4 家庭をもつ 1 家族計画から逆算する
4-1
人間関係に言及した以上、家庭を持つことにも触れておく必要がある。
核家族化が浸透して久しく、君が生きている間もその傾向は変わらない想定で話を進めていこう。
家庭を持つとはどういうことだろう? かなり意味を広げて言えば、自分が育った家庭以外で、家族と呼べる誰かと長期間過ごすことであろうが、話が複雑になるので、ここで論じる内容のためという前提での、私の定義を先に伝えておく。
結婚して子供をもうけること、だ。
結婚するつもりがない、結婚しても子供は欲しくないと思うなら、以後の話は読み飛ばして構わない。
・・・いや、せっかく書いたのでやはり読んでほしい。それに、気が変わる可能性は十分ありうる。
家庭を持つに際して、私からのアドバイスは一言に尽きる。タイミングなんてない、できるだけ早く結婚して子供をもうけよう。
極論、暴論に思えるかもしれないが、理由を読めば納得してもらえると思う。
その理由を書く前に、私は君に質問したい。
子供は何人欲しい?
思い浮かべてくれただろうか? 君は二人姉妹だから、とりあえず二人で考えてみよう。
出産年齢は若い方が、母体にとっても生まれてくる子供にとってもリスクが少ない。厳密には定義されていないが、よくいわれる高齢出産の目安は35歳からだから、リスクを避けるならば、最後の子供は34歳までの出産が望ましい。
その場合、33歳で二人目を妊娠、母体のリスク回避のため1年をあけて、32歳で一人目を出産、31歳で一人目を妊娠となれば、高齢出産を回避できる一番遅いプランとして理想的だ。
ただ、あくまで遅いプランの理想であって、三人目、四人目も欲しいなら、一人目の妊娠タイミングはそれぞれ2年、4年早めて考える必要がある。加えて、理想的なケースでなければ、妊娠間隔はもっと開きうる。
君とパートナーのどちらか、あるいは両方に由来する不妊だってありうるし、その場合、定義的には判明まで1年、その後治療開始となればそれ以上に、一人目の妊娠タイミングは後ろにずれ込む。
それに、君が子供は一人か二人がいいと思っていても、相手は三人以上欲しいかもしれないし、生まれた子供との関わりの中で、君自身の当初の想定よりも多くていいと考え直すかもしれない。
もう一つ君に質問がある。
子供はいつまで、親の目を必要とすると思う?
小学生になるまで? 中学生くらい?
思い出して欲しいのは、君が何歳頃から一人で公共交通機関を使って移動するようになったか、であり、10歳頃だったと思う。
具体的には、中学受験のための塾通いを始めた頃から。それ以前は、私たち親や祖父母に付き添われて、車や公共交通機関で習い事や買い物に出掛けていたし、長い時間一人で留守番をしたこともなかったはずだ。
早すぎる、遅い、という意見もあるかもしれないが、ひとまず10歳とする。
そして、これを先ほどの出産年齢に当てはめてみよう。
仮に最後の子供が34歳で生まれた場合、その子供がある程度自分で動けるようになるのは、君が44歳の時だ。
いや、重要なのは君が44歳になっていることではない。君の親、つまり、最後に生まれた子の祖父母がその時何歳か、なのだ。
君と私の年齢差はもちろん知っているが、君の結婚相手も想定して、一般化して話を進めていく。
仮に君が、親が高齢出産をギリギリ回避した前提で、兄弟の最後の子であった場合、君と親は34歳差になる。そして君の最後の子も同様となると、君の子と、その子の祖父母は大体68歳差になる。高齢出産が珍しくない現代では、楽観的でも悲観的でもない仮定だろう。
その祖父母は、10年後には78歳だ。2024年公表の健康寿命は、女性75歳、男性72歳であり、それを優に超えている。
話を進めるにあたり、前提となる想定を一つ加えておく。それは、おそらく君は共働きになるだろうし、むしろ君の夢の実現可能性を考えるならば、そうである方が望ましい。
その場合、誰が子供と物理的に関わるかはとても重要な問題で、ボトルネック的側面を持つ。
何が言いたいか既に察していると思う。そう、子育てには、おじいちゃんおばあちゃんの手を借りよう。
お金を払って子育てや生活に関わる多くを外注してもいいが、使える伝手は使った方がいいし、君は同時に資産形成も進めなければならない。
そのため、子育てを見越すならば、子からみて祖父母の年齢を考慮する必要がある。遅くなると、逆にその祖父母は体力的に動けないどころか、介護が必要な段階で、それどころではないかもしれない。
子の祖父母が現役で四人とも働いていたらどうするんだ、という疑問には、一般化の枠を外して、少なくとも私と君との関係における話をしておく。
君が四年制大学卒業直後くらいに結婚、その後すぐ妊娠、出産するとして、その頃までには私は十分な資産を築き、趣味程度の範疇で働けるようになっている予定だ。なぜそう言えるかというと、逆説的ではあるが、私は私自身のことを見つめ直す期間を幸運にも持つことができ、それゆえに将来の見通しを具体的に立てられるようになり、この文章を書くことにもなったからだ。
君の子供の世話を、私はきっと喜んで手伝うだろう。そうであれるよう、かなり安全マージンをとって計画している。
子育てはとにかく人手が要る。より具体的には、誰かしら大人が、その子に対してまとまった時間を割く必要がある。
さっきも書いたけれど、君の夢の実現のために君は仕事をした方がよいが、子育ての時期はキャリア形成や適正な職探しの時期と被りがちで、尚更、使える助力は使うべきだろう。
そしてこの、君の子とその祖父母の関係は、君の子が更に子を産み育てる時、つまり、君の孫が生まれた後にも響いてくる。
君は君の子に、自分が介護が必要な状態だから孫の面倒なんて見れない、と言わざるを得ない状況を受け入れられるだろうか? 私は避けたいし、体力のある若いうちに手伝いたい。
逆に、早くに子供が生まれた時を考えてみよう。
大学卒業後すぐに結婚し、順調に妊娠、出産を二度経験した場合、君の二人目の子は君が26歳で生まれたことになる。
君が、親が34歳の時の子だとして、二人目の子が生まれた時その祖父母は60歳で、その後10年経っても70歳であれば、子育ての戦力として申し分ないだろう。定年が順次延長されている社会では、60代はまだまだ若い。
個人的には、高校を卒業してすぐに子供をもうけてもいいとすら、私は思っている。私たち親にしっかり頼って、大学にだって通えばいいと。むしろその方が、いっそその後の人生を考えたならば、利点も大きいのではないだろうか? 私の考え違いだろうか?
はじめの主張に戻るが、君の親族を含めた子育て環境、次の世代での君の立場を考えれば、結婚も子供をもうけるのも、早いに越したことはない。




