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追放された特異点:意識を失うと最強の神の力が俺を支配する。誰も知らない、この体こそが世界を救う鍵であることを  作者: Sayu
第一章 ヘブリー星の王女を救おうとしたら、なぜか異世界に飛ばされて記憶まで失っていた件
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第一章・終幕 失われた現実次元の崩壊(12)

――BOOM!!


その一撃は、俺の意識そのものを揺さぶった。


頬に激痛が炸裂する。まるで無数の巨大な鉄槌が同時に頭蓋を叩き潰したかのようだった。


世界が激しく回転する。


視界は滲み、目に流れ込んだ血が濃い赤い膜となってすべてを覆い隠した。


口の中に広がる錆びた鉄の味。


――血だ。


息を吸うたび、肺の奥に砕けたガラス片を吸い込むような灼熱の痛みが走る。


俺の身体は宙を舞い、荒れ果てた大地を何度も転がった。土煙を長く引きずりながら、ようやくうつ伏せのまま止まる。


耳鳴りが止まらない。


意識が揺れる。


朦朧とする視界の先で、あの怪物がエリシアの前に立っていた。


サトおじさんは少女を引きずって逃がそうとしている。


恐怖の叫びが、この次元の静寂を引き裂いていた。


その光景は――。


俺の魂そのものを粉々に砕いた。


「エリシア……俺たちの戦いは……ここで終わるのか……?」


かすれた声が漏れる。


だがその声は、弱まっていく心臓の鼓動に飲み込まれていった。


血が足りない。


指先から冷たさが這い上がってくる。


――暗い。


「俺は……もう死んだのか……?」


漆黒の闇へ問いかける。


だがその時。


その虚無の奥から、優しい温もりが俺の魂へ触れた。


春風のように柔らかい、聞き慣れた声。


『リュウ様……私は、あなたを信じています』


温かな赤い光が、深い闇をゆっくりと照らした。



(第三者視点)


SS級Aberrantが、無防備なサトおじさんとエリシアへ巨大な鎌を振り下ろそうとした、その瞬間――


――BOOOOOOMMMMM!!


遥か彼方で起きた爆発が、大地を揺るがした。


怪物の動きが止まる。


広大な平原の果て。


紫の光柱が次元の空を貫き、リュウを包み込む巨大なドームを形成していた。


彼の瞳は完全な黒。


光を一切宿さない深淵。


濃密な紫のオーラが渦巻き、足元の地面は砕け、陥没していく。


衝撃波が大地を駆け抜け、森の木々を次々となぎ倒した。


Aberrantは苛立ちの咆哮を上げる。


しかしリュウはもう何も答えない。


サトおじさんは目を見開いた。


その力は、人間の常識を遥かに超えていた。


「早くだ! 離れるんだ!」


彼はすぐにエリシアを抱き上げ、少女の手を引いて後退する。


Aberrantが追撃しようとした。


その瞬間――


――BOOM!!


リュウが消えた。


次の瞬間には怪物の眼前。


振り抜かれた拳が怪物の顔面へ突き刺さる。


紫の衝撃波が爆発し、巨大な肉体は数百メートル彼方まで吹き飛ばされた。


岩石が砕ける。


大地が裂ける。


リュウは無言で立っていた。


武器はない。


素手。


だがその存在そのものが、死の化身だった。


戦闘は人の認識を超えていた。


拳。


蹴撃。


衝撃。


それらは肉体だけでなく、Aberrantの存在そのものを削り取っていく。


怪物は翼を広げ、空へ逃れようとする。


だがリュウは静かに右手を掲げた。


紫の光が掌から放たれる。


それは鎖となり、怪物の首、脚、両腕を絡め取った。


一気に引き下ろす。


轟音。


巨大な身体が地面へ叩きつけられ、巨大なクレーターが生まれる。


リュウはゆっくり歩み寄る。


優雅に。


しかし圧倒的に。


拳を握る。


紫のエネルギーが暴風のように渦巻き、空間そのものが歪んだ。


――BOOM!!


死の一撃。


その衝撃波は次元全土を薙ぎ払った。


――DUARRR!!!


紫の閃光がすべてを呑み込む。


空に亀裂が走る。


――パキン。


世界が砕け始めた。


まるで巨大な硝子細工が壊れていくように。


砕け散る空の向こう。


そこには青い現実の空が広がっていた。


彼らは帰還したのだ。


エリシアが最後に残した赤い結界が、人々を守っていた。


サトおじさんは嗚咽を漏らしながら泣いている。


その静寂の中で――


エリシアの指先が、かすかに動いた。


少し離れた場所。


リュウは空を見上げながら横たわっていた。


黒い瞳はゆっくりと元の色を取り戻していく。


「これは……夢か……?」


そう呟きながら身体を起こす。


住民たちはエリシアの周囲に集まっていた。


リュウも駆け寄ろうとする。


だが。


ポケットの中。


薔薇の形をした金属のコインが、まばゆい光を放った。



(リュウ・セレスティア視点)


「……エリシア」


声が震えた。


俺の前に。


赤い光でできたエリシアの姿が現れた。


彼女は笑っていた。


初めて出会った時と同じ、優しい笑顔。


けれどその笑みには、どうしようもない別れの色が宿っていた。


彼女はゆっくりと近づいてくる。


穏やかな表情。


安らかな瞳。


『ありがとうございます、リュウ様』


その囁きが胸を締め付けた。


俺は動けない。


涙が零れる。


どうしても止められない。


彼女の身体は少しずつ青い光の粒へと変わっていく。


『リュウ様……私のこと、忘れないでくださいね。ふふっ……私はリュウ様に出会えて、本当に幸せでした』


青い粒子が夜の蛍のように空へ舞い上がる。


『助けてくださってありがとうございました。向こうの世界でも、私はきっとリュウ様を覚えています。だから……笑ってください。これでリュウ様はヴォラの次元から自由になれます』


彼女は涙を零した。


それでも笑った。


『本当はもっと皆さんと一緒にいたかったんです。でも……どうやら、それは叶わないみたいですね』


そして。


最後に。


彼女は静かに告げた。


『さようなら……リュウ様』


その一言が。


俺の最後の心の壁を壊した。


俺は俯き、声を殺して泣いた。


周囲でも人々が泣いている。


エリシアの亡骸のそばで。


どうしてお前は、こんなにも苦しみを抱えていたんだ。


どうして最後まで誰かのために笑い続けたんだ。


命を代償にしてまで。


――だけど。


それが人生なのかもしれない。


永遠なんて存在しない。


夢も。


願いも。


結果も。


すべては何かを犠牲にして得るものだから。


その時だった。


金属鎧の鳴る音。


馬の蹄の響き。


俺は振り返る。


二十人ほどの王国騎士団がこちらへ向かっていた。


その先頭に立つのは、一人の女性。


白いドレス。


緑のグラデーションがかかった長い髪。


まるで天上から舞い降りた女神のようだった。


息を呑むほど美しい。


だが彼女の瞳は、深い悲しみに濡れていた。


その視線は真っ直ぐに俺へ向けられている。


俺は言葉を失った。


――誰なんだ、この人は。


――そして、なぜ彼女は俺をそんな目で見ているんだ……?

「この物語をここまで続けてこられたのは、ひとえに皆さんの応援のおかげです。もし各話を楽しんでいただけましたら、ぜひブックマークと評価をお願いします。こうした皆さんのあたたかいサポートが、次のお話を書くための大きな励みになります。この物語の旅路に寄り添ってくださり、本当にありがとうございます!」

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