとしても、その職業の人気は相対的に高まるし、そもそも職の選択肢が減っているのだから、能力の高い人がその職を求める可能性も高まり、君が必要とされなくなることは、十分ありうる。

 終身雇用の神話が崩壊しつつあり、周りの環境が変わりゆく中で、特定の職に縋るような立場を選ぶのは危ういと言いたいわけだ。


 職業はあくまで仕事の一種であり、もっと言えば、仕事全般自体が、お金を稼ぐ選択肢の一つに過ぎない。

 君がどういったキャリアを構想しているのか、私にはわからない。けれどはっきり分かるのは、例えば明日宝くじで十億円が当たったら、君の構想はかなりの確率で歪まざるを得ないということだ。

 働く必要がなくなってまで、君は何かしらの職に就きたいだろうか?

 今すでに何らかの職についていて、その職が楽しくて仕方ない、あるいはその職の意義深さに傾倒しているなら、億万長者になっても働き続けるかもしれない。しかしその場合、その職に就いていることは趣味と言い換え可能であって、お金を稼ぐ手段としての意味合いはゼロに近いだろう。

 他には社会の中で孤立しないためとか、世の中への貢献、自己の表現の一つの形として働く選択肢をとるかもしれないが、それらはやはりお金のためではなく、趣味に近い。


 そもそもの話をするならば、現代社会における”仕事”は、資本社会において資本家が利益を享受するために最適化されたシステムの産物であって、語弊を恐れず端的に言うならば、労働者が仕事をするということは、そのシステムの歯車になることと同義である。

 資本主義という社会は合理化、最適化を常に目指しているため、逆説的に、その仕事及び職業を通して利益を最大化できるよう、労働者は運命付けられている。

 君が特定の仕事や職業につき、そこで尊いものを得られると思っているとしても、それは資本主義による最適化による動機付けだったり、一見そうとは分からない巧妙な罠かもしれない。


 とにかく、この場で私が君に伝えたいのは、職業に固執しすぎたり、囚われたりすると、君の未来の選択肢は減ってしまうということだ。まして、仕事のせいで鬱にでもなろうものなら、目も当てられない。

 自分で選んだから、お世話になった人がいるから、将来も安泰そうに思えるからと、その職業に留まる幾つもの理由は、君の人生におけるその職業の役割を増大させていい理由にはならない。職業が人生の枷になっては本末転倒だ。

 単に、どんな職業も一様にお金と変換可能なくだらないモノだ、と言いたいわけではないので、その点は注意してほしい。


 君の夢を実現するために必要な働き方は何だろう。今この瞬間も、この先何らかの職業人として働いているときも、常に忘れないでほしい。

 いや、そもそも幸運にもお金に十分恵まれたなら、君はお金のことから、働くということから離れて、人生に必要な事柄についてじっくり考えるのではないだろうか?

 むしろそうなった時のことを想像して、想定して、仕事は仕事と割り切って、君の夢のために本当に必要な要素について積極的に考えよう。


 ちなみに私が今の職に留まっているのは、語弊なく言えば他を選ぶより給料がいい可能性が高く、かつ暫くはAIに代替されないと考えているからだ。割愛する色々な事情はあるが、正直に言って現状はあまり面白くない。

 君に偉そうに伝えた手前、私も私のために動くべき時なのかもしれないと、今まさに思い悩んでいることを書き添えておく。


 私が君に仕事についてどう説こうが、生きていくためにはお金が必要だし、お金を稼ぐには仕事に就く必要があるだろう。そしていざ働き始めると、お金と自分の生活を天秤にかけることが怖くなったり、あるいは忙しさのために、先に書いたような多様な選択肢に目を向けられないこともあるだろう。

 だからこそ、もし今すでに何らかの職業に従事しているとしても、これから働き始めるとしても、今まさにこの文章を読んでいる間に理解してほしい。君は仕事のために生きているのではないことを。理想の未来に向かう過程で、大抵はあくまで金銭的な目的で仕事をしているのだと、脳裏に焼き付けてほしい。

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