甘い残響と、揺らぐ均衡
この作品はAIによる文章生成を使用しています。
組織が用意したセーフハウスの自室。烈華はベッドに顔を埋め、バタバタと足を動かしていた。
「なによあれ……なによあいつ! なんであんなに平然としてんのよ……っ!」
鏡を見なくてもわかる。今の自分の顔は、彼女が操る炎よりも熱く、赤くなっている。脳裏に焼き付いているのは、幸太の無機質な瞳と、唇に触れた瞬間の、あの暴力的なまでの甘さ。
「ファーストキス……私の、初めてだったのに……っ」
指先で、まだ少し痺れているような感覚が残る唇をなぞる。
幸太と繋がった瞬間、全身を突き抜けたあの雷のような充足感。熱い。胸の奥が、いや、もっと体の深いところが、疼くように熱い。
ふと、自分の手が無意識のうちに下腹部の奥へと伸びていたことに気づき、烈華は跳ねるように飛び起きた。
「~~~~っ! 何やってんのよ、私は!!」
自分の体から溢れ出す、制御不能な熱情。烈華は真っ赤になって枕を振り回し、叫んだ。
「忘れなさいよ私! あいつはただの、そう、ラムネの代わりなんだから! 効率良く力を出すための道具で、他には何でもないんだからっ!」
だが、枕に顔を埋めるたびに、鼻先をかすめる幸太の残り香。
彼から直接流し込まれた「快楽」という名の高純度な燃料によって、一度火がついた彼女の乙女心は、もはや「仕事」という言い訳では消せないほどに激しく燃え上がっていた。
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一方、政府の宿舎。氷雨はカーテンを閉め切った暗い部屋の中で、デスクの前に座り込んでいた。
彼女は無造作にキーを叩き、表示していた無機質な戦闘データをすべて閉じる。代わりに画面へ映し出したのは、隠し撮りされた佐藤幸太の横顔だった。
「……佐藤くん。あなたは、一体」
氷雨はモニターに映る彼の冷徹な瞳を、食い入るように見つめる。
幸太と唇を重ねた瞬間、脳を白く塗りつぶしたあの全能感。物理法則さえも手なずける神のごとき視座に、彼女の細胞は震えるほどの悦びを覚えていた。
「……あれは、劇薬。いいえ、脳を直接書き換える、甘美なウイルスです」
氷雨は自嘲気味に呟きながら、自分の唇をなぞった。
そして、そのまま細い指を口の中へと含み、舌の上で転がす。幸太の熱が残っているはずもないのに、彼女の体は、もっと濃密な「何か」を寄越せと、狂おしいほどに叫んでいた。
指を引き抜くと、銀の糸が小さく引く。
足りない。どれほどデータを集めても、どれほど理論を積み上げても、あの瞬間に彼から流し込まれた「甘い支配」には届かない。
「次は……もっと。もっと深く、長く、共有を繋ぐ必要があります。そのためには、……唇だけでは、不十分かもしれません」
暗闇の中で、氷雨の瞳が青白く、獲物を狙うように輝く。
彼女の最速の演算は、今や「世界の平和」のためではなく、「どうすれば合法的に彼を独占し、再びあの快楽に身を浸せるか」という一点に向けて加速していた。
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二人の少女がそれぞれの夜に、消えない熱と渇望に身を焦がしている頃。
当の本人である佐藤 幸太は闇の中で、自身の掌を無機質に見つめる。
彼女たちが所属する組織――『赤』と『銀』。それらに組み込まれ、サンプルとして自由を拘束されることは、彼にとって最悪の選択肢だ。
(……いっそ、自ら組織を構築し、それらを力で塗りつぶすか?)
一瞬だけ脳裏をよぎった選択肢を、彼はコンマ数秒で棄却する。
全能の頭脳を手に入れた結果、導き出された結論は一つ。
「支配」とは、最もコストパフォーマンスの悪い重労働である。
自ら旗を掲げれば、味方の維持、リソースの管理、そして敵対勢力との終わりなき抗争が待っている。感情で動く非合理な人間たちを管理し、国家や世界という巨大なシステムのバグを修正し続ける日々など、退屈を通り越して苦行でしかない。
そんな泥臭い役回りは、既存の組織に任せておけばいい。
「……異形の処理は、彼女たちにやらせればいい。僕はただ、最適解を流し込むだけでいい」
幸太にとって、烈華や氷雨は守るべきヒロインではなく、文字通りの「露払い」だ。
学生という免罪符を盾に、平凡な日常を享受する。その裏で、自分に惚れ込み、依存し始めた二人のエージェントを、互いに牽制させながら均衡をとり、利用し続ける。
一方が暴走すれば、もう一方が止める。双方が自分を求めて競い合うほどに、幸太の安全と自由は盤石なものとなる。
「……明日も、効率的に進めよう」
彼は冷徹に、そして完璧に二人を「飼い慣らす」ことを決めていた。
明日、学校で彼女たちがどれほど情熱的な、あるいは執着に満ちた瞳で自分を迎えたとしても。その潤んだ瞳の奥にある数値だけを、彼は演算し続ける。
切りの良い所まで1日1話更新していきます。




