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5 君の形 3 情報を解釈する

5-3


 箱庭を創造するにしても、資本に関わる行動を実践するにしても、当たり前ではあるけれど、君は君の生活を送らなければならない。君の人生は生活の積み重ねなのだから。

 わざわざそんな事に言及している理由は、生活というもはや意識すらしがたい”当たり前”の周囲には、一見そうとわからない数多くの誘惑や罠が隠れているため、君にそれらの危険を認知し、適切な対処法を身につけてもらいたいからだ。


 現代は情報に溢れている。情報源に溢れていると言ってもいい。ウェブサイトのような形の無い、実体の無いのものだけでなく、デパートやセミナーなど、君が足を運ぶかもしれない場所や集まりを含めた、広い概念で捉えてほしい。

 それら情報、情報源は、年々高度化するアルゴリズムによって、君に特化された状態で君に接触し、それを受け取る君には、さまざまな認知上のバイアスという圧力が常に加わっている。

 何が言いたいか、わかるだろうか?

 情報との距離を測りかねると、君は情報に溺れ、いつか浮上できなくなるという、恐ろしい未来予想だ。


 ECサイトでは君が欲しそうな商品が、動画配信サイト、SNSでは君がつい見たくなる動画や画像が、常にトップページに表示される。

 メールアドレスにはパッと見そうと分からない迷惑メールが届き、郵便ポストにはどんどんチラシが投函される。

 ネットサーフィンをしても、街を歩いても、至る所に貼られた広告はめまいを引き起こすほどの密度だ。

 それらと今の君の距離は、君にとって適切だろうか? 最適化されているだろうか?


 情報は認識するだけでは君に何ももたらさないどころか、情報それ自体が内包するアルゴリズムやシステムは、君を特定の行動に誘導し、結果、君は不利益を被る可能性がある。

 ではどうすればよいか。

 認識した情報が君に必要か否か、有益か否か、そもそも真偽はどうか、解釈しよう。

 これはとても難しい事だから、一朝一夕にはできない。なぜなら君が視覚的に、あるいは聴覚や嗅覚も含め、五感で受け取る外界の様子、状況はすべて情報であり、その一つ一つに意識を向けなさいと言っているも同然だからだ。

 しかし、不可能ではない。情報を正しく解釈するために必要な、具体的な手立てを提示していこう。


 まず、君の夢の足しにならない情報源は、そもそも君には必要ない。

 君は普段、SNSアプリを何個使っているだろう? 君がそれらを、君の夢のために活用できているならいい。ただ、アプリのアイコンをタップする前に考えてほしい。アプリ開発企業の収益になる行動を、アプリのアルゴリズムによってとらされているわけではないと、断言できるだろうか?

 SNSだけではない。手持ち無沙汰な時に、何気なく開いてしまうECサイトはないだろうか? 足るを知る君が何かを買うのは、君に必要なものが無くなる時だけのはずだ。君に最適化されたECサイトの提案品は、その場限りの物欲を煽っているだけに過ぎない。

 インターネット上でのことだけでなく、実店舗であるショッピングモールや商店街だって、目的が無いのであれば、同様の理由で、そもそも行く必要はないと理解してもらえるだろう。


 断言しよう。人間関係に関する項目での提案と同じような内容になるが、君は情報と、もっと言えば情報源であるアプリやウェブサイト、場所、人々の集まりと、適度な距離を置くべきだ。


 手始めに君の携帯端末(2025年時点ではスマートフォンが一般的に普及しているが、君がこれを読んでいる時には、2025年時点では想定し得ないウェアラブル端末が覇権を握っているかもしれない)に、インストールしているアプリを一つ一つ確認して、夢に向かう君にとって本当に必要かどうかを考えてほしい。必要でないと思えたならば、いっそ、それが内在するアルゴリズムの誘導性の観点から有害ですらあるため、アンインストールしよう。


 あらゆるものを情報ないし情報源と捉えて、君との距離を見つめなおせば、必然的に君にとって有益な情報源だけが、君の手の届く範囲に残っていることになる。そして手の届くところに残った、概念としてのそれら情報、情報源は、君が積極的に解釈し、君自身に取り入れたい事柄、という性質を持っているはずだ。


 不要な情報源を削ぎ落とす過程は、君と情報との立場を変える作業でもある。

 膨大で煩雑な数多の情報に、無意識のまま晒され、本当に必要かどうかすら分からない情報の濁流の中、苦労の末に最適解を見つけたと錯覚する、という現実は、哀しいことによくあるパターンだろう。

 目の前に提示された情報だけを頼りに考えるのはやめよう。

 初めから目的を持っていれば、必要な情報が、選び抜いた情報源のどこにあるかは、考えずともわかるはず。

 漫然と情報を浴びるのではなく、適宜手を伸ばすのが賢明だ。受け身をやめ、能動的選択者になっていこう(将来、君の子供には、そうなれるよう接してあげよう)。


 情報源を厳選する過程でも少なからず経験すると思うけれど、触れる情報が少なくなれば、君は一つ一つの情報に対して取れる時間が多くなる。それが持つ意味、意図、君との関係性について、じっくり考え、解釈しよう。

 とは言え、その時々の生活上の理由や外的要因で、一時的に必要な情報、情報源もあるだろうから、そういうモノは割り切って利用しよう。


 本来なら、解釈の際に問題となる認知上のバイアスについても説明すべきだろう。けれど、〇〇効果、〇〇の法則など、挙げればキリがないし、私が伝えたいことの概観は伝わったと思うので、ここでは省かせてもらう。

 ただ、そうは言っても気になるようなら、”行動経済学”と書籍を検索し、評価のいいものを一冊読んでほしい。情報との距離がより掴みやすくなるはずだ。


 加えて、情報の真偽の確認方法についても論じるのが筋ではあるが、話が長くなり過ぎるので、端的なアドバイスだけ書いておく。

 情報は細分化、相対化して、原典にあたり、類似の情報との相違に着目しつつ評価しよう。漠然と受け取った情報単体だけで解釈しようとすると、大抵本質が見えない。


 実体の有無に関わらず、情報源が整理されたならば、君が夢に向かって遠回りする可能性は低くなる。

 情報は増え続ける。その多くは、君に必要ない。このことをよく理解してほしい。そうすれば、君の生活や箱庭づくりは快適さを増すはずだ。

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