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1 はじめに 2 過去を振り返って

1-2


 君に、あるいは誰かに対して、幸せのことをどうこう言えるほど、今まさに私が幸せなのかどうかは、実のところよく分からない。これまでの人生では、それなりに多忙で時間がなかったことに加え、そもそも、幸せやそれに関わる事柄について、検討しようと発想したことがなかった。

 少し余裕ができた今、私はようやく人生における幸せについて考え始めることができた。同時に、せっかくなら君と分かち合おうと文字を起こしているのであって、つまり私は、これからの日々で実践的に幸せを見出していくことになる。


 今と未来のことを話すには、一度過去についても触れる必要があると思うので、身バレしない程度に簡単に私のことを記述しておく。

 地方都市のベッドタウンで私は育った。地元の公立小学校に通い、少しの習い事のほかは、公園で体を動かして遊んだり、カードゲームに夢中になっていた。中高時代は通学時間が長い点に目を瞑れば、進学校の恵まれた環境で学ぶことができ、卒業後も交流のある友人に巡り会えた。自宅浪人を経験した後、地元の国立大学に入学し、そこで出会った女性、君たちの母と結婚した。大学の部活は今の趣味に繋がっている。卒業後、医療系の専門職として紆余曲折を経つつ、今に至っている。


 側から見れば、それなりの収入を得て、子供にも恵まれ、不自由ない人生に見えるだろうか? 第三者から見れば幸せに映るかもしれない。

 しかし私が君に伝えたいのは、君にとっての君自身の、私にとっての私自身の幸せのことであり、その点を考慮する必要がある。


 いつどれだけ、私が私の人生のために自覚的に頑張ったり選択してきたかは、はっきり答えることができない。いつも漠然と、周囲の目や、その時々の不安に急かされるように、目の前のことに取り組んできたようにも、ただ流されてきただけのようにも思える。いわゆる試験等で区切られるライフイベントに限った話でなく、多くの事柄についてそう思う。

 それゆえか、これまでを振り返って、私は取り立てて不満がないはずの選択によって出来上がった今を、何故か幸せと呼ぶには満ち足りないと感じてしまう(・・・というのは生ぬるい書き方だ。真実を知りたければ、第6章・第1節を先に読むといい)。


 だからこそ今、私は幸せについて見つめ直すことで、私にとっての私の幸せを、文章と共に掘り起こそうとしているのかもしれない。

 君はどうだろう? 積み重なった過去を振り返って、その上で今まさに、そしてこの先、幸せだろうか?

 書き手の私が文章を通じて理解を深める傍らで、読み手として一緒に、過去ゆえの今、そして未来に思いを巡らせてほしい。

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