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3 資本について 7 人間関係は一歩引いて

3-7


 資産と体について書いてきたが、資本の最後の要素として、人間関係でのスタンスについて、私の考えを伝えたい。

 私がここでいう人間関係は、君にいずれ備わる資本としての関係であって、事務的なやり取りでのみ言葉を交わす相手、例えばスーパーのレジ係、役所の受付といった人は含めない。


 端的に表現するなら、よく話を聞き、無理に合わせず距離をとる。好ましくない相手が詰めてくる場合は、直接伝える、仲介してもらう、逃げる、のどれかを選択する。以上。

 君にとって有益でない、あるいは害になる人物に、君の時間を必要最低限以上割く必要はないし、その人物との関係のことで悩む時間は無駄だ。


 家族にしろ、友人にしろ、職場の上司や部下にしろ、ひとまず誰かとの関係性はコミュニケーションから始まる。コミュニケーションの取れない人物とは、当然良好な関係は築けない。

 コミュニケーションの場では、君には話を聞く側になることをお勧めする。

 特に、あまり関わったことのない段階では、相手の話をまず聞かないことには、その人物のことを知れないし、君がその人物を推し量る材料も得られない。

 加えて、人に話を聞いてもらって嫌な気持ちになる人は少ないだろう。世の中には、ビジネスの対象として相手を見定める目的があって、”自分から話さない人には価値がない”と考えるような人もいるが、そういう例外はともかく。


 聞き上手は人に好かれやすい。少なくとも私の周りでは、私の主観の範疇ではあるが、聞き上手の人は、敵が少なく好意的に思われている割合が高そうだった。

 子供と接するときやカウンセリングの場では、肯定することの大切さについてしばしば言及される。実際には聞き上手と肯定はイコールではないけれど、私はあなたの話に興味があります、と相手が思うような聞き上手になれるよう、君自身の話したい欲求はひとまず抑えて、聞く側に回ろう。

 その人物が君にとって有益か、君と合うかは、話を聞いていれば自然とわかるだろうし、少なくとも判断の材料は聞く側でいれば増やすことができる。

 ただ冒頭でも書いたように、相手の話に、表面上はともかく、心の中まで合わせる必要はない。むしろ内心は客観的な視点を心がけて、距離をとって話を聞いておこう。

 相手の話に飲み込まれてしまうと、君は君自身のための判断ができなくなってしまう。そして相手に聞かせるのが上手い人は、穿った見方をすれば、詐欺師的側面を持っているかも知れない。


 聞く側になり、内心では適度に距離を置きつつコミュニケーションすることで、距離を置くべき人物を選別しやすくなる。そして、君にとって有害だと判断した人物とは、速やかに物理的に距離を取るべきだ。社会的事情のために難しいなら、事務的なやりとりの対象として対応して、精神的距離を最大化しよう。

 聞き上手の弊害として、この人は私を分かってくれる、私を肯定的に捉えてくれる、といった類の思い込みで、こちらは嫌っていても距離を詰めてくる人がいる。どんなにフェードアウトを画策しても、それを超えてまで。

 そういった人には、私はあなたとは合わない、と言うしかない。できれば言える君であって欲しい。無理なら、共通の知人に仲介を頼むか、ストーカーの範疇と考えて警察に相談してもいい。

 それでも解決しないなら、逃げるしかない。思い切って環境を変えよう。逃げたら負け、なんてことはない。煩わしい人間関係に囚われている、その時間への妥協こそが敢えて言えば負けだ。万が一、同情心でも芽生えようものなら、悲劇的ですらある(逃げの選択肢は、資産の大きさによって幅が変わることを言い添えておく)。


 どういった観点で、特定の人物が自分に合うかどうか見極めたらいいだろう?

 結局のところ、やはり君の夢に立ち返ることが基本になる。

 どういう君になりたいか。その君は、どういう人と関わっているか。

 等身大の君に、あるいは、夢を叶えた君にとって望ましい人間関係を考えてみよう。


 否定的な側面に注目して書いてきたが、自分と合わない人物と正しく距離をとりさえすれば、良好な人間関係は自然と浮き彫りになる。

 君にとって大切な人物とは、積極的にコミュニケーションを取ろう。聞き上手の心は忘れないように、けれど、相手にも君のことを知ってもらい、お互いがお互いにとって、必要な時に助け合える関係を築いていけたら素晴らしい。

 もちろん、困った時に助けてほしいためだけに、人気関係を構築するわけではない。

 趣味でも、仕事でも、旅行でも、食事でも、その人物との経験が君の幸せや心の充足をもたらしたり、新しい知識や技術の習得を促したり、時には君の夢に繋がるきっかけになる、そんな関係を築こう。

 それは、君の資本の重要な一要素になる。


 コミュニケーションでの注意点について、言わなくてもわかっているだろうけれど、一応触れておく。

 人の悪口や愚痴は、誰にもいいことがないので言わないこと。ましてや本人のいないところで言って、君に何のメリットがあるだろう? 大抵、君が言って変わるものでもない。

 それから、見栄を張るのもやめよう。君は夢のため、等身大の君自身を把握しておかなければならない。それは他者との比較によって価値が定まるモノではないし、見栄を張ると、君が捉えるべき君自身の形は歪んでしまう。

 話題選びの方針はシンプルでいい。君から話題を提供するなら、ポジティブな内容を心がけよう。


 ここまでは主に友人や同僚を想定して書いたけれど、忘れてはならないこととして、家族とのコミュニケーションを一番大切にしてほしい。

 これを君が読んでいる時、私が君とどういう距離感かわからないが、少なくともこれを書いている時点では、私は君たちとのコミュニケーションが苦手だ。色々な理由、おそらく突き詰めれば何気ない、日々の小さな関わりの蓄積がその原因なのだと思う。

 少しずつでも変わりたいと思っている。私は変われているだろうか?

 ともかく、何せ家族なのだから、困った時はもちろん、そうでなくても、日々の喜びや悲しみを分かち合える関係でありたいし、そういう対象として私を位置付けてほしいと思っている。

 私は、君が最も安心できる逃げ場でありたい。

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