3 資本について 5 一汁一菜のススメ
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余剰資金の話の中で、食費のことについて触れた。
固定費ないし変動費の一要素として、交際費的側面もあるが、とにかく生活費における食費の割合は見過ごせない。
そして、この後で話す資本の一要素、体にも関わってくるので、踏み込んで話しておく必要がある。
君は今朝、何を食べ、飲んだだろう? 昨日の朝、昼、夕は? 夜食や間食は?
当たり前すぎる話だけれど、君が口にした全てが君の体を作り、同時にそれら全てだけが君の体を作れる。
もし食生活がコンビニやスーパーの惣菜にビタミン剤を足したもので構成されているとしたら、声を大にして言いたい。自炊をしよう、と。
市販の弁当や外食のメニューは、はっきり言って味が濃い。そして値段が高い。
購買意欲を持続させるためには、客を満足させる必要がある。食事における満足とは何か? 量と、印象に残る、つまりある程度濃い味だろう(加えて、企業は人間の反応を企業の利益に対し最適化する術をこれら食品に応用しているわけで、それゆえにこれら食品は中毒性を孕んでいるとも言える)。
足るを知るを君の体にも適用すると、そもそも毎食お腹いっぱい食べる必要はないと分かるはずだ。そして味の濃さは、塩分や油分等の過多の裏返しであり、いずれにしても君の体には過剰ではなかろうか。
さらに、外食は人に金を払って作らせ、店や君の家まで運ばせているので、当然その費用だけ値段が高い。
今こそ、等身大の君に必要な食事を、モノと同様に探求すべき時である。
もし自炊の経験がなかったら、いきなりそんなことを言われても、とハードルを高く感じるかもしれない。他方、既に自炊をしているなら、今更教わることはないと思うかもしれない。
そのどちらであっても、一つの考えを君に提示しておきたい。
料理研究家、土井善晴さんが提案している、一汁一菜でよい、という考えだ。
ここでいう一汁一菜は、ごはんと味噌汁のことで、いわゆるおかずに相当するものは無視している。ただ、広い意味では、おかずはごはんないし味噌汁が擁する多様性の中に含まれる。
それすら面倒だとか、それだけ? という拍子抜けの思いは一旦押し留めてほしい。
一汁一菜でよいという考えについて、私の解釈を踏まえつつ説明していこう。
まず、先の足るを知るにも通じる部分ではあるが、そもそも毎食ごとに色々な種類のメニューを食べ分ける必要はないと、私の意見としてはっきり述べておく。
近代化、グローバル化の中で多様な食文化が日本食に取り込まれてきたが、日本人には日本人の体に合う食事があると思うし、現代において、飽食は豊かさの象徴ではない。毎食違うメニューを考え、用意することは、食事のことを考える時間分、労力と気力の面である意味無駄であり、かつ贅沢だ。
そんなことをしなくても等身大の君は夢を追えるし、むしろ一汁一菜によって、食事に掛かる悩みは減る。
モノと同じで、メニューにも際限がない。時々の割り切った楽しみに、あるいは外食時に、凝った料理は楽しめばいい。それではツマラないと反論するなら、もう一度君の夢、理想という全ての根源に立ち返った上で、日々の食事に多様性が必要かを考え直してほしい。それでも必要だと言うなら、もう何も言うまい。
さて、用意するものは、まな板、包丁、小鍋。茶碗、汁椀、箸。米、適当な野菜、味噌。お好みで食材は足すといい。
米はまとめて炊いて、半合ずつくらいの小分けで冷凍しておくと楽だ。
野菜は根菜でも葉野菜でもいい。私は根菜の方が好きだ。3種類くらいを適当に切って、汁椀満杯くらいを一食分にする。これもまとめて切って、一回分ごとにパック等で保存すると便利がいい。
野菜を鍋に入れ、汁椀8割から9割くらいの水を入れ、中火にかける。3分くらいで煮立つので、味噌をスプーン山盛り一杯入れて、少し火を弱めてもう数分待てば完成だ(味噌は火を止めてからでないと風味が飛ぶというが、私には違いがわからない)。待ち時間にご飯や食器の準備をしよう。
ちょうど汁椀いっぱいの具沢山味噌汁ができたと思う。量や加熱時間は、何回かやれば上手く調整できるようになる。
味噌と同じくらいのタイミングで卵を入れると、半熟になって美味しい。片口鰯やワカメの他、油揚げ、ベーコン、豆腐など、思いつくものがあれば何でも入れてみるといい。何でもだ。味噌は全てを受け入れ、味噌汁探求の楽しさに気付けるだろう。
野菜はスーパー等に通うようになれば、旬のものが何となく分かるようになる。総じて、旬のものは栄養が他の時期よりも豊富で、栽培に適した時期だからこそ出荷量が多く安い。
切り方は、火が通りさえすれば適当でいい。ピーマンならタネを取らなくたっていいし、何かしらヘタごと煮込んでも、食べる時にそこだけ残せばいい。
腹八分目を前提としつつも、一食が少ないと感じるなら、豆腐を一丁追加で食べると満足できると思う。もしくは、茶碗と汁椀を大きいものに変えてもいい。君の体と相談してくれ。
余裕が出てきたら、本来の一汁一菜よろしく、副菜を用意するのも楽しい。
ちなみに主食はパンでも構わない。主食と味噌汁、このセットが重要であり、簡素だからこそ、気が向けばアレンジも自在である。
文章だと伝わり辛いが、実際に何回かやってみればすぐ身につくし、簡単だ。10分もあればいただきますと言える。
何より伝えたいことは、日本人である君が、等身大の君の体に必要なだけの、取り繕わない食事を用意すればいいのだから、雑でも、少々味が変でも問題ない、適当でいい、ということだ。
毎食メニューを考える手間に煩わせられる必要はない。特別でない日、ハレの日でなくケの日なら、食事も日々変わり映えしなくていい。
とはいえ、一見地味ではあるが、一汁一菜は日本人としての君の体に寄り添い、体調を整え、野菜を通じて季節を感じさせ、味噌の包容力故に好奇心を沸かせてくれるだろう。
一汁一菜に興味を持てただろうか? 持てていなくとも、騙されたと思って野菜と味噌を買いに出かけよう。とりあえず明日の朝、ごはんと味噌汁で一日を始めてみよう。
さて、家にいる朝はともかく、昼食は職場でとると思う。場合によって夕食も同様かもしれない。毎朝のごはんと味噌汁に慣れたら、そのうち作り置きの冷凍弁当を週末に用意する、なんて気概が生じているかもしれない。
朝同様、タッパーごはんと保温ポットの味噌汁でも問題ないが、せっかく包丁を手にするのなら、自炊レシピを幾つか増やしてみるのも手だ。動画サイトを検索すれば、簡単に真似できるレシピがたくさんある。あくまで一汁一菜を基本として、君の生活において、食事が生活の障害にならない範囲でやってみるといい。
私が私の体と相談した、2025年時点での私の日々の食事について、備忘録を兼ねて書いておこうと思う。
寝起きにビタミン剤を炭酸水で。朝は汁椀満杯の具沢山味噌汁と、小豆ごはん1/3号(無印良品の180 mlフードコンテナで冷凍)に胡麻をかけて。昼はミックスナッツの小分けパックとプロテイン(30gを牛乳200 mlで)。夕食は卵、小分けの豆腐、納豆、冷凍オクラを混ぜて、トースターで15分ほど焼いたナニカと、週2,3で鯖の水煮缶。飲み物はお茶か炭酸水、ごくたまにコーヒー。お酒はいつでも飲みたいが、距離を置くべく奮闘中(と言いつつ依存症一歩手前かもしれない自覚があり、まぁ、その、濁しておく)。
外食などで脂っこいものを、あるいはそもそも量をたくさん食べられなくなったことをマイナスと思わなければ、食習慣として悪くないと思う(アルコールに目を瞑るならば)。どうだろう?
君にも、君の体と相談して、君にあう食事を見つけてほしい(アルコールに注意)。




